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「富士電機システムズ 南関町に進出 次世代太陽電池の生産拠点に」

2005/8/23,熊本日日新聞

http://kumanichi.com/news/local/index.cfm?id=20050823200005=main

 富士電機グループの富士電機システムズ(東京都千代田区)が、玉名郡南関町の南関
東部工業団地に進出、次世代太陽電池の主力になるとみられる「アモルファスシリコ
ン太陽電池」の量産工場を建設することが22日分かった。同社の生産拠点は西日本
初。23日にも発表する。
 同社は新エネルギー・環境事業を重点分野に位置付けており、新工場は量産化技術
の開発を進めてきたフィルム型のアモルファスシリコン太陽電池の生産に特化した拠
点にするとみられる。
 同団地の敷地約四ヘクタールを確保し、来年中の稼働を目指す。投資額は初期分で
四十億円程度を見込んでいる。
 富士電機システムズは富士電機グループの中核。2005年3月期決算で電機システム
部門の売上高は3747億円に上る。
 南関東部工業団地は大手ゼネコンの子会社が造成、分譲中で開発面積は41.9ヘク
タール。93年4月に分譲開始し、01年にポンプメーカー荏原製作所の工場が立地。半
導体工場向けにシリコンウエハーの研磨装置を生産している。

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「ナノテク新素材・原子内包フラーレン 産学連携で実用化計画」

2005/8/20,河北新聞

http://www.kahoku.co.jp/news/2005/08/20050819t12030.htm

 東北大大学院工学研究科とベンチャー企業のイデアルスター(仙台市)は、炭素原子
が電子を共有し合い、かご状に結合した構造を有するフラーレンの中に金属原子を入
れた「原子内包フラーレン」の実用化へ向けたプロジェクトをスタートさせる。原子
内包フラーレンはナノテクノロジーを使った次世代材料として期待されており、産学
連携で量産化技術を確立し新産業創出につなげたい考え。
 原子を内部に閉じ込めたフラーレンは、空のフラーレンより導電性が高まるなど多
くの新しい特性を持つとみられている。太陽電池、ディスプレー、体内に薬などを運
び込むベクターなど広い分野での応用が見込まれるが、量産されていない。
 イデアルスターは2002年、東北大の基礎研究を基に原子内包フラーレンの量産化を
目指して設立。同大との共同研究で04年、アルカリ金属のリチウムを内包したフラー
レンの合成に、実用化が見込めるレベルで成功した。
 イデアルスターによると、地球上のエネルギー消費の10%を仮に太陽電池で賄い、
その1%にこの材料を使うと2兆円の市場ができるという。原子内包フラーレンを使っ
た太陽電池の製造コストはシリコン半導体の15分の1程度で済むという試算もある。
 プロジェクトでは、東北大の技術職員などとの連携で製造装置などの開発スピード
をアップ。来春には、同社が国内外の研究機関などにリチウム内包フラーレンのサン
プル出荷を始めたい考えだ。
 同研究科の井口泰孝科長は「原子内包フラーレンは、新産業の創出につながる有望
な材料」と評価。量産技術の開発と物性評価、ほかの原子の内包化研究
を世界に先駆けて進める必要があると判断した。
 プロジェクト名は「スーパーアトムプロジェクト」。工学研究科の内田龍男副研究
科長をリーダーに9月1日に初会合を開く。理学、農学研究科の研究グ
ループも参加予定で、宮城県も支援する方針。
 工学研究科の産学連携プロジェクトは従来、研究室と企業を基本単位として進めて
きた。今回は、研究科内に4月設置した技術部や、地元の装置製造企業なども構成メ
ンバーに加わる。
[フラーレン]
 炭素原子が電子を共有し合い、かご状に結合した分子。代表的なのは原子60個が
サッカーボール状につながったもの。大きさは直径7オングストローム(1オングスト
ロームは100億分の1メートル)で、髪の毛の太さの約10万分の1。原子内包フラーレン
は「スーパーアトム(超原子)」とも呼ばれる。

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「太陽光・風力発電普及へ技術革新必要・米エネルギー省報告書」

