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阪大と日本化薬、安価な色素開発、次世代太陽電池に使用
』
(2004年5月27日付 日経産業新聞)
大阪大学と日本化薬の研究グループは折り曲げ可能で軽量な次世代太陽電池として期
待される「色素増感太陽電池」向けに安価な新色素を開発した。通常は高価なルテニ
ウムと呼ぶ色素を使うが、代わりに安価な「ポリエン」を使い材料コストを二割以上
安くできる。発電効率も従来並で、早期の実用化を目指す。
阪大の柳田祥三特任教授と北村隆之助手らの成果。
二重結合を持つ「ポリエン」と呼ぶワインレッドの色素を開発。太陽光が当たって
生まれた電子が効率よく酸化チタンに伝わるような構造を持たせた。
酸化チタンの微結晶と有機色素を組み合わせて発電する色素増感太陽電池を試作し
たところ、6.6%の発電効率があることを確認した。電解質などを新色素に合わせ
て最適化すれば、ルテニウム系と同じ10%程度の発電効率が実現できるとみてい
る。高価なルテニウムを使用しないので、大量合成すれば色素を値段を大幅に削減で
きるという。
色素増感太陽電池は薄く曲げられるほか様々な色を付けられ、室内でインテリア感
覚で使える太陽電池や携帯用発電機器として注目を集めている。日立マクセルなどが
開発を進め、2005年ごろに実用化が見込まれる。