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「 富士電機システムズ、滋賀の中学校にアモルファス太陽電池を設置 」
                       
(2004/12/22付 日刊工業新聞)

 富士電機システムズ(東京都千代田区)は独自開発したアモルファス太陽電池の実
用化第1号を、滋賀県豊郷町の中学校に設置した。鋼板一体型で出力は10キロワッ
ト。今後は曲げに強いフィルム基板一体型とともに内外で市場開拓を進め、05年末
には1万キロワット級の工場を着工、06年に完成させる。
発電効率が12%と高いタンデム型も実用化に向けた開発を加速する。
 同社のアモルファス太陽電池は1マイクロメートルの厚さで、重量は結晶系の10
分の1。太陽光波長は長短両方の領域をカバーする2層構造となっている。発電効率
は8%で、富士電機アドバンストテクノロジー(神奈川県横須賀市)に研究開発を兼
ねた3000キロワットの生産設備を保有している。
 中学校の屋根に設置した太陽電池は1モジュールの大きさが50センチ×400セ
ンチメートル。これは鋼板一体型だが、量産によるコストダウン効果を高めるため営
業活動は厚さ51マイクロメートルのフィルム基板一体化型電池にウエートを置いて
進めていく。セットメーカーと共同で営業チャンネルの拡充を図る。

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「 上海:ソーラーシステムを10万世帯に設置、05年10月より 」
                       (2004/12/22付 日経BP)
http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/eco/350328

 2010年に万国博覧会(万博)を開催する上海市では、エネルギー不足への新たな取
り組みとして、同市の10万世帯の屋根にソーラーシステムを取り付ける計画が進めら
れている。2005年10月から実施される予定。
 初期計画によると、一世帯あたりの発電量は3000キロワットに達し、10万世帯全体
で30万キロワットの発電が可能となる。
 ソーラーシステムの導入コストは一世帯あたり平均15万元とやや高め。しかし専門
家は、10年後には市内のほとんどの中流家庭がソーラーシステムを利用し、30年後に
は全国にも広まると見ている。同市の取り組みは全国の太陽エネルギー利用の普及に
つながるものと期待されている。

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「 ファイン・スペシャリティ 日本化薬 」
                       2004/12/21付 化学工業日報9頁

 日本化薬は情報通信、医療、安全の3分野を重点事業領域に据え、ニッチ市場を
ターゲットに高シェア製品拡充戦略を推進している。今年八月の全社機構改革では、
裾野の広い化学品を「攻め」と「守り」の観点などから再編成し、メリハリがつけら
れる組織体制にした。染料、農薬、火薬といった伝統事業は安定収益を生み出す基盤
を強化し、電子材料を中心とした機能化学品をとくに伸ばして事業構造の変革につな
げる。
 新中期3カ年経営計画では、2006年度(2007年五月期)の連結売上高目標
を2003年度比17%増の1500億円に設定。部門別では機能化学品事業を同4
4%増の700億円、自動車エアバッグ用インフレータなどのセイフティシステムズ
事業を同88%増の150億円に引き上げ、成長のけん引役にする。二つの事業の歴
史は古くはないが、創立90年近い同社の技術系譜にのっとっている。
 機能化学品のうち電子材料ではポリマーと色素の技術をベースに、光学フィルム、
液晶シール材、CCD用カラーレジスト、DVD用接着剤、インクジェット用色素な
どを市場に展開。現在、3D対応のマイクロパターン偏光素子や
色素増感型太陽電池
などの開発に取り組んでおり、技術の深耕と融合を武器に新製品を拡充していく。ま
た、セイフティ関連では半導体ブリッジを使った次世代型スクイブ(点火具)の開発
を進めている。
 成長基盤を強化するため、東京工場敷地内でこのほど、2006年完成に向け新研
究棟の建設に着工した。新研究棟で技術融合や外部との共同研究などを一段と推進す
る。

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「 ファイン・スペシャリティ 東洋インキ製造 」
                       (2004/12/21付 化学工業日報9頁)