2005/8/13,日経NET

http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20050813AT2M1300J13082005.html

 米エネルギー省は12日、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーを大幅に普
及させるには、発電システムなどの画期的な技術革新が必要だとする報告書をまとめ
た。同省は関連の研究開発を加速する方針だ。
 ブッシュ政権は米国のエネルギー自給率を高める戦略の一環として、太陽光・風力
発電の普及推進を掲げている。同戦略を実行に移す法的枠組みとなる包括エネルギー
法もこのほど成立。報告書はこれら新エネルギーの普及が加速度的に進むには、技術
的にどんな課題を克服すべきなのかをまとめた。
 報告書は「太陽光発電はクリーンで潤沢なエネルギー源を確保するための重要な解
決策」と評価しながらも、現状的ではコスト高や発電効率の悪さなどが普及のネック
になっていると指摘した。
 これらの問題を解決するために太陽光エネルギーを極めて効率良く電気に変換する
革新的な電池を、ナノテクノロジーなどを活用して開発すべきだと強調。技術革新を
生み出す素地となる基礎科学の重要性を指摘した。


http://www.energy.gov/engine/content.do?PUBLIC_ID=18521_CODE=PR_PRESSRELEASES_CODE=PRESSRELEASE
http://www.sc.doe.gov/bes/reports/files/SEU_rpt.pdf

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「【人・story】松下祥子(まつした・さちこ)さん(理化学研究所研究員)」

2005/8/10,FujiSankei Business i.20頁

■日本女性科学者の会理事に就任

 日本女性科学者の会から2005年度の奨励賞を受賞し、それをきっかけに七月に理事
にも就任した。三十二歳の若さで、男性中心社会と闘う女性の看板を背負ってしまっ
た。一般社会にも言えることだが、科学で活躍している女性には気が強いひとが多
い。でも、「強くはないですよ」。
 両親ともに東大卒のサラブレッド。小学校のころ人間のせいで地球が滅びると思っ
ていた少女は、“地球にやさしい環境材料”の光触媒で有名な藤嶋昭研究室(03年に
退官)を目指して東大に入学したが、実質“男子校”社会のなかで、研究室で花形の
テーマを選ばせてはもらえなかった。奮起したおかげで研究室で初の“飛び級”博士
に。
 日本女性科学者の会で物理と化学の架け橋になったことが評価されたが、そうした
非主流で研究したおかげかもしれず、「今の境遇には満足しています」と答える。し
かし、「自分はたまたま助け舟もあってくじけなかったけど、くじける女の人は多い
と思う」と、変革の必要を訴える。
 「平等である必要はないんです。男女それぞれが適しているところで働けばいい。
これからは、今まで男性と張り合うことにくじけてしまっていたような、やわらかい
感性から生まれてくるアイデアもきっと必要になってくる」
 研究テーマは、自己組織化だ。半導体製造のように無理やりに小さな世界を加工す
るのと対照的に、小さな分子が集まって自然と化学的に構造物を成す事象を言う。こ
の手法で光の波長レベルの構造を作り、発光現象などを制御することに先駆けた。無
駄な発光を防いで太陽電池の発電効率を上げることなどに応用できると期待されてい
る。
 化学的製法は低コスト、省エネルギーなのが特徴だ。もう人間を悪者とは考えてい
ない。「人類も他の動物と同じで、生き延びるために農作などをして戦ってきた」と
生存権を認めたうえで、科学を推し進める使命感にあふれる。
 しっかりした風だが、高校3年生のときに猫を助けようと登った木から落ちて大け
がをしたり、失敗談に事欠かない。オフの気の緩みは、オンにしているときにそれだ
けエネルギーを使っている証拠なのかもしれない。

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「NTTドコモ、3本立てで開発推進、次世代携帯電話用電源」

