不定期日記(2001)後期(7〜12月)


【御用納め 2001.12.28】

 思えば今年はさんざんな年でした(個人的に)。ネタにする気も起きない。そうそう、ウチの研究所も遂に任期制が導入される見込みとなりました。原案通りでいきますと、教授様以外はある年限で働きぶりと無関係に皆クビです。ありがたい。けっ

 しかしながら後半は少しツキが回ってきたせいか、研究面で多くの方々に御支援をいただき、なんとかモチベーションを維持することができました。改めてここに感謝御礼申し上げます。

 それでは皆様、良いお年を。

私はカレンダー通りの出勤です。


【ワークショップの紹介 2001.12.27】

 グレッツェル先生、いらっしゃるよ〜ん

「光化学国際ワークショップ」
International Workshop of Photochemistry
January 23th and 24th 2002, in Tokyo

開催日時

平成14年1月23日(水) 9:30〜17:00

       1月24日(木) 9:30〜12:00

会  場

東京国際フォーラム G402会議室 (TEL:03-5221-9040)
 (東京都千代田区丸の内3丁目5−1:有楽町駅(JR・地下鉄)から徒歩1分)

開催趣旨

 現在、光化学エネルギー利用分野において主流であるシリコン系太陽電池は、コスト割高なため広く普及しておらず、革新的技術に基づいた低コスト太陽電池開発が急務となっています。そのような中で、色素増感太陽電池は次世代電池の最有力候補として世界的に注目されています。
 今回の「光化学国際ワークショップ」では、グレッツェル型色素増感太陽電池の開発者であるMichael Gratzel 教授(ローザンヌ工科大学)をお迎えし、基調講演をいただくとともに、研究の最前線にいる内外の研究者が一堂に会することにより、これまでの研究状況と今後の取り組むべき研究の方向性を討議し、さらなる実用化を促進しようとするものです。

主  催

財団法人 地球環境産業技術研究機構(RITE)

内  容

開催挨拶

基調講演

藤嶋  昭 (東京大学大学院工学系研究科 教授)
Prof. Michael Gratzel (ローザンヌ工科大学)

講  演

Dr. Kirthi Tennakone (スリランカ国立基礎研究所)
荒川 裕則 (産業技術総合研究所光反応制御研究センター センター長)
伊崎 昌伸 (大阪市立工業研究所無機化学課)
昆野 昭則 (静岡大学工学部 助教授)
早瀬 修二 (九州工業大学大学院生命体工学研究科 教授)
和田 雄二 (大阪大学大学院工学研究科 助教授)

その他2〜3名を予定

 (予定・50音順)

会議言語

英  語

参 加 料

無  料

定  員

80 名(先着順。定員になり次第締め切ります。)

申込方法

氏名・所属・連絡先をご記入の上、Fax またはE-mailでお申し込み下さい。

財団法人 地球環境産業技術研究機構(RITE)企画調査部企画課

Tel: 0774-75-2301 Fax: 0774-75-2314 E-mail: plnng@rite.or.jp


【文献の紹介 2001.12.26】

 今日の文献紹介はこれ(流し読みしていたら気付いた)

 Preparation of Nb2O5 Coated TiO2 Nanoporous Electrodes and Their Application in Dye-Sensitized Solar Cells
S. G. Chen, S. Chappel, Y. Diamant, and A. Zaban
Chem. Mater., 13 (12), 4629 -4634, 2001.


 新しい二分子層ナノ多孔体ワイドギャップ半導体電極の調製と太陽電池への応用を報告する。この新しい電極は、約 2-3 nm の Nb2O5 の薄い層でおおわた内側がナノ多孔体の TiO2 マトリックスから成る。この研究の中で提示された結果は、この Nb2O5 層が電極-電解質インタフェースで、固有のエネルギー障壁を作り上げることを示している。このバリアは、光注入された電子とホールの再結合割合を低減する。

TiO2 ナノ多孔体だけからなる電極で構成した色素増感太陽電池(DSSCs)の比較では、新しい電極が全てのパラメータに関して優れていることを示した。

多くのセルで測定されたこの優位差は変換効率で 35 % の増加で、3.6 から5.0 % であった。

コーティング・プロセスの最適化とその効果につて詳述する。

 うちの大学、ACS ジャーナルは購読してるけどオンラインでは読めないのよね(不便)。

 年内に 80000 カウントは無理そうですね。。。 データ出そうと思ったんだけど。


【本の紹介 2001.12.25】

 「太陽光発電システムの最新技術動向」ISBN4-900830-89-5
発行日:2001年11月30日 初版第1刷
発行者:吉田 隆
発行所:株式会社エヌ・ティー・エス

 新しいせいか、オンラインでは見つけることができませんでした。シリコン系がメインですが、1章分を「色素増感太陽電池の研究開発現状と課題」と題して荒川先生が執筆されています。目新しいところとしては、最近の非 Ru 系有機色素の話や、ECN の量産化を検討したプロセスの写真・コスト試算などが載っていたりします。


【講演会 2001.12.21】

 既に終わってしまった講演会を語る。ごめんなさい。以下の3件は今月開かれた講演会やらセミナーですが、(気付くのが遅れて)ここで紹介する前に終わってしまいました。結構、貴重なお話があったようですが行かれた方いらっしゃいますか?

 来月は私の知る範囲で「 産総研・光反応制御研究センター 第1回研究発表講演会」(1/18) と東京大学先端の「光機能界面の学理と技術一 研究構想公開シンポジウム 一」 (1/25, 26) がありますが、1/23, 24 にも東京でシンポジウムが予定されています。グレッツェル教授もいらっしゃって、1時間ほど講演をしてくださる予定!詳細は追って御紹介致します。

(1) 講演会「高性能電池開発のための新材料」
主催:日本材料学会中国支部
共催:山口大学地域共同研究開発センター研究協力会・山口大学工学部・山口大学クリーンケミカルエネルギー研究所
協賛:日本化学会中国四国支部・電気化学会九州支部・電気化学会電池技術委員会
日時:平成13年12月14日(金) 13:00〜17:30
プログラム (一部抜粋):16:30-17:30 「高分岐型ポリエーテル電解質全固体とゲル型 Li ポリマー電池及び色素増感太陽電池-」ダイソー(株)研究所 酒井貴明

(2) 開講セミナー 「色素増感太陽電池の設計、高効率化と実用化動向」
主催:技術情報協会
講師:(株)東芝 研究開発センター 新機能材料・デバイスラボラトリー
   主任研究員 理学博士 田中 成典 氏
日時:平成13年12月14日(金) 13:00〜17:00

(3) 第35回化学懇談会「自然エネルギー利用技術開発の現状と課題」
主催:日本化学会中国四国支部,中国四国・化学と工業懇話会
会期 :12月7日(金)
プログラム(一部抜粋):
10:45〜11:30 色素増感太陽電池開発の現状(仮)大阪府立大学先端科学研究所 上原 赫
11:30〜12:15 色素増感太陽電池開発の現状(仮)旭産業(株) 北村 卓也

 えっ、司会ですか?>私(汗)


【P25 2001.12.20】

 最高値を狙うには必ずしも Best ではないけど安定した性能を維持していて電池特性を評価するにはうってつけの酸化チタン粉末 P25。

「P 25 というのは Degussa 社が AEROSIL 法(塩化物の高温(火炎)加水分解法)で製造している酸化チタン粉末の名称である。」

P25 をビニール袋に入れているとベタベタするのは残留塩素のせい?それとも私の勘違い??
北海道大学触媒化学研究センターの佐藤真理先生から、光触媒としての詳しい解説が出されています。「光触媒講義ノート」は必見!


【椿原研究棟24時 2001.12.19】

 今日は近畿大学工学部電子情報工学科 大学院工業技術研究科システム制御専攻 電子材料研究室(椿原研)にスポットを当ててみる。
研究公開プログラム太陽電池で回るプロペラを見ることができます。モーターは市販の正統派?マブチモーターです(スゲー!)。

 アップルからのお知らせ( 12/17 ) PowerBook G4 のすべてのモデルにコンボドライブを標準搭載>嬉しくない


【救世主さくらんぼ 2001.12.18】

 問い合わせがありました故、関連した作文を一つ紹介。題して「救世主さくらんぼ(最優秀賞 通商産業大臣賞)」、大阪教育大学附属平の中学校3年平松 宏介さんの作品です。いいかもしんない。私も一度でいいから“通商産業大臣賞”なんていう賞、もらってみたい。努力賞でもいいから。(笑)

 コンテストを主催した事務局よりコメントも出ています。「大学の研究室」は、柳田研ですね(言わずもがな)。

 仙台三高の野田先生、見てますかー!?


【続・最適酸化チタンペーストの調製 (8) 2001.12.17】

 終了宣言したにもかかわらず、今頃になって綺麗な写真が撮れたので1つ紹介致します。左から順に振とう処理時間 3h〜62 h で調製した酸化チタンペーストを硝子のプレパラートに焼き付けた膜を蛍光灯に照らした様子です。

 時間や強度といった振とう条件は装置の種類に依存するので、62 h も必要かどうかは“場合による”としか言えませんが、効果は光沢の有無としてはっきり見て取れるかと思います。


【Electrochemistry 2001.12.14】

 文献紹介。先月の電気化学会誌 Electrochemistry(電気化学および工業物理化学)はナノ形状材料と電気化学を特集しており、箕浦研の杉浦先生が投稿されています。絵に描いたような綺麗な蜂の巣状?の酸化チタンの写真が見れます。

 杉浦 隆,箕浦 秀樹「ナノポーラス酸化チタンの作成と評価」 Vol. 69. No. 11, 2001

 ちなみに来年 2002 年 6 月号(Vol.70, No.6 予定)では「光エネルギー変換の新しい流れ」と題して色素増感型太陽電池,その他の太陽電池,水の光分解,光合成,人工光合成,光触媒を利用した省エネルギー技術,それらに関わる電気化学などを対象に特集が組まれるそうです。


【講演会のお知らせ 2001.12.13】

 講演会開催のご案内。今日は産総研特集ということで一つ。

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産総研・光反応制御研究センター   第1回研究発表講演会
   −21世紀を拓く光反応制御技術一

 日時:平成14年1月18日(金)13:00〜17:30
 場所:産業技術総合研究所 臨海副都心センター会議室(東京都江東区青海2−41−6)

 この度、産総研・光反応制御研究センターでは 第1回研究発表講演会を開催する運びとなりました。センターの紹介、
光エネルギー変換及び光・レーザー反応の分野における研究成果の発表と、第一線研究者による特別講演を予定致してお
ります。多数の皆様の御来聴を帝望し、ここにご案内申し上げます。 センター長 荒川 裕則

講 演 内 容
1.光反応制御研究センターの紹介              (産総研)荒川 裕則
2.特別講演 太陽光エネルギJ利用技術の新展開(仮題)
              (大阪大学太陽エネルギー化学研究センター)松村 

道雄
3.光反応制御研究センターにおける太陽光エネルギー利用技術の研究開発
 一色素増感太陽電池と水分解水素製造光触媒プロセスー    (産総研)荒川 裕則
4.特別講演 レーザー化学の新展開(仮題) 
                  (東京工業大学大学院理工学研究科)市村 禎二郎
5.光反応制御研究センターにおけるレーザー精密プロセスの研究開発
 −フツ素樹胎の表面改貫から石英ガラスの徹細加工まで−    (産総研)矢部 明
参加費:無料
参加申し込み及びお問い合わせ先:
 産業技術総合研究所 つくば中央第5事業所光反応制御研究センター 春日和行
 〒305−8565 茨城県つくば市東1−1−1 中央第5
 Tel:0298-61-4688 Fax:0298-61-4687 E-mail:K.Kasuga@aist.go.jp
 独立行政法人産業技術総合研究所光反応制御研究センター
協賛:日本化学会、光化学協会、触媒学会
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人工光合成システムで可視光による水の完全分解に世界で初めて成功
   −植物の光合成メカニズムで太陽エネルギーを用いて水から酸素と水素を製造する−

可視光で水を水素と酸素に分解
   −水からクリーンエネルギーを造る新しい光触媒の開発に世界で初めて成功−

Direct splitting of water under visible light irradiation with an oxide semiconductor photocatalyst
   Nature 414, 625 - 627 (2001)
   材料:酸化物半導体光触媒を用いた可視光照射下での水の直接分解


【赤鬼? 2001.12.12】

 レッドデビル製のペイントシェーカー。春の電気化学会の発表で、柳田先生のところから既に(私があーだ、こーだとデータを出す前に)御紹介があったのですね。どうも失礼いたしました。


【3D? 2001.12.11】

 藤嶋先生の所から今度出る酸化チタン多孔体の論文草稿を読んだのですが、めちゃめちゃ綺麗にそろった膜ですね。

Assembly of Highly Ordered Three-Dimensional Porous Structure with Nanocrystalline TiO2 Semiconductors
Q.-B. Meng, C.-H. Fu, Y. Einaga, Z.-Z. Gu, A. Fujishima, and O. Sato
Chemistry of Materials Volume 13, Issue 12?, (2001?).

http://dx.doi.org/10.1021/cm0101576(←読めない場合がほとんどかと思います)

 冬タイヤにまだ履き替えていないのに、昨日から雪。オールシーズンタイヤなので一応走るんですが、、、鬱だ。


【触媒化成 2001.12.10】

 レポートを1つ見落としていたのでUPします。

 小柳 嗣雄「色素増感太陽電池の概要と構成材料について」触媒化成技報, l17 , 3-14 (2000)

 触媒化成さんからでした。ここの酸化チタンは意外な所で使われていたりします(謎)。

 あー、ハズしました>メトロポリス(DVD)。年末はこれに掛けていただけにショック。手塚治虫の漫画は面白いんですがねぇ。絵は細部まで描き込まれていているし、技術的にそれはそれはよくできた映画だと思うのですが、感動がいまいち。私のお勧めはトイストーリー2


【MUJI+Car1000 2001.12.7】

 笑えるネタ提供します。色素〜電池とは全然関係ない話。

 私のムジ・カー「くろっぺGO」

何も言うまい、捨て身のネタ披露。どう・だーっ。 痛すぎる...


