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モバイルソーラーチャージャー「レピタ」
http://www.f-plan.co.jp/solar/goods/repita.html

税込14,900円

 充分な大きさの太陽電池と充分な容量の内蔵電池により、携帯電話の満充電が可能な、「使える」モバイルソーラーチャージャー登場!
 FOMA, cdmaOneを含め、多くの携帯電話に対応。(PHSは未対応)
バッテリチェック機能、過充電防止回路内蔵で、使いやすく、そして安全。
Repita(レピタ)は、太陽の国・スペインの言葉で「繰り返し、反復」を意味します。
太陽の恵みを繰り返し使える、環境にやさしい商品です。

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環境対応型金属屋根/三晃金属品揃え拡充/早期に年商20億円目ざす
                      
(2004/11/5日付 鉄鋼新聞)

 金属屋根最大手の三晃金属工業(本社・東京、社長・吉田伸彦氏)は、ソーラー発
電屋根および屋根緑化システムの「環境対応型金属屋根」を強化する。両システム製
品ともに品揃えを拡大して、幅広い需要に対応できる態勢を確保した。早期に年商2
0億円規模を確保していく。
 ソーラー発電屋根では11月から、富士電機グループとの共同開発で、アモルファ
ス(非結晶)シリコン太陽電池を使った軽量で湾曲施工可能な屋根材一体型システム
「アモルファスフラット」(商品名)を市場投入した。
 三晃のソーラー発電屋根システムはこれまで、シリコン結晶系太陽電池使用の折版
屋根置き型(ソーラーSフィット)同・屋根材一体型横葺きシステム(段ルーフ26
N)同・縦葺きシステム(単結晶フラット)の3製品がある。これら従来製品と合わ
せ4製品とし、多様な需要に対応できる態勢を確保した。早期に年商10億円を確保
していく。
 屋根緑化システムでも早期に年商10億円を確保する。独自の耐候性鋼板「エック
スロン鋼板」を折版など屋根材に使い、芝生など植栽マットを設置する「エックスロ
ングリーンシステム」に加えて、今年度から芝生など植栽ユニットを既存屋根に設置
できる「ユニットグリーンシステム」を追加投入した。
 「ユニット」型は、植栽研究や施工など屋根緑化のノウハウを持つ東邦レオ(大阪
市)と業務提携した製品。

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視点/太陽電池の材料供給に懸念−各社セルを大幅増産
                      
(2004/11/3日付 日刊工業新聞3面)

 世界の半分のシェアを持つ日本の太陽電池メーカー4社の動きが活発だ。相次いで
パネルの海外生産に乗り出したほか国内でもセルの大増強中で、4社の生産量の合計
が06年には現在の2倍になる見込み。一方で、材料の供給不足や価格上昇を心配す
る声が聞かれ始めた。材料の問題が急成長を続ける太陽電池の市場に水をさす可能性
もある。(大阪・松木喬)
 三洋電機はハンガリーに太陽電池パネルの生産工場を作る。日本で生産した太陽電
池セルを現地でパネルに組み立てる。05年6月の稼働時は年産5万キロワット、0
6年度には同10万キロワット体制にする。公表しているメーカーの中では欧州最大
規模だ。
 シャープも04年春から英国でパネル生産を始めた。 京セラも05年春からチェ
コで生産をスタートさせる計画だ。
 太陽電池に詳しい米PVニュース社によると、03年の全世界の太陽電池の生産量
は前年比32%増の同74・2万キロワットで、00年からの3年間で約2・6倍に
膨らんだ。今後も年率20%の需要の伸びが見込まれている。特に欧州での需要拡大
が期待できるため「消費地に近い場所で組み立てて、コストダウンを図る」(津田信
哉三洋電機執行役員)という。
 セルの増強も活発だ。京セラは05年8月に現在の2倍の同24万キロワットに一
気に引き上げる。 三菱電機も現在の同9万キロワットを05年4月には同13・5
万キロワットに拡大。さらに06年以降には同23万キロワット体制にする計画だ。
 三洋も急ピッチで増強に取り組んでいる。05年1月に二色の浜工場(大阪府貝塚
市)を増強して倍増の同13・3万キロワットにする計画だったが、急きょ、島根県
と群馬県の子会社での増強を決め、同16万キロワット体制にすることにした。
 大幅な増産の裏で「材料を安定して確保できるかどうか不安」という声が聞かれ
る。主流の多結晶タイプは、半導体材料のシリコンの端材を集めて鋳造したインゴッ
ト(塊)から製造する。デジタル家電景気でシリコンが手に入りにくくなっているう
えに、大規模な増産で今後の供給不足を心配する声が上がっているのだ。
 別のメーカーは「今はそれほど価格は上がっていないが、投機的な値上げが気がか
り」と話す。「今のうちに安定供給元をケアをしておく必要がありそうだ」と話す
メーカーもある。
 住宅に設置する太陽電池システムの費用は220万円前後(出力3キロワット)。
このうち4割がシリコンの値段だという。各社とも長年にわたりコストダウンに取り
組んできたが、限界に近づいている。
 今後は、シリコンの安定した供給元を確保する必要が出てきそうだ。また、シリコ
ンに代わる新しい材料の開発も必要になりそうだ。