2005/8/8,化学工業日報

 NTTドコモは、次世代携帯電話用電源の開発について、燃料電池を軸にリチウムイ
オン二次電池(LiB)、太陽電池の三本立てで推進する。同社は本体のLiBに充電する外
付けの直接メタノール型燃料電池(DMFC)を富士通研究所と共同開発しているが、2008
年以降の商品化を目指して内蔵型燃料電池の開発も行う。一層の高性能化が求められ
るLiB、第三の電源である太陽電池も候補に挙げ、携帯電話の課題である蓄電能力の
向上を目指す。
 地上波デジタル放送の視聴や音楽プレーヤー機能、またこれらのデータや閲覧する
ビジネス文書を保存するハードディスク搭載など携帯電話は高機能化が進むほか、今
後常時接続で使う場面も増えるとみられ、消費する電力は増大傾向にある。これらの
課題の解決策として蓄電能力の向上が求められている。
 同社移動機開発部技術推進担当の竹野和彦担当課長は先日行ったセミナーで「緊急
的な対応策は、第二世代LiBの積極活用であり、高容量を実現する新正極材の採用や
充電電圧の変更などの方法がある。これで従来比数10%程度高容量化できる。さらに
長期的な対応策がDMFCの採用で、3倍以上の高容量化を期待している」と語った。
 今後の同社の燃料電池開発スケジュールは、2006年中に充電器タイプを製品化、続
いて内蔵タイプの実用化開発を進め2008年には製品化する考えで、究極的には燃料電
池でLiBを代替する目標を掲げる。
 さらに同社は第三の電源として太陽電池の開発にも取り組んでおり、先ごろボ
ディー表面にシリコン太陽電池を張り付けたハイブリッド携帯電話を発表した。ただ
発電効率は十分でなく、内蔵するLiBのフル充電には数日を要するほか、黒い太陽電
池しかないなど課題も多い。
 このため同社はカラフルで曲げることもできる色素増感型太陽電池(DSC)にも注目
しており、LiBや燃料電池とともに三つのアプローチで次世代携帯電話に対応した理
想の電源を追求していく考え。

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「県ビジネスプラン A評価に2社 資金調達や販路拡大支援」

2005/8/6,高知新聞朝刊経済6頁

 県産業振興センターは五日、「県ビジネスプラン評価委員会2005」の第1回審査結
果を発表。A評価にアークリエイト(高知市、内田昌克CEO)の「産業財産権による耐震
鉄骨建築技術のエンジニアリング」と、ZnOラボ(香美郡土佐山田町、山田晃男社長)
の「酸化亜鉛(ZnO)応用事業化プロジェクト」を選んだ。
 アークリエイトの計画は、鉄骨建築の溶接に関し、耐震性やコスト、工期など多く
の利点を持つ「WAWO+『X』工法」の知的財産を活用。研究開発による競争力アッ
プ、スタッフ充実や販路開拓などで業容の拡大を図る。
 ZnOラボは、四月に高知工科大内に設立されたベンチャー。同大研究者が開発した
酸化亜鉛に関する技術を基に、ディスプレーや太陽電池、紫外線カット機能製品など
を研究開発。県内他企業と連携した大規模な事業展開を目指す。
 同評価委は、国内外へビジネスを広げようとする県内事業者を対象に事業計画を審
査。A評価を得た企業には、起業プロデューサーの広川章氏が参謀となって資金調達
や販路拡大を支援、財務や販売など必要な専門家の派遣も行う。B評価に該当する提
案はなかった。第2回募集は九月に行う。

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「<経産省>2100年にCO2排出量ゼロ 長期目標掲げる」

