『 【明日への布石】(49)関西ペイント(5)非塗料事業に賭ける 』

2004/7/30,FujiSankei Business i.23頁

■売上比率10%へ新技術融合

 マーケットが成熟化しつつある国内塗料市場。今後、右肩上がりの需要が期待でき
ない中、各社が経営の新しい柱として位置づけているのが新規事業だ。 関西ペイン
トは塗料で培った基盤技術を活用した新事業を次々と生み出すことで、現状打破を図
る考えだ。(香西(こうざい)広豊)

「環境、エネルギー、情報関連技術を最優先する」

 神奈川県平塚市にある開発センターAT(アドバンステクノロジー)研究所の磯崎
理(おさむ)所長(五三)は非塗料事業の目指す方向をこう説明する。
AT研究所のスタッフは約四十人。(1)塗料は開発しない(2)ある程度、塗料技
術を活用する(3)既存の販売ルートを生かせる−ことを条件に新事業を研究してい
る。「スタッフにとって開発ポイントが絞り込みやすくなり、成果が出しやすい」
(磯崎所長)というのが狙いだ。

スタッフは外部研究機関との連携も積極的で、国内は二十以上の大学、海外ではイン
ドやスペインの研究機関と連携している。

 研究だけでなく、それを世に送り出すことが重要と「アントレプレナー(起業家)
制度」も導入した。実用化のめどがついた開発テーマの担当者はAT研究所から離
れ、ビジネス化まで取り組むことが可能な制度だ。自らが手掛けたテーマに最後まで
かかわるので、実用化や応用展開がスムーズにできる。
 関西ペイントの2003年度の非塗料事業の売上高は前年度比19・3%増の68
億円。商品としてはPDP(プラズマ・ディスプレー・パネル)用レジストや、自動
車用塗膜保護フィルムなどがある。ただ、屋台骨を支えているのは、荏原(東京都大
田区)と共同開発した排水処理槽投入用の光硬化性ウレタン樹脂「KPパール」だ。
 KPパールは、樹脂表面に微生物(硝化菌)が付着・増殖することで、廃水に含ま
れるアンモニア分解効率を大幅に向上する。関西ペイントは硝化菌が死滅しない程度
の紫外線を使って樹脂を硬化させるのに、塗料事業で培った樹脂の光硬化技術を活用
した。
 硝化菌の高い付着性に加え、成型方法に工夫をこらし直径3.4−5.5ミリメー
トルの範囲で均一なKPパール粒子を大量に生産できる。比重が水に近く、排水処理
槽内で流動するため、余分なエネルギーコストがかからない特徴がある。
 新設の処理施設だけではなく、既存設備も簡単な改造だけでKPパールを利用でき
るため、費用対効果も大きい。東京湾の富栄養化対策に使われているほか、下水処理
や工場の排水処理、屎尿(しによう)処理、合併浄化槽など、これまでに体積で30
00立方メートル以上のKPパールが納入されている。
 水処理は順調だが、非塗料事業全般では物足らない部分が多い。その一つが「オプ
トエレクトロニクス関連の技術開発のポテンシャルを高めること」と磯崎所長も課題
を指摘する。光ファイバー用被膜材事業を展開してきたが需要は頭打ち状態であり、
新たなオプトエレクトロニクス関連商品の柱が求められている。
 関西ペイントの全売上高に占める非塗料事業の割合はわずか約3%。将来的には1
0%まで拡大するのが目標だ。塗料開発で培った原材料の分散、界面制御、多彩なカ
ラー表現、コーティング技術を融合し、収益力のある事業をどうキャッチアップする
かが課題といえるだろう。

□世羅勝也・社長
■攻めの経営で目立つ会社に

−−非塗料事業の拡大が課題だ

 「これまで塗料の原料として使用する樹脂を自社で作ってきた。この技術やノウハ
ウを応用し非塗料分野のビジネスにつなげたい。PDP(プラズマ・ディスプレー・
パネル)向けの電極形成用レジスト、排水処理用樹脂『KPパール』などが育ってき
た。現在、重点を置いているのが塗付型太陽電池。非塗料事業売上高は全体の約3%
程度で、できるだけ早く10%まで引き上げたい」

