『記者の眼』
                   2004年1月31日付 半導体産業新聞

 半導体市場の回復が本格的になってきた。業界の方々の表情も明るさに
満ちてきた。さらに、国内では大型投資の噂もちらほら。2004年は幸
先の良いスタートを切ったが、これが末永く続くことを祈りたい

 話は変わるが、筆者は本紙の姉妹紙「週刊ナノテク」のスタッフも兼務
している。最近はナノテクとエネルギーの関係に注目しているが、中でも
興味深く追いかけているのが「色素増感型太陽電池」だ。これは光合成の
原理を応用し、色素が吸収した光のエネルギーを電流として取り出す太陽
電池だ

 様々な色素を用いることで、インテリアやデザインに配慮したカラフル
な太陽電池を実現できる上、フィルムを基板に使うことにより、曲げるこ
ともできるのだ。携帯電話に手軽に貼り付けられる充電用フィルム、ある
いは太陽光に置くだけで充電できる自動車の塗装など、既存の太陽電池で
は考えられない斬新なアプリへの展開も夢ではない

 もともとは欧州の研究者が発案したものだが、現在は日本国内で研究が
活発化している。国内某大学の研究者にお伺いしたところ、何らかの形で
参入を狙う国内企業は、驚くなかれ二〇〇社近くにも上る勢いだという。
世界的に見ても、実用化研究は日本が先行している模様だ
 市場の離陸に向けて、まだまだ課題は山積しているものの、有望な成長
株であることは間違いない。うまくいけば、世界を席巻する“日本発”の
ヒット商品となる可能性は大きいであろう。