2005/8/6,毎日新聞

 経済産業省は、2100年に発電や家庭・オフィス、自動車の分野などで温室効果ガス
の二酸化炭素(CO2)の排出量をゼロにする長期目標を掲げ、実現に向けた技術開発の
行程を「エネルギー分野の技術戦略マップ」と題し、8月中に原案をまとめる。地球
温暖化問題への対応からCO2排出をなくす取り組み。
 戦略マップは、同省の超長期エネルギー技術研究会が、長期的視野にたった研究開
発の目安を示そうと検討し、省エネ推進や新エネルギー開発のシナリオを描いた。
 途上国を含む世界経済の成長で、石油の生産量は50年ごろピークを迎えると設定。
戦略マップはまず、このころまでに産業界のほか、家庭やオフィスで石油エネルギー
に依存しない「脱石油」を実現するとした。
 例えば家庭では、住宅の断熱効果を高めて余熱を活用する省エネに取り組み、家の
外壁に塗るペンキ型の太陽光発電を開発する。また、微小な圧力や振動エネルギーを
活用する「創エネ」にも取り組む。2100年の時点で必要なエネルギー量は今の約2.1
倍になるが、その8割の削減を目指し、CO2排出はゼロにする。
 発電分野も、石油や天然ガスから原子力、太陽光、風力などに切り替えを進め、原
子力は新型軽水炉の開発による効率向上や、核燃料サイクルの実現を目指す。
 ガソリンなど石油エネルギーの利用が多い運輸部門でも、乗用車は2100年にCO2排
出ゼロの目標を置き、まず50年までに燃料電池を使った電気自動車の普及率を40%程
度まで高め、車体軽量化なども進め、自動車に必要なエネルギー量を6割減らす。
 同省は新技術の開発研究費を来年度予算案に盛り込む方針だ。

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「触媒化成、長期ビジョン達成へ積極策、若松工場の基盤整備など」

2005/8/2,化学工業日報4頁

 触媒化成工業は、2010年長期事業ビジョン達成に向けた事業戦略を加速させる。そ
のため生産拠点である若松工場(北九州市若松区)の拡充計画に着手しており、隣接地
を確保するかたちで事業拡大へ向けた基盤整備を進める。また、中国や東南アジアを
対象に現地生産化も検討。国内トップシェアを持つ石油精製用触媒を中心に、消費地
立地戦略に踏み切る。同社は触媒製品、ファイン製品の拡充、また新規事業の立ち上
げにより、2010年の売上高規模を現状の約2倍に当たる400億円まで引き上げる方針を
掲げている。生産拡充へ向けた基盤整備を進めるとともに、海外需要を取り込むこと
で計画達成を目指す。
 触媒化成工業は、石油精製用触媒を中心とする触媒製品のほか、IT関連材料や生活
関連材料、産業消費材などのファイン製品を手掛ける。触媒製品では超低硫黄(サル
ファーフリー)に対応した超深度脱硫触媒、ケミカルリファイナリー対応の流動接触
分解装置(FCC)触媒開発などを推進。ファイン製品では、強みを持つブラウン管(CRT)
用の需要減に対応し、フラットパネルディスプレー(FPD)用の帯電防止、低反射材料
などに重点を置いた取り組みを強めている。
 第三の柱として育成する新規事業では、一般化学向け触媒や燃料電池・太陽電池材
料のほか、脱臭・抗菌剤などの生活環境触媒分野が重点。すでにサンプル出荷や商品
化に乗り出している。
 若松工場では富士通、富士通研究所と共同開発した次世代LSI対応の低誘電率絶縁
材料について、工場棟を新設し月産能力500リットル体制で量産を開始した。建屋内
にはライン増設のスペースを確保、線幅45ナノメートルプロセス対応もにらみ増強し
ていく考えで、ファイン製品の新たな柱に育成する。同工場ではこのほか、隣接地を
確保するかたちで事務所棟など新設しており、今後の事業拡大に合わせ効率的な投資
を行っていく考え。
 同社は現状、触媒製品の約4割、ファイン製品の約半分を輸出が占めているが、海
外需要拡大をにらみ現地生産に踏み切る。石油精製プラントの新設計画が相次ぐ中国
や東南アジアを視野に、ビジョン最終年までには実行に移す計画。
 長期事業ビジョンは2010年に照準を合わせ、3カ年計画ベースで毎年ローリングし
ている。最終年の売上高は、触媒製品で200億円、ファイン製品で150億円、その他で
50億円と、それぞれ現状に比べ倍増を計画している。