 東洋インキ製造は、印刷インキで培った顔料やポリマーなど基盤技術の深耕と応用
展開により、スペシャリティケミカル企業としての裾野を広げている。新規事業・新
製品では電子・情報材料関連の比重が増し、LCDカラーフィルター用レジストイン
キは年間100億円超の大型事業に短期間で躍進。有機EL材料、
太陽電池材料、R
F−IDタグ印刷アンテナ用インキなど開発テーマもめじろ押しである。
 技術系譜の延長として、光と電子が融合するオプト−エレクトロニクス領域を意識
した事業を強化していく。加えて、植物など天然物からの抽出物を利用した製品の開
発・拡充も戦略的に推進する。この一環として天然色素・加工品の製造販売子会社を
このほど本体に吸収合併するとともに、色材事業本部のなかにグリーンケミカル事業
推進部を新設した。
 新組織を軸に推進するのはナチュラルプロダクツ事業。天然物からエキスなどを抽
出する技術は昔から保有しており、可食性インキで卵の殻に生産履歴などを印刷する
トレーサビリティーシステムを手始めに、「食の安全・安心」にかかわる分野への取
り組みを広げる。さらに天然物の生理活性成分を健康食品や化粧品、医薬品などに展
開する。SARSウイルスの不活化効果も確認した笹エキスに関しては、同社として
初のコンシューマー向け製品となる応用マスクを上市している。
 同社は「世界に広がる生活文化創造企業」を将来ビジョンに設定。石油化学原料に
とどまらず天然系素材を利用した製品も拡充していくことで事業構造を変革し、新し
い価値の創造を目指す。

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「 光製品 2015年度に生産額3.7倍 OITDAが国内市場予測 」
                       (2004/12/21付 電気新聞)

 光産業技術振興協会(OITDA、会長=金杉明信・NEC社長)は、光伝送機器
や情報記録、光エネルギーなどの光製品全体の国内生産額が、2015年度には、0
2年度比3・7倍の23兆円になるとの予測結果をまとめた。環境調和型社会、ユビ
キタス社会へと移行することで、光関連機器の市場が拡大。これに伴い、高い技術を
必要とする製品など、新規市場が拡大していくと予測している。
 02年度の国内生産額は6兆2千億円。これが2010年度には2倍の12兆7千
億円に、2015年度には、3・7倍の23兆円になると予測。うち新規市場は20
10年度で2兆6千億円規模だが、2015年度には8兆3千億円規模にまで拡大す
るとしている。
 2015年度の国内生産額の予想を分野別で見ると、情報通信が5兆2500億
円、光ディスクが2兆6700億円、ディスプレーが8兆1700億円、入出力が2
兆6700億円、レーザー加工が9200億円、
太陽電池が2兆4500億円、計測
・センシングが3800億円、その他が5300億円。
 中でも太陽電池と情報通信は、02年度比で10倍を超える成長を見せると予測し
ている。太陽電池では、産業界の環境対策の進展を受け、工場やビル一体型太陽光発
電モジュールの利用分野で市場規模が拡大。2015年度には、02年度比で約19
倍の生産規模となる見込み。
 情報通信では、画像情報などの大容量データの流通に伴い、アクセス系ネットワー
ク、幹線系、メトロ系ネットワークの伝送容量の拡充から、光化が進展。また、通信
と放送の融合に伴い、光通信機器による放送用機器代替といった新市場が創出される
ことで、02年度比で約11倍の生産規模になると予測している。

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「 米ジョージア工科大学、フィルム太陽電池の効率向上 」
                       (2004/12/16付 日経産業新聞9頁)

 米ジョージア工科大学の研究者らは、
有機材料を使ったフィルム型太陽電池の発電
効率を高める技術を開発した。携帯機器やセンサーを動かすのに十分な電力を作れる
ようになる。電子機器に使われる低価格の高分子を利用できるので、フィルム型太陽
電池の低コスト化につながるという。
 有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)などに使う
ペンタセンと呼ぶ高分子とフ
ラーレン(球状炭素分子)を組み合わせた
。フラーレンを介して効率よく電子が移動
するため、光電変換効率は3.4%と従来の10倍以上に高めることができた。材料
の比率や構造を改良することで、変換効率5%を目指す。

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「 米国立標準技術研究所が有機エレクトロニクスの基準を作る 」
                    (2004/12/15付 NEDO海外レポートNo.946)
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/946/946-15.pdf