【朝日新聞 2001.12.6 morning】

 「水の中、日光当て水素できた 産総研が金属酸化物を開発」

 荒川裕則・光反応制御研究センター長らは、インジウム、タンタルという金属の酸化物にニッケルを加えた粉末を合成。光が当たると電気を帯びる性質を持たせた。この電気で水が分解される。

荒川先生、当たり年ですね? おめでとうございます。

【続・最適酸化チタンペーストの調製 (7) 2001.12.6】

 今日でとりあえず最後。PEG #500,000 話の補足。この図は重合度の異なる各種 PEG と酸化チタンペーストの粘度の関係を調べた結果です。以前、電気化学会で発表したものですが、学会前だったのでHP上での公開は控えていたものです。

 市販の PEG は平均分子量が 200 から 4,000,000 に至るまで大きな開きがあります。#200〜#4,000 までは1つを除いて PEG の添加により粘度が減少し、期待するような増粘効果は得られませんでした。逆に #20,000 では無添加時に比べ約 2 倍に増加しました。また、#500,000 と #4,000,000 が突出して増粘効果が高いことが分かります。これら 2 者を用いることで、調合比を大きく崩すことなく粘度の高い(→厚膜化が可能な)酸化チタンペーストを調製することが可能となります。#4,000,000 はやや糸引きが生じる傾向にあるため、どちらかというと PEG #500,000 の方をお勧めいたします。

 ちなみに PVA, PVP なども検討いたしました。これらは平均して PEG よりも増粘効果が高いのですが、加熱条件次第では燃焼しきれなかった有機物が表面に残ることがあり、色素〜電池用にはあまり適さないと判断しました。終わり。

 つまんない話、長々とすみませんでした。ところで昨日、ようやく注文したばかりの PowerBook G4/667 が届きました!(←自費です、念のため)それまで使っていた iBook は研究室の某氏に格安で払い下げ。1年ちょっとしか使っていなかったような。んー、ソフトがさくさく動いて快適、と言うよりは、ついでに買ったワイヤレスマウスが快適!買って正解。


【続・最適酸化チタンペーストの調製 (6) 2001.12.5】

 ちなみにここで使用した酸化チタンですが、光触媒として標準的に使用される P-25 を用いました。最高値狙いにはコロイドから調製したものをお勧めしますが、安定した性能を簡易に得るには便利な粉末です。一連の実験で使用したペーストのレシピですが、以下の通り。

硝酸水溶液(pH 0.7)

4.9g

酸化チタン粉末(P-25)

2.1g

ポリエチレングリコール(#500,000)

0.105g

アセチルアセトン

0.14g

Triton X-100(10 倍希釈もの)

0.14g


ポリエチレングリコール(PEG)に平均分子量 #500,000 のものを使うのは、内田オリジナル仕様です。無論、上記の調合比は使用する酸化チタンの種類や目的等に応じて変わりますので、あくまで一例としてお考え下さい。続く


【続・最適酸化チタンペーストの調製 (5) 2001.12.4】

 では実際に光起電力特性はどうか?ということで I-V 特性を調べた結果がこのグラフです。未処理(3 h)のものは効率 5.8%、振とう処理したもの(62 h)は 6.7% という値が得られ、単に混ぜるだけの処理が如何に重要かを物語っております。本家グレッツェルの論文では「grinding する」とだけしか書いてなかったりするわけですが、、、最近はどうでしょう?続く


【続・最適酸化チタンペーストの調製 (4) 2001.12.3】

 ちなみにここまでのデータは全てペーストをガラス板に焼成した後の膜のスペクトルです。膜厚はどうなっているのか?ということで念のため調べましたところ、処理時間を長くする方が若干薄くなっているという結果が得られました。
 これは透過スペクトルが上がるという結果やペーストの粘度が下がるという定性的な観察結果とも対応します。すなわち「薄くなっているにも関わらず、酸化チタン膜正味の光吸収量は増えている」ことを表します。

 実際の膜の外観はどうか?と言いますと、長く振とう処理した膜は明らかに光沢・つやが確認できます。蛍光灯などで表面を照らしますと、蛍光管の写り込みが見られます。続く

 いよいよ12 月!


【続・最適酸化チタンペーストの調製 (3) 2001.11.30】

 100−{(反射スペクトル)+(透過スペクトル)}= 酸化チタン膜が吸収したスペクトル

と仮定して昨日のデータを整理しますと、このようになります。明らかに振とう時間が長くなるほど酸化チタン膜に吸収される光量が増えていることが分かります。600 nm の点を例にとりますと、3 h 後と 48 h 後では光の吸収量に 8 %!もの差が出ていることが分かります。続く


【続・最適酸化チタンペーストの調製 (2) 2001.11.29】

 このグラフは各振とう時間毎に取り出した酸化チタン・ペーストをメンディングテープ1枚分の厚さ(63μm)でガラスプレパラートに塗布し、480 ℃ 30 min 焼成した膜の透過スペクトル反射スペクトルを比較した結果です。

 横軸は波長で 300 nm〜800 nm の範囲で測定しました。透過率は処理時間の経過と共に上がり、反射率は逆に下がります。このままではちょっと分かりにくいのですが、、、続く


【続・最適酸化チタンペーストの調製 (1) 2001.11.28】

 写真にありますように、酸化チタンペーストとジルコニアボールをテフロン容器に入れてフタをします。ジルコニアボールの直径は 3 mm、これより大きすぎても小さすぎても効果が半減します。

 これを振とう器に(ガムテープ等で)しっかり固定し、ひたすら振ります。ダダダダダダッと。お金のある会社さんでしたらペイントシェーカーを使いましょう。どのような違いが出てくるかと言いますと。。。続く

 昨日はですね、RITE より珍しい?お客様がいらっしゃいましたよ(笑)


【ヨウ素再び 2001.11.27】

 誤:ヨウ素イオン
 正:ヨウ化物イオン(or 三ヨウ化物イオン)

本HPのあちこちに散見されるかと思いますが、気付き次第直しますのでどうか御勘弁下さい。

化学種−ヨウ化物イオン:湿式太陽電池の活物質(酸化還元対)として使います。
↑ををっ、よく見るとここのHPにリンクが張られています(笑)。

 明日から「これであなたも 7%?、続・最適酸化チタンペーストの調製」講座を始める予定なので、お楽しみに!


【ヨウ素再び 2001.11.26】

「I- が存在する水溶液にはよく溶ける。これは I-と I2 が反応して I3- というポリイオンを作るためである。」御意。

 知らずに混ぜていた私がバカでした。ヨウ化リチウム(LiI)はてっきり起電圧を高くするためだけに入れていると思っていたら、ヨウ素(I2)を溶かす役割も担っていたのですね。

 ただ今メールチェック中。お返事はしばしお待ちを。。。


【ヨウ素? 2001.11.22 morning】

 ↓なるほどぅ。分かりました。答えは来週ということで(笑)。

【ヨウ素? 2001.11.22】

 電解液を調製する時にヨウ素を入れますよね?LiI はさておき、金属ヨウ素 I2 入れますよね?アセトニトリルとかの溶媒にさっと入れてかき回すと溶けて赤っぽい毒々しいまでの色が付きますよね?

 ここで疑問、色の正体は I- イオンですが、このマイナス(-)の電子はどこから来るんでしょう??私、なんか勘違いしてましたっけ? < 誰か教えて〜

『ヨウ素の溶解〜有機溶媒への溶解』
『ヨウ素デンプン反応』
  ↑いますぐできるわくわく化学実験、壱岐高等学校の鬼塚先生でした。

 昨日の入りはどうでしたでしょうか?盛り上がりました?


【講演会ランキング? 2001.11.21】

 今日のテーマは「荒川先生の講演回数を数える」(←余計なお世話だっちゅうの)
もう、すごいっす。11月分だけ、しかも私の把握できた範囲で取り上げても以下の通り。全国制覇も時間の問題でしょうか?

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*5


*1:平成13年度 日本太陽エネルギー学会・日本風力エネルギー協会 合同研究発表会(徳島)
*2:日本学術会議第 8 回シンポジウム 光エネルギー利用法の新しい展開(東京)
*3:光化学太陽電池研究会 茨城の未来を支える産学連携プロジェクト(茨城)
*4:
機能性色素部会・エレクトロニクス部会東京合同例会<テーマ:次世代有機太陽電池>(東京)
*5:第20回 固体・表面光化学討論会(大阪)


【研究者マップ 2001.11.20】

 昨日に引き続き「リンク」ページを大幅に更新。北から南の順に日本色素増感太陽電池研究者マップを作製しました。不備は多々あるかと思いますので、追加の希望等ありましたらぜひ御連絡下さい。> uchida@icrs.tohoku.ac.jp(内田助手)まで


【研究者マップ 2001.11.19】

 ただ今、「リンク」ページを鋭意更新作業中。色素〜電池研究者マップを作製したいと考えています。

 電気化学会が毎月発行している学会誌“Electrochemistry”では、「光エネルギー変換の新しい流れ」と題する論文特集号を企画2002年6月号(Vol.70, No.6)予定しているそうです。ということで原稿依頼があったわけですが、頼まれもしないのに 2 報書いてようやく昨日送ることができました(←今日が締切)。疲労。審査で落とされなければいいんですが。。。


【科学・自然>技あり 2001.11.16】

 日頃色素増感太陽電池ばかり追いかけているので見落としてしまったのですが、シリコン系でも透光性のある太陽電池ができるんですね。シャープさんで展示しているのもこれですね。既に半年以上前の記事でした。

「窓ガラスで発電 アモルファス太陽電池 」朝日新聞 2001.5.28


【技術情報協会 2001.11.15】

 セミナー情報。擬固体化でおなじみの田中@東芝さんからの御講演です。

 「色素増感太陽電池の設計、高効率化と実用化動向」

●講 師  (株)東芝 研究開発センター 新機能材料・デバイスラボラトリー
        主任研究員 理学博士 田中 成典 氏
●日 時  平成13年12月14日(金) 13:00〜17:00
●会 場  [東京・五反田] ゆうぽうと 5F くれない東
●聴講料 1名につき47,250円(消費税,資料代含む)
       〔1社2名以上同時申込の場合1名につき5,250円割引します〕

●プログラム
<講座の主旨>
いわゆるグレッツェル・セルと呼ばれる色素増感太陽電池の構造とメカニズムを、動作原理の基礎から説き起こし、物理モデルを用いたコンピュータ・シミュレーションに基づいて議論します。セルのパフォーマンスに関する実験データとの対比を通してモデルの信頼性を検証した後、モデルで用いられる様々な物性パラメータが太陽電池の電流−電圧特性や光電変換効率にどのように影響を与えるかを定量的に検討し、高効率化や固体化に向けて何をなすべきかの設計指針を提案します。また、色素増感太陽電池の歴史的な背景や現時点での研究の位置付け、さらには、最近の研究動向や将来の展望についても触れます。


【住友大阪セメント・テクニカルレポート 2001.11.14】

テクニカルレポート 2001 新材料と光エレクトロニクス by 住友大阪セメント株式会社

堀口尚郎/木下 暢/原浩二郎/佐山和弘/荒川祐則
「ナノ粒子を用いた酸化物半導体電極の検討」
Sumitomo Osaka Cement Co. Ltd. TECHNICAL REPORT, 2001, 20-22 (2001)

 ZnO/EosinY で 効率 2%!


【amazon.co.jp 2001.11.13】

 例の(色素増感太陽電池の最新技術)ですが、レビュー書いておきましたよー。はっはっは。

 ちなみに amazon.co.jp で"太陽電池"をキーワードに検索をかけますと、27 件ほどヒットします。今月出たばかりの本「やってみよう!太陽電池で手作り工作ーTDKフィルム太陽電池工作事例」\980、いいかも。


【祝 70,000 アクセス 2001.11.12】

 祝、70000 ヒット!私が見た時は 70003 でした。

 さーて、と。一言「酸化チタンペーストは良く混ぜよう」

 分散状態が維持できる条件を選ぶことも大切ですが、機械的な分散処理を施すことも重要です。P-25 のような粉系であっても十分に分散されたペーストで成膜すると多少の透明度が現れます。処理の中身ですが、乳鉢で擦るならひたすら時間を掛ける。お金のある会社さんでしたら、、、装置を買う、と。

 昨日は自宅にわざわざ無印良品でおなじみの「良品計画」さんが取材にいらっしゃいました。それというのも、東北地方で○台しかお目にかかれない超(←死語)レアなモノをうちの奥さんがお買い求めになられたせいでして、、、そのうちオンラインで全国デビューすることでしょう(恥ずかしい


【Top Solar 50 2001.11.9】

 INAP 探しの過程で見つけた“太陽(電池?)サイト上位50”。ただし、ドイツ内に限る。

 「(いろんな意味で)明るい国でないと太陽電池は流行らない」という柳田理論から少し外れているようですが、かなり盛んなようです。

 じ・つ・は Amazon.com で予約していたエピソードワン(←スターウォーズね)の DVD が昨日届いたのでした。しかしながら帰宅した時間が遅かったため結局見れず仕舞い。今日こそゆっくり、、、といきたいところなのですが Electrochemistry の原稿締切(11/19)が目前。1報しか依頼されていないのに欲張って2報書こうとして自分の首を絞めている私。あ゛ーーーっ。


【INAP 2001.11.8】

 オンラインで INAP 探しをするのは非常に難しいですね。ここも色素〜電池を作製しているベンチャー企業の1つで、従業員 15 名程度の会社ですが 1993 年設立だそうです(ドイツ)。

 もう、ほんと断片的な情報ばかり。
(1) ここセルの作製風景)とか
(2) ここ(設立の経緯)とか
(3) ここ(住所だけ)とか
(4) ここ周辺地図)とか
(5) 唯一、ここで会社のロゴマークを見つけることができました。しかもリンク切れてるし(泣)

 
荒川先生、行かれたことあるんですよね?


【JM 2001.11.7】

 色素〜電池関連で海外のメーカーに目を向けると、、、その1。

Johnson Matthey Inc.、ルテニウム色素の供給メーカを名乗っております。INAP と関連があるそうで、量産化をも視野に入れた高品質 N3 dye (黒い方)や N719 dye(赤い方)を供給すると申しております。アメリカ・ニューヨークの直ぐ傍、ニュージャージー州からでした。

解説:Johnson Matthey is a world leader in the production of highly specialised ruthenium compounds. Now, through our association with development company INAP, Johnson Matthey can supply this expertise to your photovoltaic research, development and production programmes. With unrivalled access to materials, and proven ability to scale up, Johnson Matthey represents a reliable source - and a natural choice - for the supply of high quality N3 and N719 photovoltaic dyes.