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「住友電工、金属ナノインキ用いた微細配線技術を開発」

2005/7/25,化学工業日報8頁

 住友電気工業はこのほど、線幅10マイクロメートル以下が実現できる金属ナノイン
キを用いた微細配線技術を開発した。インクジェット(IJ)法による回路形成法の限界
を大きく超えるもので、まず低抵抗である特徴を生かして液晶ディスプレー(LCD)の
TFT(薄膜トランジスタ)の配線向けで採用を狙う。このほかにもプラズマディスプ
レーパネル(PDP)やシリコン太陽電池などの分野で適用を期待しており、2006年上期
中の事業化を目指す。
 今回、同社が開発したプロセス分散性に優れた独自の金属ナノインキをガラスなど
の基板に塗布、焼成することでち密な金属薄膜を形成、フォトリソグラフィー技術で
エッチング加工することで微細配線を形成する。同社は昨年IJ回路形成法用に銀ナノ
インキ「SEINTRONICS」を開発したが、ユーザーから10マイクロメートル以下の微細
な配線への要望が寄せられていた。金属粒子は粒径を30ナノメートルと2倍にしたほ
か、純銀の代わりに銀合金を採用し特性を出すことに成功した。
 形成された金属薄膜は表面平滑性があり断線や高抵抗化の原因となるピンホールの
発生がないほか、ガラス基板と金属の密着性も高く、高耐熱性で焼成後450度Cで三十
分の熱履歴を加えても変化しない。また配線の体積固有抵抗が3×10のマイナス六乗
オーム・センチメートルと、アルミ配線の半分なのも特徴。さらに生産プロセス中に
スパッタリング装置や蒸着装置など高価な薄膜形成装置が不要なため、設備投資を大
幅に抑制できる。
 インキの塗布方法はスプレーやスピンだけでなく、インクジェットと組み合わせて
使うこともできる。現在はTFT−LCD向けで内外のメーカーが個別にサンプルを評価中
であるほか、アルミ配線を使うPDPや太陽電池向けの需要も期待できる。同社では
2006年上期中の事業化を目指しており、今後各ユーザーの使い勝手に合わせファイン
チューニングを進めていく考え。

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「中堅・専門商社の戦略 オー・ジー」

2005/6/20,化学工業日報17頁

 オー・ジーは、今年度から開始する新3カ年中期計画を策定した。今中計は創造型
化学品専門商社としてメーカー機能的なモノ作り、高機能商品の拡充、グローバル化
−を基本戦略としている。主力の五既存事業を担う営業本部では、さらなる事業基盤
の強化を推し進め、開発本部では成長製品の創出を目指していくほか、中国・インド
など海外事業にも本腰を入れていく。
 03年に発足させた開発本部では成長分野を中心に八プロジェクトを推進してきた。
なかでもPDP向けの電子材料、中国での繊維用途向け機能化学品が好況を呈し、着実
に成果を挙げている。こうした成長品目は各事業部に融合させることで、シナジー効
果を発揮させていく。
 今後、開発本部では四テーマに絞って新規プロジェクトを推進する。機能化学品部
では電子材料分野への用途展開を進める。医薬事業では後発医薬品(ジェネリック)や
長期収載品の受託事業を手掛けていく考え。
 そのほか色素増感型太陽電池の自社展開のほか、ナノテク素材を表示材料や情報材
料向けに用途開拓していく。
 海外展開では中国、インドを軸に展開するが今年四月から社長直轄組織として中国
開発室を設置、中国語圏内の五拠点を統括し、効率的に事業展開していく。インドで
は機能性樹脂原料の生産を1年内に開始する予定で、インドのほか、日米欧への用途
展開を計画している。

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「【起業戦士たち】西野田電工社長 菅留視子さん 業態の枠超え「第二創業」」

2005/6/7,産経新聞大阪朝刊第3経済9頁

◆太陽光発電・燃料電池に独自性

 今年創業60周年を迎える電気工事業の西野田電工(大阪市福島区)。菅留視子社長は
平成11年の就任以降、花の色素を使った太陽光発電や、組み立てに家庭のアイロンを
使う燃料電池など、独自の学習教材の製造・販売に乗り出し、業態の枠を超えた『第
二創業』にも力を注ぐ。新規事業にかける思いと、今後の戦略を聞いた。

−−事業の現状は

 「創業以来、電気設備の設計施工から保守管理を請け負うのが本業。工場の電気設
備の設計施工を中心に、近年はコージェネレーション(熱電併給)などの自家発電設備
や、家庭・店舗向けのセキュリティーシステムの施工なども行っている。また並行し
て、13年にエネルギー関連の製造・販売を扱うQ事業部を発足し、製造業にも進出し
た」