 将来、おしゃれなズボンという言葉は、文字通りに、例えば環境に応じて色を変化
させる電子知能を埋め込んだズボンを意味するだろう。この言葉のねじれのタイミン
グは、いつプラスチックのチップが、非常に安価で信頼性を持って、衣類だけでなく
紙の上にも、掲示板や、そしてほとんど何にでも、電子回路が印刷できる等ができ
て、実用化するかによるであろう。
 今日の主としてシリコンに基づいた技術と異なり、炭素に基づいた有機材料は、柔
軟で、低温で処理でき、壁の寸法の電子壁画のような大きなエリアの応用に向いてい
る。しかしながら、有機エレクトロニクスの新興分野がその商業的見込みを果たすこ
とができる前に、新しい測定、標準および加工能力を開発しなければならない。
 必要なツールの多くを作り出すことは、米国立標準技術研究所(NIST)の新しい5 年
間の研究事業の目標である。
 「有機エレクトロニクスは、シリコン半導体産業の初期の時期とまさに似た段階に
ある。
 有効な診断プローブおよび標準的検査ならびに測定法の欠如は、発展にとっての障
害である」とNIST ポリマー研究者エリック・リンは説明する。
不幸にも、この障害を解決する仕事は非常に挑戦的なものである。有機エレクトロニ
クスの潜在的な材料の範囲は、ポリマーからナノ化合物まで非常に広大である。また
現在検討中の合成法や製造法の数は、さらに気力をくじく。その例は、インクジェッ
ト印刷、ロール印刷および分子を構成部品へ自己集合させる様々な方法を含んでい
る。
 正確で信頼できる測定は、現在の製造問題を解決し、かつ新しいマイクロチップの
広範囲の使用を促進することを支援する。終局的に、NIST は統合測定プラット
フォームを開発することを計画している、とリンは語る。想定されるツールは、研究
者やエンジニアが、成分、構造および材料特性に基づいて有機電子デバイスの性能を
予測することを可能にする。

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「 Tech Developing Efficient Organic Solar Cell 」
                       (2004/12/13, GeorgiaTech)
http://www.gatech.edu/news-room/release.php?id=497

Atlanta (December 13, 2004) ? As the price of energy continues to rise,
businesses are looking to renewable energy for cheaper sources of power.
Making electricity from the most plentiful of these sources - the sun -can
be expensive due to the high price of producing traditional silicon-based
solar cells. Enter organic solar cells. Made from cheaper materials, their
flexibility and feather-weight construction promise to open up new markets
for solar energy, potentially powering everything from Radio-Frequency
Identification (RFID) tags to iPods and laptop computers.
Researchers at the Georgia Institute of Technology have developed a new
approach to creating lightweight organic solar cells. By using pentacene,
researchers have been able to convert sunlight to electricity with high
efficiency. The research appears in the November 29, 2004 issue of the
journal Applied Physics Letters.
“We’ve demonstrated that using a crystalline organic film, pentacene, is a
promising new approach to developing organic solar cells” said Bernard
Kippelen, professor in the Center for Organic Photonics and Electronics and
the School of Electrical and Computer Engineering at Georgia Tech. “In our
paper, we show that we’ve been able to convert solar energy into
electricity with 2.7 percent efficiency. Since then, we’ve been able to
demonstrate power conversion efficiencies of 3.4 percent and believe that we
should reach 5 percent in the near future.”
What makes pentacene such a good material for organic solar cells, Kippelen
explained, is that, unlike many of the other materials being studied for use
in these cells, it’s a crystal. The crystal structure of atoms joined
together in a regular pattern makes it easier for electricity to move
through it than some other organic materials, which are more amorphous.
The research group, made up of Kippelen and research scientists Seunghyup
Yoo and Benoit Domercq, used pentacene and C60, a form of carbon more
popularly known as “buckyballs” in the cells. Previous attempts by other
groups using pentacene in solar cells combined the material with metals,
rather than an organic molecule like C60.
“The metal-pentacene cells had very low efficiencies, ” said Kippelen. “We
decided we would pair out pentacene with an organic molecule because such a
combination could generate larger currents.”
Once fully developed, organic solar cells could revolutionize the power
industry. Their flexibility and minimal weight will allow them to be placed
on almost anything from tents that would provide power to those inside, to
clothing that would power personal electronic devices.
The solar cells are still at least five years away from residential
applications, said Kippelen. But he estimates that they’ll be ready to use
in smaller devices, such as RFID tags, used by some retailers to control
inventory, within two years. Kippelen and other professors at the Center for
Organic Photonics and Electronics started LumoFlex, a spin-off company based
at Georgia Tech, to capitalize on the commercial applications of the
research.
Tech founded the Center for Organic Photonics and Electronics in 2003, when
Kippelen along with chemistry professors Seth Marder, Joe Perry and Jean-Luc
Bredas came to Tech from the University of Arizona. The center teams up with
the silicon-based research of the University Center for Excellence in
Photovoltaics (UCEP) in Tech’s commitment to producing ground-breaking
research and training in both organic and silicon solar cells.
“The silicon and organic photovoltaic groups are working together at
Georgia Tech to accelerate the development of cost-effective solar cells to
solve the energy and environmental problems simultaneously and reduce our
dependence on foreign oil, ” said Ajeet Rohatgi, director of UCEP and regent
’s professor in the School of Electrical and Computer Engineering.
This year Tech began the Strategic Energy Initiative to carry out scientific
and economic research and development on renewable energies like solar and
wind power.
The research was funded by the National Science Foundation, the Office of
Naval Research and the National Renewable Energy Laboratory.