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日本化薬、新統合研究棟に着工、技術融合型研究を強化へ
                      (2004/11/1日付 化学工業日報4面)

 日本化薬は、東京都北区の東京工場敷地内で新研究棟の建設に今月から着工す
る。完工は2006年初頭を予定、現在の機能化学品開発研究所と精密化学品開発研
究所を新研究棟に統合する。同社はこれまで基本的に事業部制の研究開発体制を採用
してきた。新研究棟は医薬品の研究開発拠点とも隣接し、知的資産と人材の連携・融
合を主眼にした研究開発を今後推し進めることで、新製品・新事業の創出を加速す
る。
 新研究棟「統合研究棟」(仮称)は地上七階建てで、延べ床面積は約1万2700
平方メートルを計画。七階建ての高層棟(実験エリア)と三階建ての低層棟(研究支
援エリア)で構成し、約二百人の研究員らが入る。投資額は一部試験設備を含め38
億円を見込む。グランドオープンは2006年四月を目指している。
 東京工場では、医薬関連の生産の高崎工場(群馬県)への移管を進めていることか
ら敷地に余裕が生じ、生産体制の再編成計画を受けて日本化薬では昨年二月に東京地
区事業整備委員会を発足。同工場内にある機能化学品開発研究所も老朽化しているこ
とから、医薬事業本部管轄の創薬本部の隣に空いた敷地に、新たな機能を持たせた研
究棟を建設する検討を進めてきた。
 統合研究棟が完成すると、農薬など化学品事業関連の研究開発を担当している精密
化学品開発研究所(埼玉県上尾市)の機能も移管され、同社の主要な研究開発機能は
東京地区に集約される。
 化学や物理、理学、工学といった分野にまたがる学際的研究の重要性が一段と増す
なか、同社は昨年から「コーポレートテーマ研究推進制度」をスタートさせ、高分子
ミセル抗がん剤や
色素増感太陽電池といった技術融合型研究を外部とも連携しながら
推進中。「コラボレーション」や「交流コミュニケーション」などコンセプトにした
統合研究棟を核に、社内外の知的資産を融合させた研究を一段と強化していく方針
だ。

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夢・化学21委員会、週末実験教室に新たに3教室追加
                      (2004/10/29日付 化学工業日報2面)

 「夢・化学−21」委員会は二十八日、九月から来年三月までの毎週土曜日に東京
・千代田区の科学技術館で小・中学生を対象に開催している「週末実験教室」で、今
年は新たに三教室を加えると発表した。
 今年度新たに体験できるのは次の三教室。
▽昭和電工が材料提供する「太陽電池
を実際に作ってみる」実験教室(十一月)
▽宇部興産の「高機能プラスチックを
使って自分だけのオリジナルしおりを作る」実験(十二月) ▽三菱ガス化学の「カ
イロが温かくなる仕組みを解明する」実験(一月)。
 いずれも一日3回の開催、参加費は無料(ただし科学技術館への入館料が別途必
要)。なお、二月は花王が提供する「髪の毛の科学・ヘアーサイエンス」、三月も花
王の「洗浄の科学 汚れはこうして落とす」。

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03年度太陽電池出荷量、5割の増加、04年度500メガワット超へ
                      (2004/10/29日付 化学工業日報9面)