−−製造業に乗り出したきっかけは

 「請け負い業務だけでも会社はやっていけたが、それだけでは成長を目指すのは難
しい。モノづくりに対するあこがれもあった。米国の知人からシリコンを使わず、コ
ストの安い色素増感型太陽電池の話を聞き、製品化したいと考えた。大阪大学やオラ
ンダ国立研究所(ECN)などと協力し、15年に『花力(かりょく)発電』と命名して発売
した。今は、太陽光発電、燃料電池、蓄電装置(キャパシタ)の3分野に絞って製造、
開発に取り組んでいる」

−−全く異なる分野への進出の苦労は

 「モノづくりのノウハウはないので、すべて一から手探り。リスクも考えて花力発
電は、最初、投資額10万円からスタートした。パッケージも手書き、薬品の調合から
マニュアルづくりまで、一つずつ手作りで、製造業のノウハウを蓄えた。ただ、みけ
んにしわを寄せるような苦労ではない。社員と『こうしたらエエかな』と、楽しみな
がら試行錯誤は続けている」

−−先端分野だけに技術や情報の収集は重要だ

 「大阪大学の先生と産学交流の会合で会ったのをきっかけに、太陽電池や燃料電池
の研究者向けシンポジウムや学会に顔を出して、人間関係を広げた。そのおかげで、
オランダ国立研究所や色素増感型太陽電池の特許を持つスイスのM・グレッツェル博
士とも親交ができ、海外の研究者ともメールや実際に会って、情報交換を行ってい
る」

−−今後の目標は

 「製造部門はようやく、スタートラインに立ったところだ。本業の工事部門も拡大
しつつ、一般の消費者向けの商品も開発、販売したい。そのためにグループ会社の多
い大企業と連携を強めていきたい」

■菅留視子(すが・るみこ) 神戸女学院大英文学科を卒業後、翻訳や通訳などを経
て、親族が創業者だった関係で昭和63年、西野田電工に入社。営業や品質管理などに
あたり平成9年に専務に就任。11年から社長。13年にQ事業部を発足し、「花力発電」
「水空電気」などのキットを発売、経済産業省資源エネルギー庁の委託事業にも選
定。日本学術振興会の運営委員も務める。資本金1000万円▽売上高3億6000万円(17年
3月期)▽従業員26人▽連絡先TEL06・6451・0768。
<診断します>
◆先端技術と社会の接点
 エネルギー問題の解決に向けた選択肢の一つに、燃料電池など水素エネルギーを
使った「水素社会」の実現がある。ただ、コストや市民の理解など、超えるべき壁は
少なくない。
 西野田電工が開発・販売する燃料電池教材「水空(みずから)電気」は、水の電気分
解で発生した水素をもとに発電するという「水素社会」の本質を学ぶ上で非常に有効
だ。
 特に、アイロンなど家庭の機器を使い、燃料電池の心臓部を手作りする仕組みは素
朴で単純に思われがちだが、実際には最先端の製造ノウハウを“家庭用”に置き換え
る高度な工夫があり、国内でも類を見ない。
 エネルギー技術に限らず、専門の研究者は消費者の目線にたったモノづくりとは縁
遠い。それだけに西野田電工の事業は、先端技術と一般社会をつなぐ接点として、高
く評価できる。

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「[ベンチャー新世紀]研究室から 大阪市立大学 光合成活用の発電システム」