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「 携帯電話の太陽光充電など、NTT ATのIT活用災害対策 」
                       (2004/12/10付 Enterprise Watch)
http://enterprise.watch.impress.co.jp/cda/hardware/2004/12/10/4116.html

 NTTアドバンステクノロジ株式会社(NTT AT)は、ITを利用した災害対策における
同社の取り組みを、12月10日に行われたプレス向け説明会で披露した。
 2004年は大規模な地震や台風などの自然災害による被害が大きかったため、地方自
治体などが防災対策に本格的に取り組む動きが広がっている。その中でITが生かされ
る場面も年々広まってきている。例えば新潟県中越地震において、必要とする救援物
資やボランティアをWebサイト上に掲載することや、携帯電話の伝言ダイヤルやメー
ルを活用した安否情報の確認などがそれにあたる。
 しかしライフラインの寸断により、ITを活用する上で欠かせない電気が使えないと
これらを利用することができなくなる。送電がストップしている時にこそ情報入手や
伝達に急を要する場面もあり、復旧までの間に対応できるソリューションが求められ
る。
 NTT ATの「ポケットエナジーマルチ」は、携帯電話やPDAなどへの電源供給に対応
した太陽電池入力型電源だ。7月より一部の量販店でテスト販売が開始され「これま
で約1,000台を出荷した」(環境システム事業ユニット 主幹担当部長新居亨一氏)と
いう。また、新潟県中越地震において60台が長岡市に送られ、利用された。
 ポケットエナジーマルチは、小型軽量(61×98×14mm 重量約100g)の電源部分
と、キーボード搭載PDAサイズ(91×150×23mm 重量約220g)のソーラー発電部で構
成され、太陽光で充電した電力を、出力8W以上で供給する。ノートPCには不足だが、
携帯電話やPDAの充電が可能だ。晴天時は約2時間で携帯電話の充電が可能、4〜5時間
で電源部分のフル充電ができるという。また、太陽光で充電しながら電力の供給も可
能だ。製品には PDC型携帯電話用接続ケーブルが付属し、オプションでFOMA用ケーブ
ルも用意されている。なお、電源本体部の充電は、オプションを利用することでAC
アダプターやUSBからの給電も可能だ。
 「本来は災害対策用に作られたもの」(新居氏)だが、ビジネスや個人用途でも活
用シーンは多く考えられる。同社では2005年にも本格販売を予定しているとのこと。
価格はオープンプライスで、実売は24,000円前後。
 このほか同社では、電力供給が不要で長距離伝達が可能な光ファイバーを利用して
地面のゆがみを計測する防災インフラの構築や、災害時の情報伝達や核災害対策本部
の連携を支援するシステムの構築も手がけており、2005年以降これをさらに強化する
としている。

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「 ヨウ素産業の将来性に期待する 」
                       (2004/12/8付 化学工業日報4頁)