【講演会 2001.11.6】

 もう一つ講演会情報。お近くの方はどうぞ。

 光化学太陽電池研究会
[主催]茨城の未来を支える産学連携プロジェクト

[協賛]高分子学会関東支部茨城地区の会
[趣旨]茨城大学の学長裁量経費による,茨城の未来を支える産学連携プロジェクトが企画し,茨城の未来を支える産業の一つの可能性として,新しい太陽電池を取り上げました.二酸化炭素による温暖化や酸性雨などの環境問題を解決するために,新しい再生可能エネルギー資源の開発が強く求められていますが,まだ大きな困難があります.太陽電池は最も期待されているエネルギー資源の一つですが,これまで市場にある太陽電池は半導体の接合を利用するもので,コスト高のため,普及が難しい現状にあります.本企画の太陽電池は,これまでのものとは全く原理を異にし,光合成が行っているような色素による増感作用を利用するもので,従来のアモルファス半導体太陽電池と同等な出力を持ちながら,コストが安いことで注目されます.実用化の健は安定性と耐久性ですが,商業化に必要な基本的データも報告されつつあります.
 本プロジェクトの一環として,産官学の連携を通して茨城の活性化を図ることを目指し,新しい光化学太陽電池実用化の可能性を勉強し探るために,研究会を企画しました.
[日時]平成13年11月15日(木)12:30−18:00
[場所]茨城大学水戸キャンパス,茨苑会館2階集会室
    水戸市文京2−1−1,常磐線水戸駅北口より茨大前行きバス約20分
[プログラム]
(挨拶)プロジェクト代表者 (茨城大工)岡田養二
(講演)
1)総論−光化学太陽電池の研究−開発と概要− (茨城大理)金子正夫
2)茨城の産業と未来像 (日本政策投資銀行地方開発部)新井 貴
3)光化学太陽電池実用化への課題と現状 (産業技術総合研究所)荒川祐則
4)光化学太陽電池のための新しい材料 (Institute of Fundamental Studies)K. Tenakone
5)光化学太陽電池の高効率化と固体化 (静岡大)昆野昭則
6)光化学太陽電池用有機色素の開発 (富士フイルム)塚原次郎
7)ゾルゲル法による構造制御多孔質シリカの合成 (日立化成工業総合研究所)須佐憲三
(懇親会)18:00−19:30,茨苑会館,寮用4000円
[参加登録]登録料無料.参加希望者は,氏名、所属、住所、連絡先(電話、Fax、e-mail),懇親会参加の有無、を記入し、金子(下記)まで,11月5目までに e-mail(または Fax)によりご連絡下さい.登録後のご連絡は致しませんので、そのまま当目ご参加ください。
[企画・連絡先]茨城大学理学部 金子正夫 Tel&Fax 029-228-8374
         e-mail kanekom@mito.ipc.ibaraki.ac.jp


【講演会 2001.11.5】

 今週、11/8~9 は講演会が重なっておりまして

 (1) 第31回 電気化学講習会 ミレニアムテクノロジーと電気化学(電気化学会関西支部主催)と
 (2) 平成13年度 日本太陽エネルギー学会・日本風力エネルギー協会 合同研究発表会

があるのですが、マイナーな所で「第1回多元物質科学研究所研究発表会」というのもあります。←電池とは直接関係ないのですが、一応私もポスター発表で出ていますのでお近くの方はどうぞ(無料)。


【第20回 固体・表面光化学討論会 2001.11.2 Afternoon】

 講演会を1つ紹介させていただきます。

第20回 固体・表面光化学討論会
主催:日本化学会
会期 :11月29日(木)−30(金)10時−17時
会場 :大阪大学基礎工学部国際棟(豊中市待兼山町1−3)
発表申込締切 :8月30日(木)
予稿原稿締切 :10月20日(土)
発表形式 :口頭発表(講演10分、討論5分)
参加登録費 :一般5000円、学生3000円(当日受付)
懇親会 :11月29日(木)18時

 *幹事は松村道雄先生です。色素増感太陽電池関連の発表は産総研からの2件のみですが、先日の月例ミーティングとほとんど同じ内容が聞けるかと思います。

 今月は講演会が目白押しですね。原先生、ありがとうございました。
 茨城大は今月15日だったでしょうか?えーと、、、>どなたか


【ちょっとお待ちを 2001.11.2】

 ただ今来客中にて、、、


【PCPM2002 2001.11.1】

 少し先の話になりますが御紹介を:「第5回 産総研 光反応制御・光機能材料 国際シンポジウム、PCPM2002は、平成14年3月18日(月)ー20日(水)に、産総研つくばセンターで開催いたします。」発表申込・予稿原稿締切は平成13年1月31日(木)です。

招待講演予定者の方々は
 Michael V. Alfimov (Photochemistry Center, RAS, ロシア)
 Biman Bagchi (Indian Institute of Science, インド)
 G. Gerber (University of Wuerzburg, ドイツ)
 山内 薫 (東大)
 Gerald J. Meyer (Johns Hopkins University, アメリカ)
 Tianquan Lian (Emory University, アメリカ)
 Kirthi Tennakone (Institute of Fundamental Scince, スリランカ)
 井上 泰宣(長岡技術科学大学)
 Joseph W. Perry (University of Arizona, アメリカ)
 杉岡 幸次 (理研)
 D. Fichou (CEA-Saclay, フランス)
 Joachim Stumpe (Fraunhofer IAP, ドイツ)
 谷口 彬雄 (信州大)
 市村 國宏 (東京理科大)
 澤田 嗣郎 (東大)

 そう言えば、先週の荒川研での月例研究ミーティングは非公開になったという案内がありました。特許の関係でしょうか?きっといい結果が出たんだと思います。(ニヤリ

 今日から11月!


【I-Vカーブトレーサ 2001.10.31】

 話が前後してごめんなさい。例によって I-V カーブトレーサー(MP-160)ですが、その後営業(というよりは技術?)の方から私のコメントに丁寧な解説をいただきましたので御紹介致します。
 余談になりますが、ここの会社のHPでは「太陽電池測定システム>太陽電池の出力特性と評価方法」と題してかなり詳しい太陽電池の評価方法を公開されています。

◆測定試料の電池に負荷をかけないような作りになっている。
--->これは、半導体用 I-V カーブトレーサーをそのまま流用したバイポーラ電源系の I-V カーブトレーサーですと、太陽電池に直に電圧・電流を加えることになり、シリコン系などの半導体ならまだしも、化学反応を利用した色素増感太陽電池では場合により何らかの影響があるかもしれません。(まだハッキリとした根拠はないですが実際疑い弊社の MP-160 では、トランジスタを使った電子負荷方式なので、太陽電池に”自動調整機能が付いた可変抵抗器”をつなげて I-V カーブを測定していると思って頂ければ結構です。つまり”太陽電池に直に電圧・電流を加えない優しい制御方式”ということになります。(詳しくは弊社のホームページを参考にして頂ければ結構です)

◆測定ケーブルがわざわざ4 端子法で測るようにできており、ケーブルの長さ(抵抗)に依存しない精密な測定が
--->2 線式ですとケーブルに流れるにより電圧降下が発生します。(電圧降下(V)=ケーブル抵抗成分(R)×太陽電池発電電流(I))
 例えば、ケーブルの抵抗成分が 1 [Ω/m] で太陽電池発電電流が 10 [mA] ならば、10 [mV/m] ということになります。チャンピオンデータを狙っているような場合は大変重要な誤差です。4 線式では、電圧検出用として2 線,電流検出用として2 線を独立して使っており、電圧検出用ケーブルには電圧降下を少なくする為に電流をほとんど流しません。電流を検出用には発電電流をそのまま流しますが、電圧は測定しません。この双方を組み合わせて誤差が極力少ない I-V カーブを測定しています。

◆光源の電源ノイズに由来するゆらぎ補正ができる。
--->人工光源下で太陽電池と一緒に光量モニタ用センサを置いておくことで、光量センサからの信号を PC ソフトウェアで処理し、I-V カーブに乗った光源の周波数成分の揺らぎを補正していきます。高価なソーラーシミュレーターは電源部に高周波インバーター制御方式を使って AC/DC 変換しておりますので、ほとんど I-V カーブは揺らぎませんが、安価な光源で揺らぎがある場合などに有効です。但し、色素増感太陽電池についてはシリコン系よりも応答速度が遅いことや、I-V カーブ計測に数秒〜数十秒を掛けていることもあり光源の揺らぎ補正は余り必要ないのが実状です。

◆応答が遅い色素増感太陽電池用に測定時間を広いレンジで変化させることが可能。
--->上記の質問の回答とも重複しますが、MP-160 のセールスポイントは 5 mA 程度の色素増感太陽電池なら十分に測定できる電圧・電流レンジを有していることと、応答速度が遅い色素増感太陽電池でも測定可能なことです。

◆基準セルを参照に用いてデータを取ることが可能。
--->光量検出用センサーとして、日射計の他に基準セルも可能ですので、将来的に色素増感太陽電池用基準セルが確立されても対応可能です。

◆A /D 変換器は 16 bit !!のものを使用。
--->本来ならば 18 bit や24 bit を使いたかったのですが、そこまでしてもアナログ回路が追いつかないとのことなので 16 bit にしました。しかし他社の I-V カーブトレーサーと比較しても分解能は負けていません。

◆将来的にフィールド試験などをする時にスキャナーを追加して複数のセルのデータを同時に採取可能。
--->屋外での特性評価方法が確立されることも考慮して、1 台で屋内・屋外で関係なく気軽に持ち運んで計測できるような設計にしました。モジュール(セル)切換スキャナーもその一つで、最大 48 枚までのサンプルを瞬時に計測しますので、日射変動の影響が極力少ない状態での評価が可能です。

◆手で持ち運びが可能(約 9 kg )。
--->他社のバイポーラ電源 I-V カーブトレーサーでは、電源トランスが数十キロにもなることや計測ラックに組み込まれていることが多いので、気軽に持ち出すとはいきません。弊社のMP-160 では一人でも持ち運べるサイズと重量にしておりますので、研究室内でのご使用から屋外でのフィールド評価まで場所を選びません。


【回折格子型分光放射計 2001.10.30】

 それともう一つ、これは面白いと思った測定装置がこれ、回折格子型分光放射計(LS-100)定価 180 万円

 早い話、分光光度計の受光部だけを取り出してきたような装置ですが、ソーラーシミュレータと組み合わせて面白いデータが取れます。すなわち、電池の試料を置く部分にこの放射計のセンサーを置きまして、センサーの上に色素を付けた(あるいはそのままの)酸化チタン膜電極を載せますと透過率のスペクトルを求めることができます。予めソーラーシミュレータの光だけを測定しておき、先のデータからさっ引きますと、オーバーオールの酸化チタン+色素が吸収した光のスペクトルが描けます。

 どこがどうすごいかと言いますと、、、モノクロメータを必要としない!あたりまえですが。さすがに IPCE を求めることはできませんが、それでも一種の分光感度と言いますか、光の吸収スペクトルが簡単に測定できるわけです。無論、ソーラーシミュレータのスペクトル校正にも使えます。


【続・I-Vカーブトレーサ 2001.10.29】

 先週の話に続きます。ちょっと変わったデータとしてリピートテストの結果を示します。画面は例によって英弘精機株式会社さんの I-V カーブトレーサー(MP-160)のものです。

 一度 I-V 特性を測定しインターバルをおいて 3 秒後、もう一度測ると見かけ上効率が Up します。その後は何度測ってもほとんど変化なし。セルの大きさや電解液量/種類などにもよるので一般的な傾向とは言い切れませんが、色素増感太陽電池ならではの挙動だと思います。

 をを〜、間違い間違い。計測間隔で 3, 10, 30, 60, 90 秒というのは、ISC〜VOC までの掃引時間でした。ちなみに“ 3 秒”の場合はサンプリングピッチが 3 秒/256点=約 12 ms で測定しています。


【STA 2001.10.28】

 緊急速報 おーい、おいおい!知らなかったのは私だけ!?
気がつくとオーストラリアの STA 社では面積 100 m2 のセルを公開しているじゃありませんか!!公開された写真の作製日を見ますと今年の 9/19 になっていますから、まだそんなに経っているわけではありませんね。

 画像解析の結果、1つの最小モジュールの大きさは 7×4 inch(17.78 cm×10.16 cm)で 4 本程度のストライプが入っています。これが 1 辺 10 m の正方形の形に全部で 98×56=5488 個敷き詰められています。モジュール同士が結線されているかどうかは不明ですが、写真左上に集電盤のようなユニットが見えます。右上の男の人はビデオカメラを撮影しているものと推測されます。

 これだけ並べていったいどれくらいの電力になるかという試算ですが、変換効率等いくつか仮定を置いて計算してみますと下のような結果となります。

変換効率 (%)

電流密度 (mA/cm2)

起電圧 (V)

出力 (W)

1

2

0.5

1000

3

6

0.5

3000

5

10

0.5

5000


 これで色素〜電池は遂に「可能性」の時代から「現実」へと移行したわけですね?

 ちなみに過去の不定期日記【STA 2001.6.13】で紹介しました「Titania DSC Technology(チタニア色素太陽電池技術)」なる CD-ROM($51)ですが、今は販売されていないようです。あ〜、誰か見学に行かれません?(ニヤリ


【写真館 2001.10.27】

 既に何度かおなじみの箕浦研ですが、先日岐阜大で開かれました講演会の写真が写真館に追加されました。
講演会場、発表者、懇親会等その場の雰囲気がよく伝わってきます。その筋の先生方が一通り見渡せます、ぜひとも御覧あれ。(笑

 私もね、行きたかったんですよホント。最近になってようやく自由に使えるお金が少し入ってきたんですが。。。


【I-Vカーブトレーサ 2001.10.26】

 しばらく前にも紹介したことがあるのですが、色素増感系にも対応した新型の太陽電池評価装置I-V カーブトレーサー(MP-160)の話です。わざわざ英弘精機株式会社さん(東京)の方から仙台まで、なんとなんと車で!装置を運んでいただきデモをして下さいました。

 気になるお値段は本体+ソフトで定価 240 万円也(センサー類は除く)。評価装置としては中級機の部類に入るかと思いますが、会社自身は気象観測用品を主軸とするこの分野では老舗で信頼性の高いものです。他社を見渡しても事実上、初級機に相当するものがない以上(← あったらぜひお教え下さい)、市販品で入手可能な評価装置のエントリー機として真っ先に候補に上がるものになるかと思います。

 装置の詳細はHPを見ていただくとして、私なりに理解した特徴を挙げますと
測定試料の電池に負荷をかけないような作りになっている。
測定ケーブルがわざわざ4端子法で測るようにできており、ケーブルの長さ(抵抗)に依存しない精密な測定ができる。
光源の電源ノイズに由来するゆらぎ補正ができる。
応答が遅い色素増感太陽電池用に測定時間を広いレンジで変化させることが可能。
基準セルを参照に用いてデータを取ることが可能。
A/D 変換器は 16 bit!!のものを使用。
将来的にフィールド試験などをする時にスキャナーを追加して複数のセルのデータを同時に採取可能。
手で持ち運びが可能(約 9 kg)。

といったあたりにあるかと思います。

1(20KB)

前景

2(24KB)

後景

3(24KB)

日射計(参考)

4(28KB)

測定風景(I-V & P-V)

5(32KB)

測定風景


連絡先は下の通り
〒151-0073 東京都渋谷区笹塚2-1-6(笹塚センタービル)
TEL 03(5352)2911 FAX 03(5352)2917
技術担当 蓑田(みのだ)さん

 実際にどんな測定をしたかというと、、、続く


【財団法人・社団法人 2001.10.25】

 意味のある比較になるかどうか分かりませんが、太陽電池・エネルギー関連の財団法人、社団法人HPのアクセスランキングです。2001.10.24 比べ。

 ここのHPも、ちゃんと英語版を用意したらもっとアクセス増えるんでしょうけどね。。。(汗)

(財)省エネルギーセンター(ECC)

1157532

(財)新エネルギー財団(NEF)

243385

(財)光産業技術振興協会(OITDA)

179425

太陽光発電協会(JPEA)

80239

(財)電力中央研究所(CRIEPI)

10218

太陽光発電技術研究組合(PVTEC)

8241

日本太陽エネルギー学会

6226

エネルギー・資源学会(JSER)

不明

(財)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)

不明

(財) 日本エネルギー経済研究所(IEE)

不明

(財)エネルギー総合工学研究所(IAE)

不明

(財)産業創造研究所(IRI)

不明

(財)熱・電気エネルギー技術財団(TEET)

不明

(社)ソーラーシステム振興協会(SSDA)

不明

(社)日本電機工業会(JEMA)

不明


 いつの間にか昆野昭則先生、こんな所に出ています。ちなみにも ^^ゞ


【ソーラーシミュレーター紹介 2001.10.24】

 株式会社ワコム電創さん。スタンダードソーラシミュレータと更に高級な2光源式高近似ソーラシミュレータなどがあります。後者は光源がキセノン+ハロゲンの特殊ミラー合成なんだそうです(1350〜1500万円)。

 工業技術院時代(たぶん今も?)、旧電装研に2光源式のすごいシミュレーターがシリコン太陽電池評価用に使われていたという話を聞いたことがあるのですが、違いましたでしょうか??