2005/5/29,読売新聞大阪本社朝刊本紙9頁

http://osaka.yomiuri.co.jp/kenkyu/kk50529a.htm

◆材料リサイクル可能

 大阪市立大の大学院理学研究科の橋本秀樹教授らは、植物の光合成の働きを生かし
た発電システムの研究に取り組んでいる。太陽光発電に使われる太陽電池の材料は現
在、半導体のシリコン結晶などが主流となっているが、光合成を活用すれば、発電効
率が飛躍的に高まるほか、材料のリサイクルが可能になるなど多くの利点が見込める
という。
 光合成は、光と二酸化炭素と水から、酸素などを作り出す植物の基本的機能だ。長
年、構造や働きなどに関する研究が続けられており、海外では光合成をテーマにした
ノーベル賞受賞者も多い。橋本教授も英グラスゴー大への留学などを機に、研究に取
り組むことになった。
 この発電システムの可能性に着目したのは、光合成には電気エネルギーを生み出す
作用があるからだ。葉緑素などの分子が集めた光エネルギーの働きで、電気エネル
ギーが生まれる仕組みになっている。このエネルギーをうまく利用できれば、実用化
につながるというのが出発点だ。
 橋本教授の当面のテーマは、光合成にかかわるたんぱく質と、その中に含まれる色
素の葉緑素やカロチンの配列などを操作し、効率よく発電するのに最適な形を探すこ
とだ。
 現在は、微細加工技術(ナノテクノロジー)を使って解析を進めているが、色素の構
造をどう変えるのかなど、課題は山積しており、「実用化まで10〜15年かかるかもし
れない」という。
 独立行政法人の科学技術振興機構から、独創的な研究として評価され、研究費用の
助成など支援も得ている。
 大阪市立大で産学連携を手がける産業創生研究センターの福田武人所長は「大きな
可能性を秘めている」と研究成果に期待している。

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「大日本スクリーン、有機EL発光材料塗り分け技術「ノズルプリンティング法」の
開発に成功」

2005/5/26,日経プレスリリース

世界初の有機EL発光材料塗り分け技術の独自開発に成功
〜次世代ディスプレーの大サイズ化を実現〜

 大日本スクリーン製造株式会社(本社:京都市上京区)のFPD機器カンパニー(社長:
矢追 善也)は、このほど有機ELディスプレー※1製造の重要プロセスを担う材料塗り
分け技術「ノズルプリンティング法」の開発に、世界で初めて※2成功しました。
 有機ELディスプレーは、自発光による高い輝度、広視野角、高速応答性など視認性
に優れ、薄型・軽量、低消費電力、低コストの次世代ディスプレーとして最有力視さ
れています。しかし、テレビやパソコンのディスプレーとして実用化するためには、
発光体の寿命や生産コストの問題だけでなく、大型化の実現に向けて多くの課題が残
されており、各デバイスメーカーでは材料および製造プロセスのさらなる技術開発が
急務となっています。
 このような業界の動向にいち早く対応するため、当社は液晶・半導体製造装置で
培った塗布技術を活用し、微小ノズルから溶液を吐出して均一な薄膜を形成する「ノ
ズルプリンティング法」を開発しました。ノズルプリンティング法は、各種発光体や
発光のために必要な薄膜を、微小の線幅に高精度に塗布することが可能。
 また、大気圧の下で材料を塗布するため、従来の真空蒸着プロセスでは不可欠だっ
た減圧環境が不要となることに加え、デバイスの位置合わせも容易なことから、これ
まで困難とされていた10インチ以上の大サイズ画面の製造を可能にします。
 さらに、従来の真空蒸着法と比べて材料使用効率が5倍以上となり、近年注目を集
めていたインクジェット法と比べても高い吐出安定性を実現できるため、生産コスト
も大幅に削減できます。
 当社では、2005年度の後半にこの新技術を搭載した装置を製品化し、有機ELディス
プレーの本格的な開発・量産に取り組む80社以上のデバイスメーカーのニーズに対応
します。また、有機ELの市場が2,000億円に達すると見込まれる2007年には、量産化
ラインをリリースする予定です。
 なお、この技術はアメリカ・ボストンで開催中の「Society for Information
Display 2005」で発表しました。

※1 有機ELディスプレー(organic electroluminescence display)
 電界をかけると発光する物質を利用したディスプレー。発光体をガラス基板に形成
し、5〜10Vの直流電圧をかけて表示を行うため、バックライトが不要。発光体の材料
に有機物を使うことから有機ELと呼ばれている。すでに携帯電話やカーオーディオな
ど小型のディスプレーに採用されており、今後はテレビ、モバイル機器、ウェアラブ
ル機器、フレキシブルディスプレーなど、さまざまな分野への応用が見込まれてい
る。また、表面自身が光源となるため、白熱灯や蛍光灯に代わる新たな照明器具とし
ても注目を集めている。
※2 2005年5月26日現在