 この秋、ヨウ素(ヨード)関連製品の開発、製造、販売を目的に、マナック、合同
資源産業および三井物産の合弁「ヨード・ファインケム」が発足した。ヨウ素は強い
反応性を生かしファインケミカルを中心に、広範な用途を持っているが、資源小国の
日本が40%ものシェアを誇る特筆すべき原料。同社は資源、応用技術、情報・販売
力を有する企業3社が力を合わせる形で設立された。ヨウ素産業に関わる企業数その
ものは、わが国でも決して多くはない。しかし、こうしたニューカンパニーの登場
は、今後の同産業の豊かな可能性を象徴するものとして注目される。
 ヨードチンキやX線造影剤、あるいは写真薬品などとして幅広く使われているのが
ヨウ素製品。一見地味な印象を抱かれがちだが、近年、脚光を浴びているのは、医薬
中間体はもとより、液晶ディスプレー(LCD)用偏光フィルム、レーザープリン
ター用感光材料、さらには
色素増感型太陽電池などと、いまをときめくオプトエレク
トロニクスや新エネルギーデバイス向けのキーマテリアルとして、その用途が華々し
く開花、需要を増やし続けているためだ。
 こうした環境を背景に、ヨウ素の世界販売数量は2000年に1万7500トンを
記録して以降、2001年1万8900トン、2002年1万9900トンと伸び、
2003年は2万1800トンと2万トンの大台を突破するまでに拡大、今年も4%
以上の成長を見込んでいる。日本にとって、さらに意味があるのはヨウ素資源が世界
的に偏在していること。供給メーカーはチリ、日本、米国に限定されており、とくに
生産量に関してはチリ、日本の2カ国で約90%を占めている。逆に、この点でいえ
ば、わが国は資源大国の優位性を生かしたビジネスモデルを構築することが可能な立
場にある。
 また、ここにきてヨウ素は、有機・無機中間体としての利用から、触媒的利用の拡
大も注目されている。ヨウ素そのものの電子授受の機能を化学反応に応用、金属触媒
と有機触媒の中間的な性質を持つというユニークな市場領域が形作られそうだ。加え
て、安定供給体制の維持に力を注いでいるのも、わが国業界の大きな特徴。回収・リ
サイクルには率先して取り組んでおり、合同資源産業、日宝化学、伊勢化学工業、関
東天然瓦斯開発などの大手企業が、すでに実施している。
 原料生産から用途開発、製品販売そして回収・リサイクルとヨウ素は、資源からの
インテグレーテッドな戦略を打ち出せる稀有な産業。今後も世界のフロントランナー
としての活動を、強めていくことを期待したい。

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「 無機薬品 高付加価値展開に拍車 」
                       (2004/12/6付 化学工業日報)

 無機薬品は、プラスチックや塗料、印刷インキ、紙・パルプ、土木・建築、水処
理、電子材料など広範な分野で利用されている基礎素材。古くから化学工業の一翼を
担いつつ、一般の民生分野においても目に見えないところで活躍している。ただ、景
気の低迷と輸入品の圧力もあって無機薬品を取り巻く環境はいぜん厳しい状況にあ
る。メーカー各社では、高純度化や微粒子化など付加価値を高める戦略で差別化を
図っており、とくにIT分野をターゲットとした製品開発、応用展開に引き続き全力
投球している。
 日本無機薬品協会まとめによる2003年度の無機薬品の需給実績をみると、生産
は前年度比2.4%減の400万トン、出荷も同2.3%減の402万6千トンに止
どまり、いずれも前年に引き続きマイナス成長を余儀なくされた。既存の汎用の無機
薬品が押しなべて厳しい状況のなか、IT関連分野や環境関連市場をターゲットにし
た製品も総じて振るわず、需要を伸ばしきれなかったのが影響したようだ。
 今年に入ってからは、一月、二月については生産・出荷量とも前月比並びに前年同
月比で若干の微減だったが、三月は前月比、前年同月比ともプラス成長に転じ、四月
も生産量が前年同月比で1.7%増となったほか、六月も前月比で10.5%増、前
年同月比でも7.8%増と高い伸びをみせ、需要回復の兆しをみせている。