 A藤様、情報提供ありがとうございます。


【太陽電池コーナー 2001.10.22】

 もう。この世界、油断も隙もあったもんじゃない。

 シャープさんのHPがいつの間にか改訂されておりまして、太陽電池コーナーが設けられていました。実際に存在する天理ショールームの一室をHP上で公開したものですが、しっかりと「採光型太陽電池モジュール」「色素増感型有機太陽電池」が紹介されております。画像の日付を見ますと今年の 8/22 日になっていましたので、ごく最近公開されたものですね?

 そう言えば先日、○ITEのW辺さんから「地元の新聞にも掲載されていて、おもしろそうでしたよ!」と教えていただいていたのを思い出しました。はは。


【表彰式にて 2001.10.22】

 今日はババーンとね。いや、何がって見ての通りなんですよ。
先日お話しましたように、石川カーボン科学技術振興財団に応募した研究助成金が通りまして表彰式に出てきたのですが、来賓として祝辞を述べてくださったのがなんとなんと白川先生でした。いや〜、驚き。

 会場の経団連会館に少し早く着いたので待合室で資料を読んでおりましたら、ふと顔を上げますと目の前にTVで見慣れたあのお顔が!?これはチャンスとばかりに名刺交換させていただいたのですが、よく考えますと特に用があったわけでもなく、とりあえず「どうぞよろしくお願いします」などと差し障りのない、何が言いたいのかよく分からない挨拶になってしまったのでキョトンとされていたようです。(苦笑)

 無論、研究室に帰ってきて周りの人々には「白川先生に選んでもらった」という触れ込みでPRしてたりするわけですが、多少のウソはこの際、目をつぶっていただきたいところです。

 でもって今日のお題は石川理事長、選考委員の皆様、選んでくださいましてありがとうございました

追伸:ちなみに平成9年度の助成金贈呈者の1人は、、、静岡大の昆野昭則先生でした!!

 世の中狭い。


【文献紹介(後編) 2001.10.18】

 図面、全てまとめてこちら(216KB)。要するに Figure 3 に説明される SrTiO3 についての例外的なブルーシフトについて説明したかっただけのようですが、肝心の電池特性は(既に知られていることですが)Figure 5 にある通り TiO2 の半分以下であります。訳は相変わらず、、、手抜きでごめんよ:投げやりモード(汗)

【結果と考察】
1.半導体/色素界面における相対エネルギー準位構成
 
Figure 1:通常、光電池の起電圧は光誘起によって生じる2つの電極間のフェルミレベル(EF)の差で決定することができる。色素増感太陽電池では、これらのフェルミレベルは溶液中の酸化還元対の電位と電子伝導半導体の伝導帯端(ECB)から見極めることができる。

 
Figure 2:ナノ結晶膜の表面に吸着された色素分子が光子を吸収して獲得したエネルギーを失うまでにはいくつかの機構が存在する。

 i: 熱的脱励起
 ii: 放射型脱励起
 iii: 半導体への電子もしくはホールの注入とそれに続く電解質からのホールまたは電子移動による基底状態の再生

 こうした機構によって与えられた(半導体+色素)/酸化還元対界面はエネルギー準位の相対位置に大きく依存する。
*i, ii がエネルギーロスのほとんどで、残りの僅か iii だけが電子として取り出される

 
Figure 3:アナターゼと比較して SrTiO3 の場合についてのエネルギー準位構成を模式的に示す。なアナターゼ型 TiO2 と SrTiO3 表面の接触電位差測定の結果より、ECB 値〜-4.4 と -4.2 eV(〜-3.9 と -3.7 eV)vs Evac が見積もられた(括弧内の値は溶液中での推算値である)。

 有機溶媒中におけるヨウ素の酸化還元電位は -4.85 eV で、N719 の HOMO と LUMO 準位は Evac 下で -5.45 と -3.85 eV と計算される。これらの値は HOMO-LUMO 間のエネルギー分離が 水素標準電極(NHE)より -4.5 eV vs Evac であることから、1.6 eV として計算された。この後者の値 1.6 eV であるが、free な色素については既に 1.7 eV 以下であることが報告されており、我々がアナターゼ基本セルで測定した SPV の立ち上がり波長〜780 nm と一致する(
Figure 4 参照)。

2.電子注入に対する表面電位(SPV)分光測定
 
Figure 4:構成した電池において、多孔質のナノ結晶 TiO2, SrTiO3 および Nb2O5 半導体膜の SPV スペクトルを接触電位差の変化として調べた。代表的な結果を Figure 4 に示す。

 TiO2 において 780 nm 近傍で観察された負の信号は色素から TiO2 の伝導帯への電子の注入によるものである。SrTiO3 と Nb2O5 については同様のシグナルを得たが、TiO2 シグナルと比べてかなりのブルーシフトが観察された(35 と 50 nm、即ち 0.08 と 0.11 eV)。

 
Figure 5 にセル中の異なる膜上に乗った N719 の光学吸収スペクトルを示す。Nb2O5 では表面の酸性度が高く、pH が減少すると N719 のスペクトルがレッドシフトすることが知られていることから同じようにレッドシフトが予想される。また SrTiO3 については表面の SrO 部位は TiO より塩基性が強いため(アナターゼに比べて)ブルーシフトすることが予想される。しかしながら反射損失について得られたスペクトルは全く差がなかった。

 従って先に(Figure 4 で)観察されたブルーシフトは、異なる酸化物表面に吸着した色素の光学吸収が変化したのではないと結論付けられる。むしろ、ここでは
Figure 3 に示されるように色素の LUMO 準位より上の準位からの電子が注入される場合があることを提案したい。

 
Figure 5b で SrTiO3 とアナターゼを基本とした DSSC の IPCE データを見ると、SrTiO3 を基本としたセルではアナターゼのものよりブルーシフトしていることが分かる。

【まとめ】以下のような結論を得た。
・DSSC は単純な(Eredox−ECB)モデルから予想されるよも高い光起電圧を得ることがある。→ SrTiO3
・種々の DSSC 構成の関連するエネルギー準位の知識を元に電池の挙動が予測できるようになる。
・通常の条件下では色素の HOMO 準位は半導体との電荷交換が可能な位置に存在する。


【文献紹介(前編) 2001.10.17】

 今日はこれで勘弁してね。最近のグレッツェルらから報告された色素と酸化チタン間の電子のやり取りに関しての論文です。

Frank Lenzmann, ... , M. Graetzel et. al., J. Phys. Chem. B, 106, 6347-6352 (2001)
Surface Photovoltage Spectroscopy of Dye-Sensitized Solar Cell with TiO2, Nb2O5 and SrTiO3 Nanocrystalline Photoanodes: Indication of Electron Injection from Higher Excited Dye States
「TiO2, Nb2O5 及び SrTiO3 ナノ結晶光電極を用いた色素増感太陽電池の表面電位分光」

【はじめに】
 3種類の多孔質なワイドギャップ半導体 TiO2(アナターゼ), Nb2O5 及び SrTiO3 を用いて、 Ru 色素を用いた色素増感太陽電池(DSSC)における表面電位吸収端(SPV)を測定した。実験より、これら酸化物の伝導帯エネルギー端(ECB)の位置が、SPV へ影響を及ぼすことが明らかになった。このことは TiO2 よりも Nb2O5 や SrTiO3 を用いた電池のブルーシフトにおいてより際だっている。今回、我々は新たにこのブルーシフトが色素の LUMO より上の励起状態の色素準位から Nb2O5 や SrTiO3 への電子注入によって起こる機構を提案する。

【実験】
1.材料
(a) ナノ結晶膜
 電子伝導体として用いる種々のナノメートルサイズの薄膜の調製の詳細とミクロ構造評価は文献に示されている。厚さ 5-6 μm の半導体膜をシート抵抗 15 ohm/□の 300-400 nm 厚の透明導電性酸化物 SnO2:F で覆われたガラス(Libby-Owens-Ford 製 TEC 15)上に調製した。電極は直径 〜10-20 nm の空のチャンネルを持つ内部接合されたナノサイズ粒子から構成される。BET 測定と走査型電子顕微鏡観察より、粒子サイズはアナターゼでは単一形態の ~15 nm、SrTiO3 では 10-15 nm と 40-60 nm の2形態、Nb2O5 では 30 nm 付近に中心を持つ比較的広い分布を持つものであった。SrTiO3 はペロブスカイト構造の粒子である。Nb2O5 膜の特性はアニール温度に強く影響を受ける。特に言及しない限り、我々は膜を 600 ℃でアニールした。この場合、良好な(ナノ)結晶性とそれに対応した斜方晶系の構造を示した。

(b) 電解質
 電解質はアナターゼを基本とした色素増感太陽電池については標準的なものである。組成は次の通り:メトキシアセトニトリル中、ヨウ化ジメチルプロピル−イミダゾリウム 600 mM、I2 50 mM、t-ブチルピリジン 500 mM、LiI 100 mM

(c) 色素
 本研究で用いた色素は cis-2(チオシアン酸)N,N-2(2'2-ビピリジル-4,4ユ-ジカルボン酸)-ルテニウム (II) の 2(t-ブチルアンモニウム)塩であり、以後ここでは N719 と呼ぶ。電極の染色は、膜を色素溶液中室温で 15 h 浸漬することで行った(濃度:3×10-4 M, 溶媒混合:アセトニトリルと t-ブチルアルコールを体積比で 1:1)。

2.技術
 光電池の表面光電位分光(SPV)は開回路でのスペクトル応答を見るものである。Au 電極を対極として、液体と接する試料電極との間における接触電位差(CPD)を測定した。CPD の変化は仕事関数の差として反映する。これにより平衡状態のフェルミレベル(EF)と光励起された表面の電子の分布を反映する電子準フェルミレベル(EFn)間の差の測定が可能となる。この差は光励起された表面の光起電圧を与える。これが波長の関数として起きると、SPV スペクトル(SPS)が得られる。

 全ての測定において、電池は溶液を通過して正面から光照射した。立ち上がり波長の決定の精度は異なる電極で繰り返した実験より 15 nm かそれ以上と見積もられた(Figure 4b)。

3.電池の組み立て
 染色した電極はナノ結晶膜を非常に薄いガラスシートで覆い、液体のサンドイッチ型セルとして組み立てた。膜とガラスカバー間に電解液を毛細管力で染み込ませた後、ロウワックスで封止した。注意深く組み立てた後、漏れの無いようワックスで固めた。続く。


【続・10% 2001.10.17】

 ちなみに昨日の図で左上についているマークはこのセルを評価した機関?でアメリカの「国立再生可能エネルギー研究所(NREL)」を表します。

 過去の仕事を遡ると、、、「Photochemical Solar Cells Based on Dye-Sensitization of Nanocrystalline TiO2と題して 1998.7 に報告書(5 ページ)が公開されています。(pdf 110kB)

 この時のエネルギー効率は ~9.2% at AM1.5。標準的なセルとは別に新たな試みとして Ru 色素の代わりに鉄 (II) ビピリジル錯体についても検討しています。


【10% 2001.10.16】

 今日のテーマは「グレッツェルの 10% セルを検証する」。
ある意味何度も見慣れた図ではありますが...。 元データはこちら、1998 年 10 月です。
面積が 0.1863 cm2 と、やたら中途半端なんですよね。セルの形が四角形と仮定しますと
 (1) 5 mm×3.726 mm
 (2) 4.5 mm×4.14 mm
 (3) 4 mm×4.658 mm
 (4) 3.5 mm×5.323 mm
 (5) 3 mm×6.21 mm
いずれも締まりのない大きさになります。円を仮定しても r = 2.435 mm。なまじ有効桁数が4桁もあるだけに、中途半端感が否めません。

 色素は Black dye が使われています。【御講演 2001.7.6】で紹介しました富士写真フィルム(株)の宮坂 力 さんによりますと、長波長まで使える色素(→ Black dye)は代償として IPCE の平均値が低くなるため、必ずしも効率が上がらないとおっしゃっておりました。難しいところです。

 効率と同様に性能の目安となる短絡電流密度ですが、それにしても 20.53 mAcm-2 というのはすごいですね。評価方法の違いが影響しているとは思いますが。ここでちょっと気になることが1つ。1991 年、Nature にて華々しく DSC を公表した時の効率が 7.9%。その後 7 年かかって達成した上記のセルが 10.4%。そういうもん?(← 進歩の度合い)


【EPFL 2001.10.15】

 今日のテーマは「グレッツェル研を探る」。

スイス連邦エコール工科大学(EPFL)
物理化学研究所(ICP)
 └光子及び界面研究室(グレッツェル研)(LPI)
   ・研究テーマ紹介
    ├ナノ結晶薄膜に基づく色素増感太陽電池
    ├─動作原理等解説(6 ページ)
    ├大面積電力応用に向けた色素増感太陽電池の長期安定性(8300 h を実証)
    ├光デバイスに関連したナノ結晶薄膜の代表論文(最終更新日1999.12)
    ├色素増感太陽電池に関するナノ結晶半導体酸化物薄膜についての他研究室からの論文(最終更新日1999.4)
    └特許リスト(M. Graetzel)(最終更新日2000.11)

   ・グレッツェル教授の紹介(1944 生、市民権ドイツ、既婚、息子1娘2)
    └論文発表リスト(約 400 報)
   ・メンバー表(41 名)

 欧州って、光化学が盛んですよね。。。


【JPC-B 2001.10.12】

 今日は久々の?文献紹介。Tributsch 先生のグループから出た最近の論文です。
M. Turrion, B. Macht, H. Tributsch and P. Salvador
J. Phys. Chem. B 2001, 105, 9732-9738
Potential Distribution and Photovoltage Origin in Nanostructured TiO2 Sensitization Solar Cells: An Interference Reflection Study
「ナノ構造 TiO2 増感太陽電池における電荷分布と光電池起源:干渉反射の調査」

FTO/TiO2/dye 界面のバンド構造について検討しています。この類の論文は手を代え品を代え、ある意味繰り返されるところを見ますと結局(電子伝達のし方が)まだ良く分かっていない」ということなんでしょうなぁ。

 おぅーい、グレッツェル研滞在中のKさん、見てますかー?