 光産業技術振興協会によると、2003年度の国内メーカー22社の太陽電池出荷
は、407.7メガワットで前年度比48.6%増となった。これは、欧州向けの輸
出が大きく増加したほか、内需も着実に伸びたことなどによるもの。昨年度の増加量
133.4メガワットは、2002年度の85.7メガワットを大きく上回る過去最
高となった。原油高騰やロシアの京都議定書の批准など温暖化防止を追い風に、今年
度の出荷は500メガワットを大きく超えそうだ。
 太陽電池の出荷は、2000年度に100メガワットを超えるとともに、この数年
連続して大幅増が続いている。2003年度は、内需が225.0メガワット、輸出
182.7メガワットの合計407.7メガワット同48.6%増の過去最高を更新
した。
 内需の出荷量が38.8メガワット同20.8%増となったことに加えて、輸出が
一挙に94.6メガワット増と倍増以上を達成したことなどによるためで、急増した
輸出のうち欧州向けが73.2%となるなど、欧州市場での出荷拡大が目立った。
 電池別では、国内向けでは多結晶シリコンタイプが80.8%を占めているほか、
単結晶シリコン16%、残りが薄膜シリコンとなっており、多結晶が10ポイント程
度伸びた。
 半面、輸出は多結晶57.3%、単結晶35.4%などとなっており、2002年
度に比べて単結晶の構成比が15%程度伸びるなど、内需とは対照的な結果となっ
た。
 太陽電池大手のシャープ、三洋電機、京セラなどはグローバル市場での需要増に対
応し、昨年に次いで今年から来年にかけて国内外での生産能力の引き上げを計画して
いる。
 今年に入って原油価格が急騰しているほか、ロシアが京都議定書の批准を表明、温
暖化対策の本格化が見込まれるなど、太陽電池市場拡大の絶好の“追い風”となって
おり、今年度の出荷量も昨年度を30%以上上回る、500メガワットを超えること
が確実となりそうだ。

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何とバックパックで充電!?
                      (2004/10/29日付 MYCOM PC WEB)
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2004/10/29/009.html
http://www.eclipsesolargear.com/

 モバイル派もアウトドア派も安心? 「Eclipse Solar Gear Solar BackPack」なら、
携帯電話、PDA、GPS、MP3プレイヤー、どれでも充電可能だ。
運悪く出かけた先にコンセントがなければ電池切れになるかもしれない。普段持ち歩
く携帯機器の充電状態が気になって仕方がないのは多くのモバイラーに共通だ。こう
した悩みを解決?する、強力なアイテムが登場した。
 Eclipse Solar Gearが発表した「Solar BackPack」は、ソーラー充電器が仕込まれた
バックパックだ。多くのタイプのバッテリーと携帯電話、PDA、携帯型のGPSを含む機
器が充電可能な、とてもコンビニエンスな充電器だ。オンラインストアなどで販売さ
れ、価格は129ドル。
 ソーラーバックパックは、基本的にカーアダプターを利用して充電できるものなら使
用できる。統合太陽発電パネルは、2.5ワット以上の給電能力を持ち、アクセサリを
付けたままの機器にも十分なパワーという。
収納された電子機器などを保護するため、耐久性に優れるナイロン繊維で構成されて
おり、主な装備は、パッド付きのウエストベルト、メッシュのベンチレーテッドバッ
クパネル、ショルダーストラップ、リムーバブルラップトップケース、そしてアクセ
サリーやボトルポケット、MP3プレイヤーおよびヘッドフォン入れ。反射機能付き
キーリングで夜間も大丈夫とか。

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ヨウ素 独自機能生かし成長軌道へ(企画記事)
                      
(2004/10/26日付 化学工業日報5面)