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「横浜国立大、色素増感太陽電池の新タイプ、電解質にポリマー――安全・耐久性
高く」

2005/5/17,日経産業新聞9頁

 横浜国立大学工学研究院の渡辺正義教授の研究チームは、次世代太陽電池として期
待される「色素増感太陽電池」で、電解質にポリマーを使う新タイプを開発した。電
解質に有機溶媒を使う従来品と比べて、安全で耐久性も高いという。腕時計やパソコ
ンなど電子機器に応用できそうだ。成果は25日から横浜市で開催される高分子学会で
発表する。
 新開発の電池はポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルム二枚に、イオンを伝
える性質を持つポリマーを挟んだ構造。厚さ約0.4ミリメートルで折り曲げて使え
る。
 縦5ミリメートル、横9ミリメートルの試験用電池で性能を試したところ、光を電気
に変える効率(光電変換効率)は3.6%だった。1000時間使用しても品質が劣化しない
ことも確認した。縦10センチメートル、横5センチメートルのタイプも試作済みで、
今後性能を詳しく調べる。
 ポリマーの本体は、「ポリビニルピリジニウム誘導体」という高分子。色素を吸着
させた酸化チタンの微粒子を内部に含む。色素が光を吸収して、発電する仕組みだ。
 色素増感太陽電池は電解質に有機溶媒を使うタイプの開発が進んでいる。光電変換
効率は今回開発した電池の2倍以上。ただ有機溶媒には揮発性があり、電池が劣化し
やすい。壊れたときに発火する恐れもある。ポリマーならこうした心配がないとい
う。変換効率も電極の構造の工夫などで高められるとみている。
 色素増感太陽電池はシリコン製の太陽電池と比べて材料費が安いため、低コストで
製造できると期待されている。色素を変えれば電池の色が変わるのも特徴。研究グ
ループの川野竜司博士は、「時計の文字盤の部分に使えば、カラフルという特性を生
かせる」と話している。

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「0.3Vから動作可能なチャージポンプIC」

2005/5/10,EDN Japan

 セイコーインスツルは、0.3Vで動作可能なチャージポンプICを開発した。太陽電池
や燃料電池などの発電源用昇圧型DC-DCコンバータ、RFタグの内部電圧昇圧用などに
向ける。大きさは2.9mm×1.6mm×1.3mm。2005年7月よりサンプル出荷開始予定。サン
プル価格は200円。
 新製品は、シリコン基板の酸化膜上に70nmのシリコン単結晶層を形成した構造を持
つ完全空乏型SOI(Silicon on Insulator)技術を採用しており、これにより0.3Vとい
う小さい入力値から2.0Vを出力する昇圧動作を実現する。0.3Vから動作可能なチャー
ジポンプICを開発したのは同社が業界初という。
 同社の既存の昇圧型DC-DCコンバータは入力電圧0.9Vから動作するが、新製品を接
続して使用することで、入力電圧が0.3Vであっても昇圧型DC- DCコンバータを起動さ
せることが可能になる。また、昇圧型DC-DCコンバータの動作が確認されると、自身
の動作を停止する機能も搭載されており、無駄な消費電力を抑えられるという。

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「Israeli TiO2 start up raises funds but silent on licensing deal」

2005/5,PHOTON International

http://www.photon-magazine.com/news/news_2005-05%20af%20sn%20Orionsolar%20Fi
nancing.htm

Dye-sensitized titanium-dioxide (TiO2) solar cell start up Orionsolar Ltd.
reported second-round financing of $750,000 in mid-May through the New York
investment group 21 Ventures LLC.

But the Israeli-based joint venture declined to say when - or if - it had
been licensed to use the technology by its inventor and patent holder,
Michael Graetzel. CEO David Wainmann would only confirm that the company,
which raised $500,000 in the first round, is not seeking any more funding at
the moment.

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