【電気化学講習会 2001.10.11】

 再掲でごめんなさい。プログラムにもありますように中身も(値段も?)かなり濃い内容となっております。
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第31回 電気化学講習会
 ミレニアムテクノロジーと電気化学 

主 催:電気化学会関西支部
協 賛:応用物理学会関西支部、大阪科学技術センター、化学工学会関西支部、
    近畿化学協会、電気化学会電池技術委員会、日本化学会近畿支部、
    日本材料学会関西支部、表面技術協会関西支部
日 時:
2001 年 11 月 8 日(木)・ 9 日(金)
場 所:
京大会館
     〒606-8305 京都市左京区吉田河原町15-9
     電話 075-751-8311(代)
プログラム:pdf 版は
こちら

第1日・11月8日(木)

 

開会の辞

10:00〜10:10

1.

金属ナノ粒子とその複合体の新しい調製法

神戸大工 

出来 成人 

10:10〜11:10 

2.

IT時代の材料開発−コンビケム触媒を例として−

産総研

小林 哲彦

11:20〜12:20 

3.

イオンビームを利用する環境調和型光触媒の開発

阪府大院工

山下 弘巳 

13:30〜14:30 

4.

多孔質シリコンに現れる諸形態

京大エネルギー
理工研

尾形 幸生 

14:40〜15:40 

5.

セラミックスナノチューブの創製と利用

京大エネルギー
理工研

足立 基齊

15:50〜16:50

第2日・11月9日(金)

 

6.

固体表面上のナノ構造形成と新機能デバイスの開発

阪大院基礎工 

中戸 義禮 

9:00〜10:00

7.

高次機能調和材料創成の原子・分子プロセッシング

阪大産研

川合 知二

10:10〜11:10 

8.

自己組織化電析による無機/有機ハイブリッド薄膜の作製と色素太陽電池への応用

岐阜大院工

箕浦 秀樹

11:20〜12:20 

9.

色素増感太陽電池の現状と展望

シャープ

韓 礼元

13:30〜14:30 

10.

多孔質シリコンを用いた新SOI形成法:ELTRAN

キヤノン

米原 隆夫

14:40〜15:40 

11.

電気化学プロセスにもとづくナノファブリケーション

東京都大院工

益田 秀樹

15:50〜16:50

閉会の辞

16:50〜17:00


参加費:会  員(協賛学協会会員を含む)
28,000円 (テキスト1冊を含む)
    学生会員(協賛学協会会員を含む)3,000円 (テキスト1冊を含む)
    会 員 外 38,000円 (テキスト1冊を含む)
    テキストのみ(送料共)10,000円
申込締切:10月26日(金) 定員110名になり次第、締め切らせていただきますので、お早めにお申し込み下さい。
申込方法:申込みフォームからのお申し込み下さい。
送金方法:お申し込み後、下記のいずれかの方法にてご送金ください。
    郵便振替 口座番号 00940-7-156908
           加入者名 電気化学会関西支部事務局
    銀行振込 三井住友銀行 六甲支店 普通 4008790
           口座名  電気化学会関西支部事務局
申込・問い合わせ先:〒657-8501
    神戸市灘区六甲台町1−1
    神戸大学工学部応用化学科内
    電気化学会関西支部事務局
    水畑 穣
    電話&FAX:078-803-6186
    
E-mail: kansai_sibu@cx2.cx.kobe-u.ac.jp
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【講演会にて 2001.10.10】

 先週岐阜大学で大々的に開かれました講演会ですが、写真をいただきましたので公開したいと思います。ちょうど、荒川先生の御講演に柳田先生が質問をされているところです。聴衆の中に Tennakone 先生や昆野先生が写っているそうですが、分かりますでしょうか? 撮影は箕浦研の杉浦助教授です、無断で借用してしまい申し訳ありません。m(--;)m

 実は参加者の一人から感想を聞かせていただいたのですが、「質問時間がたりないなあという感じでしたよ」とのお話でした。いただきました写真を見ますと確かに 100 人!以上の参加があったようで、大盛況のうちに終わったようです。


 次なるイベントには「第31回 電気化学講習会 」というのが控えておりまして、大忙しの箕浦先生でした。 (^^;)

 独り言モード: あぁ、少しだけ運が向いてきたかも。


【日曜日に趣味のゴルフは欠かさない 2001.10.9】

 大阪大学柳田教授の「発明は金なり」 週間朝日10月12 日号(190 KB)
白色LEDで「特許億万長者」へ!?

 御意。売れるような技術でないと意味がないですよね。
「国立大の教官は警察官と同じ公務員。民間の研究者には親切におしえないといけない」
肝に銘じたいと思います。あっ、でもあと 2 年半ほど経ったら大学も民営化されて「国立大学」は無くなるんでしたよね?


【お知らせ 2001.10.5】

 よく調べるとシンポジウムラッシュ。それはさておき、明日・明後日は岐阜大学で大事な講演会でした。箕浦先生、調子は如何でしょうか?

光電気化学研究懇談会平成13年度第2回研究会・触媒学会関西地区講演会
「21世紀をリードする光電気化学 − 光触媒と色素増感型太陽電池」

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平成13年度文部科学省科学研究費補助金研究成果公開促進費
「研究成果公開発表(A)」補助事業
第16回大学と科学公開シンポジウム −光とナノテクノロジー−
後援:日本化学会
会期:11月21日(水),22日(木)
会場:日経ホール(千代田区大手町1−9−5)
参加申込締切:定員(650名)になり次第締切
1.光が拓くナノの世界(阪大)河田 聡
2.光で原子を積む(東工大)大津元一
3.ナノの光で原子を読む(阪大)菅原康弘
4.ナノ機械を光で作る(東北大)羽根一博
5.ナノの光メモリ(九大)入江正沽
6.微小球レーザー(東大)五神 真
7.光で生体分子の力を測る(阪大)柳田敏雄
8.ナノの顕微鏡でバイオを読む(名大)楠見明弘
9.細胞情報伝達のナノ刺激とナノ観察(阪大)中村 収
10.大学と科学と産業社会:光ナノ産業の理実と未来(ニコン)吉田庄一郎
11.ナノ微粒子の色(神戸大)林 真至
12.熱の出ないナノ・ランプ(阪大)高原淳一
13.ナノ粒子を1粒ずつ捕らえて見る(阪大)増原宏
14.空中で作って見る一粒の微粒子(学習院大)小谷正博
15.溶液一滴の分子反応(北大)喜多村 昇
16.半媒体ナノ粒子の機能(阪大)伊藤 正
17.有機結晶をナノ光源で読む(九大)高原 淳
18.ナノ粒子から作る新材料(東北大)中西八郎
参加費:無料
参加申込方法:下記事項を記入の上,E−mail,FAX,郵送のいずれかの方法でお申込み下さい(下記ホームページからもお申込みができます)。@連絡先(住所,電話,FAX,E−mail,自宅か勤務先かを明記),A氏名,年齢,性別,B職業(勤務先,役職名),C参加希望日時
申込先:164-0003 中野区東中野 4−27−37 (株)アドスリー内「光とナノテクノロジー」事務局(担当:横田・石井) 電話(03)5925-2840 FAX(03)5295-2913 E−mail: info@adthree.com ホームページ: http://www.adthree.com
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【お知らせ 2001.10.4】

 日本学術会議第 8 回シンポジウム
光エネルギー利用法の新しい展開
主催:日本学術会議材料工学研究連絡委員会 日本学術会議化学研究連絡委員会 界面科学技術機構
協賛:日本化学会
会期:11月13日(火)lO時〜17時20分
会場:日本学術会議講堂(港区六本木7−22−34)
参加申込締切:11月5日(月)
1.光機能界面の重要性(東大院工学研)藤嶋 昭
2.機能材料とナノテクノロジー(東大院新領域創成科学研)北澤宏一
3.太陽光エネルギー利用を目指した光触媒による水の分解反応(東理大理)工藤昭彦
4.色素増感型新規太陽電池(産総研光反応制御研)荒川裕則
5.光触媒の現状と将来(東大先端科技研)橋本和仁
6.光機能界面を利用した新しいセンシング法(慶大理工)鈴木孝治
参加費:無料,要旨集代 3,000 円,懇親会 3,000 円(希望者,当日)
参加申込方法:氏名,勤務先,連絡先住所,電話・FAX番号を明記の上,下記まで郵便,FAXまたはE-mailにてお申し込み下さい。
申込先:100−0005 千代田区丸の内 1-1-3 AIG ビル 9 階 界面科学技術機構 界面シンポジウム係
電話/FAX(0463)61−6221
E−mail:murase02@olive.ocn.ne.jp

 あのう、一昨日紹介しました 1月25〜26日のシンポジウムではグレッツェル教授がいらっしゃるという話は本当でしょうか?


【ハズレ 2001.10.3】

 あ゛ーーー。愚痴ってもいいですか?

 科学技術振興事業団(JST)さきがけ研究21/PRESTO「秩序と物性」に酸化チタン・ナノチューブやらを用いた色素電池のテーマで応募していたのですが、あっさり蹴られてしまいましたよ。個人支援型の大型予算なので楽しみにしていたんですがねぇ(応募総数113件、面接選考予定 22件)。計画が悪かったのか、業績が足りなかったのか??

 その代わりと言ってはなんですが、石川カーボン科学技術振興財団に出していた研究助成が通りました。規模は2桁ほど小さいごくごくわずかなものですが、ありがたいことです。(嬉泣)

 あ゛ーーー、あと少しだけ自由になるお金が欲しい。情報収集に結構、自腹切ってるし > 私。


【お知らせ 2001.10.2】

 文部科学省科学研究費補助金特定領域研究(A)
  光機能界面の学理と技術
  
一 研究構想公開シンポジウム 一

 平成13年度より、文部科学省科学研究費補助金特定領域研究(A)の新規領域として「光機能界面の学理と技術(領域代表:藤嶋昭)」が発足しました。本領域は、光を利用して物質やエネルギーの変換を行う機能界面を包括的に捉え、その基盤となる学理の確立をめざします。この学理には、光化学、電気化学、界面科学、反応化学、材料化学、環境科学、生物学、医学、物理工学など、光機能界面に関わる学際的領域の理学と工学が幅広く含まれます。次世代太陽電池として大きな注目を集めている色素増感太陽電池や生体機能を模倣する光エネルギー変換、環境中の低濃度有害物質の分解や有害微生物の除去をめざした高機能光触媒の開発、ナノスケールの界面構造制御や空間異方性制御などによる光機能新材料の創成、界面光化学反応で中心的役割を担う反応中間体の動的挙動解明と反応予測、光機能界面の本質的理解をめざした各種計測技術の開発やそれらの各種デバイスヘの応用など、広範な展開を視野に入れた「光機能界面」に関連する研究全般をその対象とします。今回は、平成13年度から平成18年度までの6年にわたる本領域の研究構想を展望する公開シンポジウムを、以下の要領で開催します。

会期:平成14年1月25日(金)〜26日(土)
場所:東京大学先端科学技術研究センター講堂
ほか
   (東京都目黒区駒場4−6−1)
参加費:無料(懇親会費5000円)
懇親会:平成14年1月25日(金)18時より

参加申込:一般発表(ポスター形式、常勤研究者で1人1件に限る)を募集します。参加希望者は、@発表希望の有無(有の場合は、その発表題目)A氏名、B所属、C連絡先住所、D電話番号とFAX番号、EE−mailアドレス、F懇親会の参加不参加、を明記し12月7日までに下記宛、郵送、FAX,E−mailの何れかでお中し込み下さい。なお、要旨集原稿締切は1月9日の予定です。
申込先:〒153−8902東京都目黒区駒場3−8−1東京大学大学院総合文化研究科
    広域科学専攻瀬川研究室内「光機能界面」事務局
        TEL:03−5454−6579 FAX:03−5454−6998
        E−mail:csegawa@mail.ecc.u−tokyo.ac.jp


【セラ協 2001.10.1】

 先週はセラミックス協会の年会に行ってまいりました。会期が3日に伸びたことと東京で開催されたせいもあって(←自分の関連した発表が終わると帰ってしまう)、盛り下がっていたように思います。

 色素系は若干話がありまして、慶大の今井先生のところが「水溶液からの直接析出による TiO2 薄膜を用いた色素増感湿式太陽電池の低温合成」を発表されていました。溶液法で一気に厚膜化がはかれるスマートな成膜法です。

 また電気化学会でもお目にかけましたが静岡大の金子正治先生(発表、奥谷先生)のところでは「スプレー熱分解(SPD)法による TiO2 薄膜の多孔質化と色素増感太陽電池への応用」と題して 5~6% とかなり高い値が公表されていました。成膜速度は 20 micron/5 min!だそうです。

 今日から10月。あぁ、科研費の書類書きが。。。  *メールのお返事、今しばらくお待ちを


【発表当日 2001.9.28】

 未来日記の続きです。(笑)

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謝辞


【うろうろ? 2001.9.27】

 折角なので発表に用いた OHP でもどうぞ。

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【行って来ます 2001.9.26】

 帰ってきて早々、申し訳ないのですがまたまた出張で出かけてきます。私の発表日は金曜日、内容は先週の電気化学会の時とほぼ同じです。懇親会は、、、たぶん出ません。

日本セラミックス協会 第14回秋季シンポジウム、東京(東京工業大学・大岡山)
プログラム(一部抜粋):★★9 月28 日(金)(A 会場)★★
〔環境・エネルギー問題とセラミックス材料の新展開/エネルギー関連材料〕
3A02 色素増感太陽電池に向けた酸化チタンペーストのレオロジーと最適化の検討(東北大)○内田聡・殷シュウ・佐藤次雄
3A03 水溶液からの直接析出によるTiO2 薄膜を用いた色素増感太陽電池の低温合成(慶大)○渡辺敬次・山火智・今井宏明
3A04 ナノサイズ酸化チタン粉末の水熱処理と光電極への応用(東北大)○冨羽美帆・内田聡・殷シュウ・佐藤次雄

 あまり色素〜電池とは関連しない学会なのと、既に先週の学会で大方の用は済んでおりますので、しばしの息抜きといった感じです。


【ただいまー 2001.9.25】

 はいはい、行ってまいりました、2001年電気化学会秋季大会。写真は懇親会会場での一コマです。

 柳田先生、絶好調でした。「太陽電池は明るい所(国・人柄?)でないと売れない」「色素〜電池も目指す所はユニクロ化(低コスト化)だ」などなど主張されておりました。はい。勉強になります。