<高純度リン酸>

 メーカー各社では長年蓄積してきた高純度化技術や超微粒子化技術、形状制御技術
などを駆使しながら、付加価値の高い製品開発、応用展開に引き続き力を注いでい
る。中国を中心とした輸入品との差別化を推進、住み分けを図りながら、収益力を
アップさせようという戦略だ。たとえばリン酸では高純度リン酸をLCD(液晶ディ
スプレー)用のエッチング剤として展開に弾みをつけている。半導体や液晶パネル、
各種電子デバイスなどのエッチング剤向けに使われている高純度リン酸は、需要業界
の活況により、日本および東南アジア市場を中心としてタイトな状況が続いている。
液晶パネルなどの大型化や韓国、台湾、日本でも情報家電向けに半導体や液晶を含む
フラットパネルディスプレー投資が続伸しており、高純度リン酸の需要が伸びている
もので、メーカーでは増産対応も含めて需要増にはできる限り応えていく考え。
 活性炭では水処理分野において、高濃度オゾンを分解できる球状活性炭や銀コー
ティング活性炭、ハニカム状活性炭など特徴ある製品開発で独自の市場を切り開いて
いる。オゾンは高い酸化力、殺菌力を武器に高度水処理を始め、工場排水、悪臭除去
に使われ近年、急速に活躍の舞台を広げている。ただ系外に排出される未反応オゾン
の分解処理については、百ppm以下の低濃度オゾンには従来の活性炭で対応できる
が、百ppm以上の高濃度オゾンについては分解処理するのが難しかった。高濃度オ
ゾン分解除去用の球状活性炭はこうしたニーズを背景に開発されたもので、活性炭と
セラミックスの高度な融合技術を生かして製品化されている。
 ハニカム状の活性炭は悪臭除去用として応用開発が進められている。母材がハニカ
ム構造体の活性炭で、一般の球状活性炭に比べて4倍程度の外部表面積を持つ。圧力
損失も小さいことから、工場施設や下水処理場など幅広い分野で採用が増えてきてい
るという。活性炭とバインダーを混ぜ、押し出し成形した後、焼成してつくられる。
耐久性があり、耐熱性や耐水性、耐薬品性にも優れるという。硫化水素対策に悩む下
水処理場や、近年では実験動物関連施設、溶剤回収、雨水貯留槽などから発生する臭
気除去などにも応用が期待されている。
 バリウム塩類では、炭酸バリウム大手の日本化学工業や堺化学工業がチップ型積層
コンデンサーの材料となるチタン酸バリウムで一層の競争力アップを狙っている。
チップ型積層コンデンサーは携帯電話やモバイルパソコンなどIT機器の回路のバイ
パスやノイズ吸収、電圧バッファー用に利用され、携帯電話では数百個のチップが組
み込まれるという。この分野は国内メーカーの得意とするところで、もう一段の高純
度化を進めている。
 硫酸バリウム大手の堺化学工業は、自動車塗料用として分散性や透明性に優れた粒
子径0.05マイクロメートルの超微粒子グレード品を前面に押し出しながら市場展
開しており、輸入品の追随を許さない。板状硫酸バリウムも自動車用塗料や化粧品向
けファンデーション素材の機能材料として評価が高い。

<光触媒酸化チタン>

 白色顔料の酸化チタンも高機能化が進んでいる。海外大手に比べ規模では太刀打ち
できない国内メーカーは、特殊グレードを中心とした市場で力を発揮、成果をあげて
いる。たとえば超微粒子酸化チタンは、顔料用酸化チタンと比べ一次粒子径を十分の
一(0.02−0.07マイクロメートル)に微粒子化したもので、可視部の光透過
率が高く紫外部の光遮断性が大きい。すでにUVカット化粧品や紫外線カットフィル
ムなどに幅広く使用され、自動車塗料や磁性テープ下層材、シリコンゴム難燃剤、触
媒などに使われている。世界需要は年間2千トン程度と推定され、化粧品用途やプラ
スチックなど工業分野に向けて開発競争が激化してきた。
 光触媒酸化チタンの粒径は0.007マイクロメートル。顔料用グレードの実に百
分の一の大きさだ。顔料用酸化チタンは焼成して結晶を成長させてから粉砕するとい
う製法プロセスであるが、光触媒用は焼成しないで微粒子のまま結晶化させていく。
物質としては双方とも同じ酸化チタンだが、極めて超微粒子にすることで新たな機能
が発現できる。紫外線を受けると、有機物を主体に汚染物質の分解や生ゴミ脱臭剤、
親水性によるセルフクリーニング機能を発揮する。日本が世界をリードしている技術
といってよく、環境浄化の有力な手段として、将来的には1兆円市場に成長するとの
予想もある。