 世界的に、わが国とチリに偏在するヨウ素。従来の応用分野に加え、電機・電子な
どの先端産業分野や触媒的な利用など新たな応用分野が大きく立ち上がろうとしてい
る。なかでも、液晶フィルム向けが急速に伸長しており、一部では需給タイトの状況
も見受けられる。天然資源として、供給面で制約要因はあるものの、ヨウ素の持つ独
自の機能を生かした応用領域はこれからも着実に拡大していきそうだ。このようなな
か、「第7回ヨウ素利用研究国際シンポジウム」が来月五日、千葉市の千葉大学で開
かれる。産官学が一体となって、ヨウ素産業の未来を開拓するものとして、その成果
に多くの期待が集まっている。
 世界のヨウ素生産・販売は、別表の通り、世界的な景気低迷の影響などもあって、
1998年以降、やや停滞傾向にあった。それが、2002年には回復傾向を示し、
2003年の生産・販売はそれぞれ2万1600トン、2万1800トンと、2万ト
ンの大台を突破する伸びを示すまでになった。需要についてはこれまで、年率3−
3.5%で安定成長するとみられていたものが、今年は4−4.5%に達すると予想
される。
 この急速な伸びの一因が、国内をはじめとした液晶フィルム向けなどの電機・電子
分野向け。ことにアジア市場が急拡大しており、昨年は800トン程度が振り向けら
れ、今年は1千トンの大台乗せは確実という。これに加えて、
色素増感太陽電池など
有望な需要分野も考えられている。
 一方、有機・無機中間体としての利用から、“触媒的”利用の拡大が注目されてい
る。
 ヨウ素の持つ機能を化学反応に応用、製品づくりを推し進めようというもの。従来
の原料としての利用の枠を越えた新たな利用方法といえる。また、反応工程で利用さ
れた後、ヨウ素の回収・リサイクルが容易にできることから、有限な天然資源として
のヨウ素を有効活用する方法としても注目されている。
 ただ、絶対量としてはまだ消毒・殺菌剤やX線造影剤などが大半を占めている。そ
れが急激に変化するとは考えにくい。また、新規需要が急拡大したといっても、環境
規制などもからみ急に供給量を拡大できないのもヨウ素の特質。
 最近のタイト気味な需給状況に、業界も安定供給体制の維持に力を注いでいるが、
その切り札として「回収・リサイクル」の拡大が急務ともいえる。わが国では、合同
資源産業、日宝化学、伊勢化学工業、関東天然瓦斯開発の4社が回収・リサイクルを
実施している。
 液晶フィルム向けなどの新規需要の拡大で需給がタイト気味に推移するなか、20
02年をターニングポイントにして、価格も回復基調。安定供給できるレベルの1キ
ロ当たり15ドル(取引単位コンテナ当たり、大口扱い)近辺に近づいているとい
う。スポットは超強含みに推移しているという向きもある。ただ、わが国のヨウ素生
産企業は、適正価格で国内ユーザーへの安定供給を最優先していくという。
 わが国のヨウ素産業は今後も、国内のユーザーとともに、新たな需要の開拓、資源
の有効活用に向けたリサイクル利用など進め、着実な成長軌道を歩んでいくといって
よいだろう。

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中堅商社の戦略 ソーダニッカ
                      
(2004/10/25日付 化学工業日報15面)

 ソーダニッカは、中計で掲げた「環境と化学をコーディネートし、社会に貢献す
る」という方針に基づき、昨年営業部門を市場対応型の組織に再編、それぞれ戦略づ
くりを行ってきた。どの分野でも環境対応を考えて営業するという考え。
 二井秀明社長は、市場別戦略について生活関連市場を例に「食品、洗剤、医薬、包
装では、シナジー効果を発揮できるようにした」という。各市場(ユーザー業界)の
共通した問題などで営業マンが同じ認識をもち、より専門性を高められるようにする
のが目的。結果的にスペシャリストを育成する意味もある。
 具体的には、新規商材では健康食品、食品添加物、包装材で高バリヤー性の機能性
フィルムなどに力を集中する。また、二次電池向け材料、燃料電池材料、太陽電池向
色素増感剤などがサンプルワーク中だ。最近光学関連でリアプロジェクターの販売
と関連材料である光学ミラー、ハウジングなどを販売し始め05年度は10億円を目
指す。
 また、デジタル機器関連ではデジカメ、携帯電話用レンズのほか多様な商材が育ち
つつある。
 環境分野では、生分解性プラの扱い、廃発泡PSなどをマテリアルリサイクルして
土木用パネルに製造販売している。また各種代替フロン製品では実績が上がってい
る。
 ファインケミカルでは、界面活性剤、製紙用濾水性向上剤、シリコーンに加えて、
無機系では高純度アルミナ、スパッタリングターゲット、水酸化マグネシウムなどが
あげられている。
 カ性ソーダなど基礎化学品をコアに、成長市場に向けた機能性材料には今後とも力
を注ぐ。