 
電気化学会の中では最も盛り上がったセッションの1つでしたが、一頃の異常な熱気は冷めて少し落ち着いた感じですかね?去年、先端研で開かれたセミナーではデジカメのフラッシュがひっきりなしに焚かれて、懇親会は大名刺交換会の様相を呈していましたが、今回はいたって普通だったように思います。例年、秋季大会よりも春季大会の方が活発なようで(ホント?)、次回が楽しみです。ちなみに開催地は仙台です。よろしかったら見学にでもどうぞ。(^^;)


【2001年電気化学会秋季大会(二日目) 2001.9.21】

 発表中?お疲れさまでした。


【2001年電気化学会秋季大会(初日) 2001.9.20】

 情報収集中。夕方は懇親会へ。

 ウロウロしていると思いますので、気軽に声を掛けてください(笑)。


【カウントダウン1 2001.9.19】


【OHP3】
 分散という意味からも重要なポイントとなります。これは酸化チタンペーストを混合する上で遊星ボールミル処理の有る無しによる電極性能の違いを示しておりますが、pH 調製などをせずにそのまま混ぜますと起電力が半減するということを意味しております。

 そこで本研究では Rheology の観点から、より均一に分散した酸化チタンペーストができるための諸条件を検討し、なおかつ高粘度である「酸化チタンペーストの開発」を試みました。

【OHP4】
 実験です。ナノサイズ酸化チタン粒子の例として一次粒子径 7nm, 比表面積 300 m2/g の酸化チタン粉末 (石原産業製 ST-01) を、比較として MERCK 社製の顔料サイズ酸化チタン(0.2〜0.3 micron)を用い、硝酸水溶液もしくは純水との単純混合系ペーストを調製して pH と粘度との関係を調べました。また増粘剤として分子量の異なる各種 PEG(ポリエチレングリコール)を添加し、粘度との関係を調べました。固液比は TiO2 30 wt%, PEG は TiO2 比で 40 wt% の添加を基準としました。

 いよいよ明日、東京へ出かけてきます。積もる話は後ほど。


【カウントダウン2 2001.9.18】

 気がつくともう目の前ですナ > 学会。別に手を抜いていたわけでもなく、無論、時間に余裕があったわけでもないのですが用意がままならず早くも?焦っております。ハハ

 というわけで不定期日記の更新も「どうしよう、どうしよう」と思案していたのですが、発表原稿をそのまま載せることにしました。図は当日のお楽しみということで1つ。

【OHP1】「色素増感太陽電池に向けた酸化チタンペーストのレオロジーと表面電荷の検討」

【OHP2】
 色素増感太陽電池の電極材料が安定した高い性能を維持するためにはナノサイズ酸化チタン粒子が均一に分散したペーストの調製が欠かせません。またこうしたペーストを用いて酸化チタンの膜を調製する方法には多くの手法があります。

 研究室でよく用いられるのはガラス棒で引き延ばすようなスキージ法で、通常は数百〜数千 cP の粘度に調製したペーストが用いられます。

 一方、将来的な量産化や厚膜化を考える場合はスクリーン印刷などの手法が用いられますが、更に1桁以上高い粘度が要求されます。しかしながら単純に固液比を高くする、あるいは増粘剤を多量に添加するということをしますと、成膜にいろいろな良くない影響を及ぼします。 、、、(ただ今作業中)


 私信モードで:改めて値段を確認したらびっくり(高っ)! Fujimori 様、御厚意とは言え本当にありがとうございました。結果は学会までには出せるかと思います。


【祝 60,000 アクセス 2001.9.17】

 危ない危ない、うっかり見過ごす所でした。祝60000カウント達成!

 みんな、知ってました?光触媒用として売られているナノサイズ酸化チタン粉末の多くは「酸化チタン」とは書いてあるけど「二酸化チタン」とは言っていないんですよ! 興味なかったですか?


【野暮用にて 2001.9.14】

 Zzz... 


【固体化? 2001.9.13】

 未来日記で申し訳ありませんが、今日と明日は不在にします。折角の機会なので1つ紹介致しましょう。色素〜電池関連で既に特許もいくつか出されているダイソー(株)さん。今もさること2年前、近畿化学協会主催の「技術・情報交流展'99」HPにて気になる紹介文が出されています。

高分子固体電解質/高分子量イオン導電性ポリマ−
用途:
 Liポリマ−電池電解質(完全固体型およびゲル型)
 エレクトロクロミック素子電解質
 
色素増感太陽電池やキャパシタなどの固体電解質
 帯電防止ポリマ−


【高分子討論会 2001.9.12】

 だーっ、見落としていましたよ。今日から早稲田大学にて第50回高分子討論会

主催:光化学協会 共催:日本化学会ほか
会期:2001年9月12日 (水) 〜 14日 (金)
会場:早稲田大学大久保キャンパス(東京都新宿区
プログラム(一部抜粋):9月13日(木)
エネルギー変換・貯蔵と高分子 17:05 W20
ヨウ化物常温溶融塩の物性と色素増感太陽電池特性の相関
産総研関西セ ○松本 一,科技団 松田 敏彦,産総研関西セ 蔭山 博之

と言いますか、一昨日から金沢市で「2001年 光化学討論会と21世紀の光化学国際会議」でしたね > 皆様。

 すごいことになっちゃいましたね > U.S.


【封止剤 2001.9.11】

 今日はネタ提供なし。独り言。

 ここ最近、また見学希望のお客様がちらほらと増えてきております(ありがたいことです)。話に登ったのは、既に製品として世に出ている“液晶”もこれから世に出る?“色素増感太陽電池”も作りは一緒なのだから、実用に耐えるような電解液の封止はできるのではないか?という提案でした。さもありなん。固体化ができればそれに越したことはないのですが、湿式電池もそれなりに使えるかな、と思った次第。

 もっとも、今研究開発に取り組んでいる某メーカーさんは特に気負いもなく「固体化は必須」とおっしゃっておりました。

 そうかぁ、蒸気圧ですか。。。


【patent 2001.9.10】

 久々に特許情報更新。これまでの発掘件数は 265 です。種別が分かるように IPC コードも収録することにしました。

昭57

昭60

平01

平05

平06

平07

平08

平09

平10

平11

平12

平13

2

1

1

1

2

4

7

7

15

42

102

(81)

(265)


 前々回に“頭打ちなのではないか?”と言いましたが取り消します。少なくとも 2001 年は前年を上回ることはほぼ間違いないと思われます。


【東芝レビュー 2001.9.7】

 文献紹介。

野 裕康、村井 伸次、御子柴 智「固体電解質を用いた色素増感型太陽電池」東芝レビュー, 56(8), 7-10 (2001) (pdf ファイル 104KB)

 色素増感型太陽電池は,高効率ながら従来のシリコン系太陽電池に比べて,低コストで製造できる利点を持ち合わせた新しい太陽電池として注目されている。しかし,これまで電解質として有機溶剤系の電解液を使用していたため,漏液や長期安定性などの課題が多く,なかなか実用化に至らなかった。
 当社では,これらの課題を解決するため,化学的に安定な常温溶融塩に着目し,これを色素増感型太陽電池の電解質として用いることを試みた。更に,これをゲル化技術により固体化することにも成功した。得られたセルを評価した結果,変換効率7.3 %と高い値が得られ,長期信頼性に優れ,低コストで高効率な太陽電池を実現した。


【Flower power なるか? 2001.9.6】

 “保育所”と言えば、しばらく前から気になっていた通園途中で見かける朝顔。そろそろ季節も終わりと見えて、数が減ってきたので(手もちょうど空いたし)、いてもたってもいられず花びらを採取してきました。無論、目的は Ru-色素の代替物探しです。

 メタノールで湿らせた状態ですりつぶすと綺麗な濃紫色の溶液ができます。改めで自分でやってみると面白い!BBS にも書き込みがありましたが、天然モノは面白い!!久々に胸がワクワクします。光電変換特性はまだ測定していないのですが、いずれ報告したいと思います。


【チョコっとひまわり 2001.9.5】

 ここ最近は5時半ちょっと前に仕事を切り上げて聡一郎を迎えに保育所へ行き、車で帰宅して食事と風呂、そして8時頃再び職場へという日課が続いている。

 職場へ戻るとき、なんとなく口寂しいのでペットボトル飲料や(たまに)おやつを持ち帰ったりするのだが、昨日何気なく LOTTE の「チョコっとひまわり」を食べてて驚いた。成分表を見たらおっ?こんなところでお目に掛かるとは。。。

 販売社はロッテ電子工業株式会社さんでした。なぜに「ロッテ」で「電子」??


【シリコーン・オイル 2001.9.4】

 今日は失敗例の公開。ものは試しということで絶縁性のシリコン、いや、シリコーン・オイルに金属ヨウ素粉末を溶かしてみました。

(1) 予想に反して?Oil 1g につき I2 約0.07g 程度溶けます。
  この濃度は仮にオイルの比重を 2 と仮定すると I- 換算で
  約 1 mol/L というかなり高い濃度となります。

(2) 色は紫色をしていました。ヨウ素でんぷん反応のようにヨウ素金属
  が何らかしらの理由で解離してヨウ化物イオン(I-)となり、オイ
  ルのポリマー鎖の編目に捕捉されて安定構造を作り、呈色したもの
  と想像します。

(3) 残念ながらこの粘性液体の導電性は確認できませんでした。

 電池材料には使えませんでしたが、もっと別な用途がありそうに思います。


【トリガー 2001.9.3】

 Nishimoto さん情報。今月の記事は「太陽光発電、2010 年 500 万 kW 導入は本当に可能か?」

 先日事業を開始した NEDO のプロジェクト紹介的な内容となっています。「トリガー TRIGGER」2001 9 月号、\800 です。

 今日から9月!


【スクリーン印刷(3) 2001.8.31】

 話が前後しますが、スクリーン印刷で酸化チタン膜の成膜を試みました。(12kB)は加熱後の表面のプロファイルです。

 左、中、右の順にメッシュが粗くなります。即ち、粗い番数のメッシュを通して印刷した場合は同じ粘度のペーストを用いても厚く印刷されることが分かります。


【フィルム状色素増感太陽電池 2001.8.30】

 お約束の?夏休み自由工作。PET フィルムを基板にした色素増感太陽電池を作製冨羽(M2)

 
肝心の光電変換特性ですが、、、一回目の試作品ということで御容赦下さい。起電圧はそこそこ出たんですがね(苦笑)。

苦労した点
PET 樹脂の軟化点 140〜150 ℃以下の温度で焼き付けができる酸化チタンペースト(バインダレス)の調製
電解液の封止

工夫した点

・通常は Pt コートガラス基板を使うことが多い対極に導電性膜付き PET 樹脂フィルムを用い、なおかつレーザープリンターでパターン(花柄)を印刷することで表面にカーボンを塗布。

 
ITO つき PET フィルムを快く無償で提供いただきました NAGAS 様、ありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。


【スクリーン印刷(2) 2001.8.29】

 触針式表面形状測定器 Dektak3 で酸化チタン膜の厚みを調べた。(8kB)。

 左はペーストの粘度が低いとき。右は高いとき。粘度にほぼ比例して膜厚が変化しています。条件にもよりますがスキージ法と違ってスクリーン印刷で塗布した膜はミクロレベルでの凹凸が顕著です。全体を眺めた場合は膜厚にかたよりもなく、ガラス基板との境目もかなりシャープです。


【スクリーン印刷(1) 2001.8.28】

 作り方のページでスクリーン印刷の様子を追加。

モデルは今春から色素〜電池のテーマで新たにスタートを切った千葉っち(M1)。

 遊びでフィルム状(PET 樹脂)電池試作中 > 冨羽  しばしお待ちを > NAGAS さん。


【酸化チタン・ナノチューブ(4) 2001.8.27】

 先週で終わりにするつもりだったのですが、多少なりとも反響があったのでオマケの(14KB)。

左が酸化チタン・ナノチューブ、右側が比較用の光触媒向け酸化チタン(P25)。色素の付き具合は御覧の通りです。


【酸化チタン・ナノチューブ(3) 2001.8.24】

 合成した酸化チタン・ナノチューブを回してみた。(14KB)。
角度を付けても外形に大きな変化がないことからチューブ状であることはほぼ間違いなさそう。ここで観察したチューブは先端が閉じていました。

 こいつを電極にして色素〜電池にした結果ですが、、、来春の電気化学会にでも出そうかと思います。合成方法は想像にお任せ致しますが、“簡単な方”です。

 そう言えば今年春の学会でも京大エネ理工研・科技団・産総研のグループ(足立基齋先生)が発表されていましたね。と言うか小池伸二先輩、御無沙汰しております。その節は大変お世話になりました。


【酸化チタン・ナノチューブ(2) 2001.8.23】

 合成した酸化チタン・ナノチューブの電子線回折を試みた。(8KB)。
反射はリング状に並び、非晶質であることが分かる。面指数は全てアナターゼ型 TiO2 に一致。

 おまけの(high magnification 51KB)。管壁は 2~3 nm、っつうことは TiO2 クラスターでせいぜい5層程度の厚み?