<超微粒子酸化亜鉛>

 超微粒子酸化亜鉛も化粧品や電子材料関連用途で需要の拡大が期待されている。一
般の酸化亜鉛は加硫促進、塗膜強化剤などとしてゴム、塗料用途などに使われている
が、ナノサイズの超微粒子グレードは、紫外線遮へい機能を生かして化粧品に使われ
ている。透明性の高い酸化亜鉛のニーズが高まっており、紫外線B波をカットする超
微粒子酸化チタンと組み合わせる形で、より幅広い波長の紫外線をカットできる遮へ
い材として注目されている。
 この酸化亜鉛、最近では透明でありながら電気を通すという性質が注目され、太陽
電池や次世代フラットパネルディスプレー(FPD)の電極材料への応用展開にも期
待が集まっている。液晶を始めとしたFPDの電極には現在、透明導電膜のITO
(インジウム酸化スズ)がもっぱら利用されている。FPD市場の成長にともないI
TOの需要拡大が続く一方で、原料インジウムの安定供給に不安が高まっている。中
国などに供給ソースが限定されているうえ、市況の低迷が続く亜鉛の副産物であるこ
とが災いして、今後も生産量が増えない可能性が高い。こうした原料事情を背景にI
TOに代わる新しい透明導電膜として酸化亜鉛にスポットライトがあたっているもの
で、今後の技術開発にも一段と熱を帯びてきそう。
 硫化リチウムでも硫黄酸化物などの不純物を大幅にカットした高純度品が次世代リ
チウムイオン二次電池向けの固体電解質として有望視されている。電池の電解質には
現在、可燃性の有機溶媒が利用されており、液漏れや発火など安全性に問題があると
の指摘がなされている。固体電解質だとこういった問題がなく、しかも硫化リチウム
を原料にした固体電解質は不燃性のガラスセラミックスなので安全性が高く、性能面
でも優れたリチウムイオン二次電池の実用化が期待できる。
 こうした無機薬品の高機能化による高付加価値分野への展開は、成熟感漂う無機薬
品にとって重要なテーマといえる。クラシカルな汎用製品の量的拡大が見込めないな
か、国内メーカー各社ではファイン志向を鮮明に打ち出すことで、新たな市場を切り
開いており、競合他社や輸入品との差別化を図りながら、事業基盤強化を進めてい
る。

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「 太陽光発電の動向調査発表 環境保護団体「グリーンピース」など 」
                       2004/12/4付 読売新聞東京本社夕刊7頁

 環境保護団体「グリーンピース」などは、太陽光発電について、各国の現状や今後
の普及見込みなどをまとめた報告書「ソーラー・ジェネレーション」を発表した。2
020年には、世界の電力供給の1%を占め、世界中で約200万人の雇用を生む可
能性があるという。さらに2040年には21%にまで拡大すると予測している。
 国内での導入量は世界トップを誇るが、ドイツなどヨーロッパでの導入が急拡大し
ており、今後の普及に向けて、さらなる支援策が不可欠としている。報告書は250
0円。問い合わせは、(電)03・5338・9800まで。

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「 2010年の世界光産業/市場規模、59兆8000億に拡大
  /光産業技術振興協会が予測 」
                       2004/12/3付 鉄鋼新聞

 光産業技術振興協会は2日、2010年、2015年の光産業の市場規模、国内生
産額、技術動向などをまとめた「光産業の将来ビジョン」を発表した。光産業の全世
界市場規模は02年の29兆円から年率10%弱の成長を続け、2010年には59
兆8千億円となり、2015年には106兆5千億円に達すると予測。この間、国内
生産額は02年度の6兆2千億円から、2010年度には12兆7千億円、2015
年度には23兆円に達すると予測している。
 光産業の全世界の市場規模は、既存製品の市場拡大や新規技術製品の出現により、
2015年までの13年間、年率10%前後の成長が続くとみている。特に2010
年以降は、3Dディスプレイ、シートディスプレイ、光触媒、太陽光発電など新規技
術製品の急速な伸びが期待されている。
 国内生産額は2010年度に既存分野で10兆1千億円、新規分野が2兆6千億
円、合計では12兆7千億円に、2015年度には既存分野で14兆7千億円、新規
分野で8兆3千億円、合計では23兆円に達すると予測。

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