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フロンティアカーボン――フラーレン広がる用途、低価格化へ量産開始
                      
(2004/10/25日付 日経産業新聞17面)

半導体・燃料電池・医薬品…

 半導体の研磨精度を引き上げ、ボウリングは空滑りを防止――。モノに添加すると
様々な機能向上を実現するナノテクノロジー(超微細技術)新素材のフラーレン(球
状炭素分子)。 三菱化学や三菱商事が出資するフロンティアカーボン(東京・中
央)は世界で初めて量産工場を本格稼働。約400社に出荷し、一部で実用化が始
まった。高コストなど普及へのハードルは残るが、顧客の厳しい目にさらされながら
一歩一歩、離陸に近づいている。
 日本エボナイト(東京・大田)の「ナノデス」(商品名)。一見、普通のボウリン
グ球だが、表面のウレタン樹脂はフロンティアカーボン製のフラーレン入りだ。「狙
い通り曲がるようになった」。レーンの多くに張られた油膜部分でも空滑りせず、プ
ロ選手らの間で評判は上々だ。
 昨年、第一号を発売したばかりだが、表面や内部構造を改良し、今月には七代目を
出す。「少なくとも20種類は投入する」。社長の山崎茂はこう決めている。
 フラーレン標準品の価格は1グラム500円前後。日本エボナイトが使ってきたボ
ウリング球の表面素材は高くて同50円だ。「もっと価格を下げてくれれば、コピー
機ローラーなど開発中のゴム製品にも使えるのだが」
 洞海湾を望む三菱化学の黒崎事業所(北九州市)。このコークス炉跡地に建つフロ
ンティアカーボンの工場の一角で、出荷を待つフラーレン入り段ボール箱が積み上
がっている。
 これまでの出荷先400社の顔ぶれはエボナイトのほか素材や電機、医療、スポー
ツ用品メーカーなど多彩。フラーレンが秘める可能性の大きさを物語る。
 1980年代、米の研究者が発見したフラーレンは炭素原子がサッカーボール状に
つながった直径約1ナノ(ナノは十億分の一)メートルの分子。日本でフラーレンの
物質特許を持つ三菱商事が三菱化学などに呼びかけフロンティアカーボンを設立し
た。
 「量産のための技術的な課題はすべてクリアした」(フロンティアカーボンの高倉
剛副社長・製造センター長)。工場の本格稼働で価格を当初の十分の一に下げたが、
1グラム当たり約500円はなお割高。用途が広がれば量産に拍車がかかり、価格が
下がる好循環を生む。同社は「さらに価格を十分の一に下げられる」とみる。
 採用第一号のボウリング球以来、顧客開拓は思うように進まなかったが、ここにき
て本命の産業素材分野に広がり始めた。
 半導体ウエハー研磨の三和研磨工業(京都府宇治市)は、従来のケイ素系からフ
ラーレン添加の研磨剤に変えたところ精度が2倍に上がった。
 建材や車の潤滑油のほか、ノート型パソコンや携帯電話用への応用が期待される燃
料電池の電解質膜にフラーレンを加えると、電池の寿命が延びる。こうした分野で実
用化を目指した研究が加速してきた。
 「来春までにスポーツ用品など五、六品でフラーレンを使った製品が登場する」。
フラーレン戦略を担う三菱商事ナノテク事業推進室長の宍戸潔はこう明かす。
 すそ野が広がるにつれ新たな課題も浮上している。例えば様々な種類のフラーレン
を混ぜ込んだ標準品の場合、フラーレン同士のくっついた塊の大きさなどについて
「個別のスペックで提供してほしい」という声が出てきた。「需要に応じて作り分け
る技術はあるが、コストが高くなり価格を下げにくい」。宍戸らは苦悩する。
 三菱商事は2007年度にナノテク事業の黒字化を目指している。本格採用までに
時間がかかるのは新素材の宿命とはいえ、目標まで残された時間はそう多くない。

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