【酸化チタン・ナノチューブ(1) 2001.8.22】

 酸化チタンのナノチューブを合成してみた。(20KB)。
最初にしては上出来。でも、ちょっと孔が小さすぎ。


【塗って太陽電池 2001.8.21】

 二日遅れですがニュース紹介。

塗る太陽電池 街に(日本経済新聞)
自動車の車体、ビルの外壁、道路わきのガードレール。その表面に薄く塗るだけで、街角の構造物が“発電所”に変わる。そんな「塗る太陽電池」の実用化に八十六歳の老技術者が情熱を燃やしている。

 【太陽電池塗料! 2001.8.2】でも取り上げた例の話ですね。


【太陽光で水素 2001.8.20】

 三日遅れですがニュース紹介。

太陽光使い水素エネルギー、宇宙開発事業団が実験装置(Yomiuri On-Line/社会)
将来のエネルギーの主役といわれる水素を作る方法として、宇宙空間に巨大な集光装置を浮かべ、太陽光をレーザーに変えて利用するシステムの研究開発に、宇宙開発事業団とレーザー総合技術研究所が共同で乗り出すことになった。同事業団は、今年秋に実験装置の試作に着手するが、2020年ごろには実用化させたい、としている。

 規模のデカい話です。素朴な疑問、地上じゃだめなんでしょうか? > 集光装置


【停電 2001.8.18】

 日曜日、8月19日(日)7:30〜18:00は停電のためサーバーをストップ致します。済みませんが、御了承下さい。

 ところで【dye バンド計算 2001.6.6】覚えておいででしょうか?>皆様。あれから2ヶ月と10日、ワークステーション稼働実時間で 70 day×4 cpu もかけたにも関わらず Ru-dye のバンド計算が終了しませんでした。(号泣)おそらくあと10日程度だったんではないかと予想するんですが。。。


【102 件 2001.8.17】 

昭57

昭60

平01

平05

平06

平07

平08

平09

平10

平11

平12

平13

2

1

1

1

2

4

7

7

15

42

102

(61)



 特許情報更新。ページは既に前から更新していたのですが(手抜きモード)。お陰様で 2000 年(平12)の特許件数は 102 件ほど集まりました。追加?された特許は結構重要だったりします。ふふふ。

【お盆休み 2001.8.13】

 すんません、明日から3日間お盆休み致します。
せっかくの機会ですので、未来小説でもどうぞ。題して「太陽ペンキ」

 エコレッドはアメリカンチェリーでメロディー IC を鳴らすことに成功したそうな(笑)。


【エコレンジャー 2001.8.10】

 東京ガス環境エネルギー館にて、夏休みイベント「科学戦隊 エコレンジャー」が公開されます。

 コンセプト:東京ガス株式会社のフロンティア研究所もしくは世界で取り組まれている「地球環境にやさしい技術開発」を、こどもたちに楽しく分かりやすく伝え、環境問題や科学に興味を持ってもらう

ということで、8月18日(土)、25日(土)、26日(日)にはエコレッドが登場します。前置きが長くなりましたが、エコレッドの必殺技は「チェリーで発電」、プログラム概要は「色素増感太陽光発電の実験」となっています。

※都合により、プログラムが変更になる場合もあります。ご了承下さい。


【PVTEC 2001.8.9】

 太陽光発電技術研究組合(PVTEC)のHPを紹介致します。おそらく、昨年 9/4 にできたばかりのHPだと思います。

 今のところ色素系に関する情報はほとんどありませんが、今後が楽しみです。


【太陽電池評価装置 2001.8.8】

 今年の 6/26 よりHP上で公開されたようですが、新型太陽電池(化合物系,色素増感系) 専用の評価装置が販売されました。

 I-V カーブトレーサー MP-160 気になるお値段は本体+ソフトで 240 万円です(センサー類は除く)。

英弘精機株式会社
〒151-0073 東京都渋谷区笹塚2-1-6(笹塚センタービル)
TEL 03(5352)2911 FAX 03(5352)2917

 
カタログページの下の方には「太陽電池測定システム>太陽電池の出力特性と評価方法」と題してかなり詳しい太陽電池の評価方法が紹介されているので必見です!


【特集 2001.8.7】

 今月のセラミックス協会誌は金属酸化物の多様な電子機能が特集。で、荒川先生の総説が掲載されています。

荒川 裕則「酸化物半導体を用いた太陽電池ー色素増感太陽電池ー」セラミックス, 36(8), 578-581 (2001).


 一方、セラミックス協会第14回秋季シンポジウムのプログラムですが、色素増感太陽電池関連のセッションは以下のようです。

★★9 月28 日(金)(A 会場)★★
〔環境・エネルギー問題とセラミックス材料の新展開/エネルギー関連材料〕
3A02 色素増感太陽電池に向けた酸化チタンペーストのレオロジーと最適化の検討(東北大)○
内田聡・殷シュウ・佐藤次雄
3A03 水溶液からの直接析出によるTiO2 薄膜を用いた色素増感太陽電池の低温合成(慶大)○渡辺敬次・山火智・今井宏明
3A04 ナノサイズ酸化チタン粉末の水熱処理と光電極への応用(東北大)○冨羽美帆・
内田聡・殷シュウ・佐藤次雄
3A05 リン酸をドープしたチタニア薄膜の作製と中温領域でのプロトン伝導特性(広大)○都留稔了・八木康仁・淺枝正司
3A06 TiO2 系半導体薄膜の光電気化学的特性の高効率化(京大)○高橋雅英・Enkhtuvshin Dorjuparam ・槻木かおり・(産総研)林紅・(京大)内野隆
3A07 連続骨格構造を有するTiO2 薄膜のゾルミゲル法による作製(京大)○高橋雅英・森良平・(産総研)林紅・(京大)内野隆司・横尾俊信
3A08 遷移金属をドープした二酸化チタンの電子状態に関する理論的研究(京大)○秋田陽介・高橋雅英・内野隆司・横尾俊信

 ちなみに日本化学会第80秋季年会のプログラムで、「色素増感」「太陽電池」を検索したら1件もなし!電気化学会と重なったからね。


【太陽電池塗装 2001.8.6】

 大学側ですが、太陽電池塗装を研究されている先生を見つけました。先日発表されたばかりの NEDO の平成 13 年度産業技術研究助成事業で採択された課題一覧の中にありました。

募集区分B:エネルギー・環境技術分野 (▲)
(7) エネルギー・環境技術分野


01B64002

吉田 司

岐阜大学

電気自動車用太陽電池塗装の開発


岐阜大学大学院工学研究科環境エネルギーシステム専攻(箕浦研)の助手さんですね。御当選おめでとうございます。

、、、とHPを眺めていたら「9月14日(金) 吉田助手帰国」とありましたが、NEDO の二次面接は先週だったはず。大丈夫?

 そうそう、今日から仙台七夕祭りでした。気温は涼しいというか、寒いくらい。


【米大陸横断ソーラーカー 2001.8.3】

 BBS で局部的に盛り上がっているソーラーカー話ですが、先週のニュースを1つ。

 米大陸横断ソーラーカー競走終了 優勝はミシガン大

「優勝したミシガン大チームは車の製作に100万ドルを投じたが、製作費わずか3万ドルというチームもあった。」わずか3万ドルぅぅ?


【太陽電池塗料! 2001.8.2】

 北見工大の三木康臣先生から教えていただいたのですが、「太陽電池塗料」を開発中のところがあるそうですね?目指すところは自動車の外側にぬってそのまま太陽電池として機能するようなものらしいのですが、見当付きます?>皆様

『21世紀ヘの突破口・日本に対するメッセージ』
〜今後の高齢者の役割と新しい太陽電池の実現に向けて〜


と題して、シャープ株式会社元副社長、国際基盤材料研究所社長、工学博士、ソフトバンク株式会社前相談役の「佐々木 正」様よりメッセージ・レポートが出されています。

 NHKでも放送があったそうですが、どなたか御存知ありませんか?気になる気になる。。。


【募集中! 2001.8.1】

 昨日より(財)地球環境産業技術研究機構(RITE)にて研究者募集の案内が公開されています。どうです?

募集人員:研究員1名
勤務場所:RITE本部研究所(京都府木津町)
応募資格:博士号取得者あるいは取得見込み者で色素増感太陽電池の研究開発経験者
内容:
完全固体型色素増感太陽電池の開発研究
着任時期:平成13年9月1日
任期:平成13年9月〜平成14年3月末まで(但し平成16年3月末まで継続の見込み)
提出書類:履歴書、推薦書1通、研究業績リスト、論文別刷り(コピー可)
提出期限:平成13年8月15日

提出先及び問い合わせ先:
〒619-0292 京都府相楽郡木津町木津川台9-2
財団法人 地球環境産業技術研究機構 環境触媒研究室
主任研究員 浦上雅行 E-mail:uragamim@rite.or.jp
または、 豆塚廣章 E-mail:mamehi@rite.or.jp
TEL 0774-75-2305、FAX 0774-75-2318

 今日から8月。


【電位決定剤 後編 2001.7.30】

 続きということで1つ。

 2.電解質非水溶液中における多結晶 TiO2 電極の Vfb の決定:780 nm での吸光度を印加電圧の関数として測定した。このデータを Figure 1a 中のデータと並べてプロットし、MeCN(0.2 M TBAP)中における多結晶 TiO2 電極のVfb を決定した。結果を Figure 2 に示す。Vfb は -0.24 V と算出された。DMF(0.2 M TBAP)と THF(0.2 M TBAP)中ではそれぞれ -2.04 及び -2.34 V という値が得られた。同様にして MeOH(0.2 M TBAP)中の結果を Figure 2b に示しす。Vfb -1.12V の値が得られた。EtOH 中では -1.39 V であった。

 
2.1電解質濃度の影響:非水溶媒について電解質溶液に LiClO4 を添加した場合の Vfb に及ぼす影響を調べた。結果を Figure 3 に示す。水溶液の場合と異なり、LiClO4 の添加によって MeCN(0.2 M TBAP)中の多結晶 TiO2 電極の Vfb がはっきりと影響を受けている様子が分かる(Figure 3a)。(図にはプロットされていないが)10-4 M もの微量の LiClO4 の添加では ΔVfb 0.03 V の再現性のあるプラス側への移動を引き起こし、更に多く添加すればするほど ΔVfb も大きくなった。 MeCN 中の LiClO4 の活量を各濃度について計算し、Vfb に対してプロットした(Figure 3b)。LiClO4 濃度がある点を超えるとステップが表れた。10-3 M までは活量の単位当たり 40 mV の緩やかな上昇が見られ、電極表面に Li+ イオンが吸着されることによるものだと解釈される。この挙動は電解質を NaClO4, Mg(ClO4)2 に変えても観察された。LiClO4 濃度が高い領域で急激に Vfb が増加するのは Li+ イオンが TiO2 結晶格子の表面にインターカレートされるためと考えられる。

 THF と DMF について同様の実験を行ったところ、定性的に類似の挙動が得られた。以上の実験結果を Table I にまとめて示す。MeOH 中で行った実験では Vfb が全く変化しなかったのに対して、EtOH で観察された挙動は MeOH と MeCN で観察された挙動の中間であった。

 
2.2電解質の種類の影響:非水溶媒中における多結晶 TiO2 電極の Vfb を決める電解質の役割を検討した。

(1) 電解質アニオンが Vfb に与える影響を調べた。テトラブチルアンモニウム(ClO4, Br, Cl, I)の Li 塩を用いた。結果を
Table II に示す。→大きな影響は見られなかった。
(2) アルキル鎖の異なる電解質カチオンが Vfb に与える影響を調べた。過塩素酸アンモニウム(TBAP, TPAP, TEAP)について調べた。結果を
Table III に示す。→大きな影響は見られなかった。
(3) 電解質カチオンが Vfb に与える影響を調べた。LiClO4, NaClO4, MgClO4 を用いた。結果を
Table IV に示す。→影響が見られた。特にカチオン濃度が 1×10-1 M と高い場合は、Na 系だけ突出して Vfb の値が小さかった。イオン半径が Li+ は 1.18 Å と Na+ 2.04 Å よりも小さく、また Mg2+ は 2 価カチオンであるといった違いがこのような違いを生み出しているものと考えられる。

【結論】
 新規に開発した分光技術を用いて、非水溶媒(MeCN, THF, DMF, MeOH, EtOH)中で多結晶 TiO2 電極のフラットバンドポテンシャル Vfb を決定した。

(1) 水と親プロトン性非水溶媒(MeOH, EtOH)ではプロトンの吸−脱着平衡が起きるため、疎プロトン性非水溶媒(MeCN, DMF, THF) よりも Vfb が正側になることが分かった。

(2) 更に、親プロトン性非水溶媒では Vfb が用いる電解質に依存しないのに対して、疎プロトン性非水溶媒では Vfb が電解質カチオンに依存することが分かった。電位決定能が明らかになったカチオンは Li+, Na+, Mg2+ である。

(3) カチオン濃度が低いときは表面吸着に伴い Vfb が正にシフトするといった対応があるが、高濃度の場合は電極表面近傍の(カチオンの)インターカレーションが重要である(→寄与割合が高い)と考えられる。

(4) 観察された Vfb のシフトがどの程度吸着に依存し、またどの程度インターカレーションに依存するのかを定量化することについては今後の課題である。


【電位決定剤 前編 2001.7.30】

 前回紹介したグレッツェルの論文を読んでいて Li+ イオンが“電位決定剤(potential determining 〜)”だと書いてあった意味がよく分からなかったので、引用文献を読んでみました。J. Phys. Chem., 97, 1426-1430, (1993).

 前にも増して手抜きモードと言いますか、今回はかなり原文を逸脱して意訳→要約しましたのであくまでも御参考。

Spectroscopic Determination of Flatband Potentials for Polycrystalline TiO2 Electrodes in Nonaqueous Solvents
Gareth Redmond and Donald Fitzmaurice
Department of Chemistry, University College Dublin, Dublin 4, Ireland
Received: August 4, 1992; In Final Form: November 16, 1992
J. Phys. Chem., 97, 1426-1430 (1993).

「非水溶媒中における多結晶 TiO2 電極の分光学的フラットバンドポテンシャルの決定

  図面一式(97KB)

【緒言】
 非水溶媒中(MeCN, THF, DMF, MeOH, EtOH)、新たに開発した分光学的手法を用いて多結晶 TiO2 電極のフラットバンドポテンシャル Vfb を決定した。水や親プロトン性非水溶媒(MeOH, EtOH)中の Vfb は疎プロトン性非水溶媒(MeCN, DMF, THF)に比べて値がかなりプラス側に大きいということが分かった。更に、親プロトン性非水溶媒中では Vfb が電解質に依存しないが、疎プロトン性非水溶媒では電解質カチオンに依存することが分かった。電位を決定するカチオンは Li+, Na+ および Mg2+ であることが分かった。Vfb の決定においてはカチオンの吸着とインターカレーションの両方が重要であるという結果が示された。

【実験】
 フラットバンドポテンシャルの決定:
(1) 平均直径 15 nm の TiO2 粒子はチタンイソプロポキシドの加水分解によって調製した。
(2) これを 160 g/L に調製した後 Carbowax を対 TiO2 で 40 % 加えて白い粘性溶液にし、導電性ガラス基板上に塗布した。*0.5 μm, F:SnO2
(3) この膜を空気中で 1 h 乾燥してから 500 ℃ で 12 h 加熱し、厚さ 4 μm の酸化チタン膜を得た。
(4) 以上のようにして得た TiO2 電極(表面積 2.0 cm2)は作用極とし、白金対極、塩橋を介した飽和カロメル参照電極(SCE)の近接した 3 電極によって仕切り、電気化学セルを構成した。
(5) 電位の制御は Hewlett Packerd 3310A ファンクションジェネレータと、これに連携した Thompson Electrochem Ministat 精密ポテンショスタットで行った。
(6) 上記のセルを Hewlett Packerd 8452A ダイオードアレイ分光器の試料室と一体化し、光電特性を評価した。吸光係数は 780 nm で測定し、印加電圧は特に理由がない限り 0.005 V sec-1 で走査した。


 溶媒調製:


試薬類:
TBAP:過塩素酸テトラブチルアンモニウム
TPAP:過塩素酸テトラプロピルアンモニウム
TMEP:過塩素酸テトラエチルアンモニウム
TMAP:過塩素酸テトラメチルアンモニウム
TBABr:臭化テトラブチルアンモニウム
TBAI:ヨウ化テトラブチルアンモニウム

