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『太陽電池 増産に本腰 一般住宅用需要急拡大 電機各社、成長を期待』
2004/1/21, 産経新聞(大阪朝刊)

 電機各社が太陽電池の増産に動いている。最大手のシャープが今年半ばまでに生産能力を20%増強するのをはじめ、京セラ、三洋電機といった上位メーカーも一斉に増産体制を整える。環境意識の高まりもあって住宅用の太陽電池の需要は高まる一方。今後も大きな成長が期待できると判断、生産増強を急ぐ。
 シャープは新庄工場(奈良県新庄町)の生産能力を今年半ばまでに現在の年248メガワット(メガは百万)から300メガワットに増強する。昨年十一月に20%以上生産能力を増強したばかりだが、「国内の需要に応えるのに手いっぱいの状況」で、一段の増強に踏み切る。
 こうした状況は他社も同じ。京セラは現在の80メガワットの生産能力を三月には100メガワットに増強、六月には120メガワットまで拡大する。 三洋電機は一月から太陽電池の新工場(大阪府貝塚市)が稼働し、生産能力は63メガワットと2倍に拡大。さらに来年には120メガワットに増強する。三菱電機も現在の50メガワットを七月までに90メガワットに増強し、来年以降に130メガワットとする。
 各社が生産増強を急ぐのは、一般住宅用の太陽電池の需要が急拡大しているためだ。新エネルギー財団によると、住宅用太陽電池設置に伴う国の補助金(今年度は1キロワット当たり9万円)交付件数は平成14年度で3万8262件と13年度に比べて52%も拡大。今年度の申込件数は一月十六日現在で4万4700件以上と、すでに14年度を上回った。 
需要が伸びている理由は「価格低下」(新エネルギー財団)。10年ほど前は出力1キロワット当たり200万円程度だった価格が今では70万円ほどで、一般住宅用として主流の3キロワットのものでも200万円程度で設置できるようになった。
 環境志向の高まりから省エネにつながる点も評価されており、住宅メーカーも太陽電池を標準装備した住宅をラインアップに加え、需要を押し上げている。
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『東大、太陽電池、蓄電も、曇天・夜間でも電気供給』
2004/1/26, 日経産業

 東京大学の瀬川浩司助教授らは、発電した電気を蓄えられる太陽電池=写真=を開発した。折り曲げられる安価な太陽電池として期待される色素増感型太陽電池に、蓄電機能を組み込んだ。曇天の場合や夜間でも電気を供給する太陽電池が可能になる。蓄電容量などを改良して早期の実用化を目指す。
 酸化チタンの光触媒と色素を組み合わせて可視光でも発電できるようにした色素増感型太陽電池に、導電性高分子で作った蓄電池を組み合わせた。蓄電池も太陽電池も薄く折り曲げられ、色素太陽電池の利点を生かした蓄電技術という。
 ナノ(ナノは十億分の一)メートルレベルの光触媒を塗った発電用の電極と、金属電極、蓄電用電極の三つでできている。強い光が当たっているときは充電と消費が同時に起きる。光の量が弱いときは徐々に放電して太陽発電の不足分を補うように配線した。
 小さなスピーカーで音楽をならす実験で蓄電可能なことを確認した。三十分ほどスピーカーを鳴らしながら発電すると、真っ暗にしても約一分音が鳴り続けた。現在はガラス板などを使っているので厚みが約4ミリあるが、フィルムにすると1ミリ以下になる。蓄電に使う導電性高分子の表面構造の制御や厚みの最適化などで容量を増やす。
 色素増感型太陽電池は薄く折り曲げられ、安価。洋服やテント、携帯機器などの表面に取り付けて発電する研究が進められている。蓄電池と太陽電池を別々に作って組み合わせると原理的に電極が四つ必要で、製造コストの上昇につながる。
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