【結果】
 1.電解質水溶液中における多結晶 TiO2 電極の Vfb の決定:pH 2.0(HClO4 添加)とpH 11.0(KOH 添加)の 0.1 M TMAP 水溶液中で、780 nm の吸光度を印加電圧の関数として測定した。結果を Figure 1a に示す。電位の分離は 0.54 V で、pH 単位当たり 0.06 V のシフト(理論値)にほぼ等しい。電解質溶液に 0.1 M LiClO4 を加えて上と同じ測定をした結果を Figure 1b に示す。電位は pH 単位当たり 0.06 V シフトした。Figure 1a に示したデータと対応する各軌跡の差はわずか 0.01V 以内であった。この観察結果は水溶液中の TiO2 の Vfb が使用する支持電解質に依存しないという一般的な主張と一致する。これより、pH と 電解質水溶液中における多結晶 TiO2 電極のVfb との関係は以下のように記述することができる。
 Vfb = -0.40 - (0.06×pH) (V, SCE) (1)
式 1 を用いて、pH 2.0 と pH 11.0 の電解質水溶液中における多結晶 TiO2 電極のVfb を求めると、それぞれ -0.52, -1.06 V と算定された。

 続く。


【記事紹介 2001.7.27】

 今週はずっとこれ。色素増感太陽電池が“第4世代の電池”などと呼ばれるのも分かるような気がしますね。

 (6) 7/26 日 18 面(117KB) 欧米企業と組み、2重ガラス採用、ワールドワイドで
 (5) 7/25 日 17 面(117KB) 変換効率8%、課題は営業力、蒸着技術を改良


【今日も記事紹介 2001.7.26】

 今日はマクドナルド上場の日、いやいや、北九州で電子情報通信学会主催の講演会が開かれる日ですね。南野(のうの)さん、よかったら後で感想でも書き込んでやってくださいな。

 昨日の話の流れ上、日刊工業新聞からもう一つ。
潮流は分散型の電源立地「太陽電池と風力は一層のコストダウンへ 新たな技術と立地点も」
この前採択されていた NEDO の事業紹介ですね。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は今年度から革新的次世代太陽光システムの開発にも入った。色素増感技術やシート型ベータ鉄シリサイド、超高光閉じ込め型薄膜シリコン型、メッキプリカーサでの CIS 薄膜型などだ。いずれも3年間で要素研究をし、成果をさらに2年間の研究で続行、実用化できれば、コストの引き下げは今の太陽電池の比ではない。と。

 売り出しは \4.300 として、いくらの値がつくんでしょう。って、くどいっちゅうに。(笑)


【記事紹介 2001.7.25】

 色素〜ではありませんが、先週より日刊工業新聞で「大市場に挑む〜太陽光発電 新しいステージに」と題した特集が組まれています。そろそろ色素系の話があっても良さそうなのですが。。。

 (4) 7/24 日 18 面(100KB) 目標は HIT、海外から人気、大きい量産効果
 (3) 7/19 日 19 面(124KB) 2年後は 19%、両タイプ生かし、進む低コスト化
 (2) 7/18 日 21 面(96KB)   年400トンの規模、住宅用が 90%、定着した黒字化
 (1) 7/17 日 18 面(112KB) 倍々の需要、自立へ胸突き八丁、住宅メーカー主導


【特許情報募集 2001.7.24】

 特許情報更新。通算240件。「ノキア」さんが新たに顔を出しています。

昭57

昭60

平01

平05

平06

平07

平08

平09

平10

平11

平12

平13

2

1

1

1

2

4

7

7

15

42

99

(59)


匿名のU様より

 >リストになかったのでお送りします。
 >100件めざして(?)がんばってください。
 >
 >では。

情報提供ありがとうございます。2000 年、三桁の大台まであと1件なんですが。。。

 二日連続で 35℃越え、7年ぶりの記録らしい。って、まだ7月よ!
居室はエアコンなんて入ってないし、蒸し風呂状態。溶ける〜。


【水素製造・供給ステーション 2001.7.23】

 今さら(紹介が遅い)という話でもありますが、太陽電池絡みで先週のニュースを1つ

「ホンダ 水素製造・供給ステーションの実験稼動を開始 」

色素〜太陽電池を自動車の窓材料に応用しようという動きもあったんですがね。電池の効率を上げるほど暗い窓になるという矛盾があったりして。。。

 っつうか、今日の仙台暑すぎ。35.6℃!!


【講演会情報 2001.7.19】

 10月の講演会情報を1つ追加しました。うーむ、箕浦先生恐るべし(笑)。

光電気化学研究懇談会平成13年度第2回研究会・触媒学会関西地区講演会
 21世紀をリードする光電気化学光触媒と色素増感型太陽電池」
会期;平成13105日(金)、6日(土)
会場;岐阜大学工学部100番教室(〒501-1193 岐阜市柳戸11

連絡先
岐阜大学大学院工学研究科環境エネルギーシステム専攻   箕浦 秀樹
   Tel/Fax; 052-293-2587
  E-mail; minoura@cc.gifu-u.ac.jp
岐阜大学工学部応用精密化学科  杉 義弘
   Tel; 2597 E-mail;
sugi@apchem.gifu-u.ac.jp
参加申し込みなど http://www.gifu-u.ac.jp/~chukaren/index.html


 昨夜、Macworld Expo. NY 情報を得るべく 10 時から 2 時間あまりアホ面して QuickTime Live 見ていた私。マイナーチェンジばかりで新製品はなし。もう、がっくり。


【光触媒 2001.7.18】

 あえて宣伝はしなかったのですが、昨日は東工大の堂免一成先生「可視光応答型光触媒開発のための固体電子状態の設計と現状 」と題してこちらで御講演をされていました。内容は CREST の発表会の時と同じだったと思います。

 光触媒、一筋 25 年! 戦略もアプローチの仕方も解析の仕方も、どこぞの研究室とは格が違います(最近、なんか受賞したようですが > どこぞ)。

 「酸化鉄など大概の遷移金属酸化物、dn 型(1≦n≦9)のものはほとんど光応答性が無い」おっしゃる通り!!

 すみません、“先生”を付け忘れていたのを今頃(PM9:00)になって気付きました。大変失礼致しました。堂免先生、二次会誘ってくださるはずだったんじゃないんですか?白井さんと部屋で待機してたのに(笑)。


【祝 50,000 アクセス 2001.7.17】

 40000 ヒットからは 57 日でした。10000 ÷57 = 175。平日はほぼ 200 件を越えています。それでは恒例の 50000 ヒットのつぶやきを:

 グレッツェルセルと言えば水戸黄門の印籠のように出てくるエネルギー準位図ですが、(やっぱり)酸化チタンって、絶縁体ぢゃないんですか?」紫外線励起してるわけじゃないし

 「伝導帯に軌道があるから光電子を伝達できる → 半導体だ」というのであれば、アルミナ(Al2O3)でもジルコニアでも(ZrO2)、金属酸化物ならなんでも代用できることになっちゃいますよね?(その通りだったりして)

 更に言えば、教科書的な通常の接合理論では酸化チタン内のバンドの折れ曲がりを説明できないですよね。なんたって、1粒数十 nm しか粒径 → 距離がないんですから。バンドのベンディングがなければ電子のドライビングフォースも無くなりますよね。

「本当に酸化チタンの半導体性は機能しているんでしょうか??」

 いくつかの仮説が立てられると思うのですが、前者については
(1) 何らかしらの原因で n 性を発現した
(2) 実は表面、あるいはごく浅い表面近傍だけを電子が伝っている

 後者については
(3) 酸化チタン膜全体が1つのバルク体として半導体性を示している
他にもいくつか理由付けできると思うのですが、どうです?>ぜひとも BBS へ書き込みを


【夢を現実に 2001.7.16】

 今日のネタはやはりこれでしょう。 記事(225 KB)

 夢を現実に Dream come true 21
 新世紀の先端技術
 自然の恵み 無駄にはできぬ
 日本が世界をリードする
 環境保護へ技術も走る
 結晶系追う薄膜系
 脚光浴びる色素増感型
 宇宙空間や砂漠に設置も

勇ましいというか、夢花開くというか、さすが表現が豊かですよね。
日刊工業新聞 7 月 13 日第7面でした。梶原さん、いつもありがとうございます。


【JIS 規格 2001.7.13】

 全部で 22 もある太陽電池に関連した「JIS 目録」のうち、「結晶系太陽電池測定用ソーラーシミュレータ JIS C 8912」というのを取り寄せてみました。A4 版で 10 ページ、\900 です。
  1.適用範囲
  2.用語の定義
  3.性能
  4.性能の測定方法
  5.表示
といった項目に分かれ、最後に解説があります。スペクトル合致度の測定に関しては基準太陽光のエネルギー分布が示されており、以下のように幅のある分類となっています。

i

波長帯 nm λi〜λi+1

相対エネルギー分布 %

1

400〜500

18.5

2

500〜600

20.1

3

600〜700

18.3

4

700〜800

14.8

5

800〜900

12.2

6

900〜1100

16.1

400〜1100

100.0


グラフにするとこんな感じです()。結構、アバウト。


【評価方法 評価装置編 2001.7.12】

 「評価方法」の装置編を追加しました。

 疲れ。


【評価方法 光源編 2001.7.11】

 見切り発車で「評価方法」の項目を追加しました。今日は光源編。先は長そうです。

 本で読む「湿式太陽電池ホームページ」とか出したら売れると思います?(笑)


【機能材料 2001.7.10】

 先週、「普通の人が普通に買える or 手に入れられるような解説本というのがない」と書きましたが、いいのがありました。

荒川 裕則「色素増感型太陽電池 -研究開発の現状と新しい展開-」機能材料, 20(12), 41-52(2000)

 各種の講演会等で配布される資料とだいたい同じですが、11 ページに及ぶ大作です。価格も本体\4,000+消費税と、まずまずリーズナブル?


【御講演 2001.7.9】

 先日の御講演の気にとまった部分だけメモ書きしました
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・講演内容
 (1)電気化学界面における光応答の分類
 (2)色素増感半導体電極〜湿式太陽電池への応用
 (3)バクテリオロドプシン光センサー〜人口網膜素子への応用

・電気化学光電変換の応用の出口
 (1) エネルギー変換 ←→ シリコン系太陽電池
 (2) 光センシング(光情報処理) ←→ 固体光ダイオード

・各種の太陽電池の中で、生き残るのはアモルファス太陽電池だろう(〜2020年まで)
・蒸着法が実現のブレーキをかけている。写真の塗布技術を使えないか?

・単結晶 TiO2 中の電子移動速度はマイクロ sec 以下なのに対して、TiO2 ナノ結晶焼結体ではミリ sec オーダーと非常に遅い。

・TiO2 ナノ結晶焼結体では粒子サイズが小さ過ぎて、バンドのベンディングは起きないのではないか?→ドライビングフォースがなくなってしまう。

・電解質溶液中に Li+ イオンが存在することで光発生した電子による静電反発を防いでいるのではないか?
・即ち、Li+ イオン添加で効率が上がるのは負電荷の密度を下げ、束縛がなくなるためと思われる。

・Ru 色素溶液の耐光試験 6000h(6 年)を確認 → OK
・むしろヨウ素が分解する

・電解質はサイクル性と電圧の両面において今のところヨウ素が Best
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 酸化チタンの電子移動については、単純な半導体接合理論で説明されるような現象とは違うのではないかという話がありました。

 バクテリオロドプシン(好塩菌)の色素を用いて光センサーにする話はかなり面白かったです。


【御講演 2001.7.6 Night】

 さすがに5年も前から先行して手掛けていただけあって、物静かな語り口調の中にも含蓄のあるお言葉をちらほらと聞くことができました。“色素増感〜”については特に新しい知見等は公表されませんでしたが、以前、(特許上でもよくお名前を見かける)渡辺哲也さんがおっしゃっていた「特許で保護できない改良の積み重ねで出した良いデータに関しては(ノウハウを)表に出せない」と言っていた意味(ぼやき?)がよく分かったような気がします。

 唯一?I-V 曲線が示されていた OHP には次のようなデータが公表されていました。時期を考えますと、私が言うのも何ですが大したもんです。

VOC (V)

ISC (mA/cm2)

ISC (mA)

FF

η (%)

0.801

15.01

5.25

0.682

8.20


【御講演 2001.7.6】

 今日は前にもお話ししました通り富士写真フィルム(株)の宮坂 力 氏によります特別講演「電気化学における光応答電極材料」がありますので、聞きに行ってまいります。講演が終わり次第(今日中?)、感想等をここで御紹介したいと思います。

講演概要:
 光エネルギー変換や光センシングの目的で研究されている電気化学界面で光電応答を示す材料を取り上げて、その原理とデバイスへの応用を解説する。
 特に色素増感半導体粒子の薄層を光電極とする光電池、感光性蛋白質の薄膜を担持した酸化物電極による光センシングの例などを紹介し、光応答機能を付与するのに必要な電極材料物性について論ずる。


【patent 2001.7.5】

 今日は地道に特許情報更新。これまでの総数は 231 件です。発掘作業を進めた結果、昨年(平12)は 97 件と三桁まであと一歩の所まで来ました。どなたか他に御存知ないですか?

昭57

昭60

平01

平05

平06

平07

平08

平09

平10

平11

平12

平13

2

1

1

1

2

4

7

7

15

42

97

(52)


 ちなみに富士ゼロックスさんの特許は、発明の名称に“光電変換素子”とあっても特許庁のフロントページでは検索に引っ掛からないという盲点がありました。

 今日の小泉内閣メールマガジン 「リーダーは孤独」


【Your リサーチ 2001.7.4】

 Your リサーチ大幅に更新。

 言われて気付いたのですが、普通の人が普通に買える or 手に入れられるような解説本というのがないですね。


【テクノニュースちば 2001.7.3】

 技術レポート「色素増感太陽電池の縁」と題して簡単な記事を書きました。PDF ファイルで公開されていますので、オンラインで見ることができます。ラ・ラ・サンシャイン計画の話も少しだけ触れています。長野工業高校の若狭先生、勝手にHPのアドレスを引用させていただきました。事後承諾でごめんなさい。(ぺこぺこ)

 それでは千葉県民 600 万人の皆様、今月 7 月号の「テクノニュースちば」でお会いしましょう!(ウソ)


【申し込み 2001.7.2 Afternoon】

 出したぞー、2件。(却下されたりして)「2001年電気化学秋季大会」です。皆様、9月20日(木)〜9月21日(金)、東京理科大学でお会いいたしましょう。ちょうど日本化学会と重なってるのよねぇ。ブツブツ。
 
伊原さん、どうすんですか〜?

色素増感太陽電池に向けた酸化チタンペーストのレオロジーと表面電荷の検討
東北大多元研○内田 聡、佐藤次雄

多孔質金属酸化物電極の作成とインピーダンス法による評価
東北大多元研○柏木由行、冨羽美帆、千葉亮司、内田 聡、佐藤次雄


【* 2001.7.2】

 都合により削除。ボルボ(スウェーデン)のバスなどにも試験的に搭載されているそうです。

 メールのお返事、しばしお待ちを。午後から講義に行ってきます。


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