−−主力の自動車用塗料は好調だ

 「自動車メーカーの要求は性能面、コスト、納期など年々、厳しくなっている。ス
ペック(仕様)に対する要求は極めて厳しいことは、単なる価格競争にならないこと
を意味する。こうした品質競争は大歓迎だ。コストパフォーマンスも要求されるが、
厳しい競争のなかでの生き残りに関しては自信がある」

−−本州の4販社を統合して2年が経過した

 「1年目は社内体制の整備で終わってしまった。2年目に入ってやっと、販売第一
線の情報が技術セクションに伝わり品質改良につながるようになった。やっと成果が
出てきた。これからはいいサイクルで回転していくだろう」

−−海外はインド、中国に力を入れている

 「塗料の消費は人口に大きく左右される。世界で人口が最も多いのは中国だし、2
位はインド。ビジネスをやらない手はない。インドはデリーに新工場を建設している
が、さらなる拠点の新設も検討している。インドを含めた東南アジアは有望な産業。
中国はリスク要因があるかを見極め、堅実な事業展開を図る」

−−目指す会社像は

 「堅実経営をモットーに、地味で目立たない会社だった。今後は攻めの経営によっ
て目立つ会社にしていきたい。高い目標を設定し、完遂のために努力をしていく」

《せら・かつや》
広島大工卒。64年関西ペイント入社。95年取締役、常務、専務を経て02年6月
から社長。62歳。山口県出身。

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『 広栄化学、IT・エネなど新規分野に積極進出、3年後30億円規模へ 』

2004/7/28,化学工業日報4頁

 広栄化学工業は、IT(情報技術)、エネルギーなど新規分野へ積極進出する。次
世代の電解質材料として注目されているイオン性液体をはじめ、有機EL(エレクト
ロルミネッセンス)材料、色素増感太陽電池材料などのサンプルワークに乗り出して
おり、新規需要の開拓を急ぐ方針。同社の主力事業である医薬中間体分野の販売競争
が激化していることから、ITやエネルギーなど成長分野での新規事業化を図ること
で、事業基盤を強化するのが狙い。3年後にはこれら新製品の売上高を30億円規模
に拡大する計画で、医薬中間体に次ぐ、収益の柱とする考え。
 広栄化学は今年度からスタートした新中期経営計画において、新製品開発力の強化
・スピードアップを重要課題の一つとして掲げている。同社が得意とする含窒素化合
物分野で培った技術を生かし、IT、エネルギー、ライフサイエンス、グリーンケミ
ストリーといった成長分野での展開を目指しており、各種機能性化学品の用途開拓に
乗り出している。
 このうちイオン性液体は、室温付近で液体状態にある有機塩(常温溶融塩)で、イ
オン伝導率が高く、マイナス温度領域から四百度Cまで液状という特異な性質で次世
代の電気化学デバイスやクリーン溶媒などへの利用が期待されている。同社はすでに
20品目近くの製品をラインアップしており、キャパシタや帯電防止材、潤滑油など
を中心に用途開拓を進めながら、中期計画内には本格事業化にこぎ着ける意向だ。ま
た有機EL材料や色素増感太陽電池材料のサンプルワークを開始しているほか、イン
クジェット用色素原料、ホームケア用化学品原料、コーティング材料などの本格事業
化にも力を注いでいく方針。
 同社の昨年度の新製品売上高は5億6千万円で、今年度には約12億円、来年度に
約23億円、2006年度には30億円以上に引き上げる計画を打ち出している。主
力である医薬関連が引き続き重要分野となる見通しだが、新規分野への進出を果たす
ことで収益基盤の安定化につなげる考え。

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『 屋外での電源確保の手段は? モバイル環境 』

2004/7/28,毎日新聞ITニュース

http://www.mainichi-msn.co.jp/it/coverstory/news/20040728org00m300136000c.ht
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 高速データ通信が可能な第3世代の携帯電話の普及や、公衆無線LANのアクセスポイ
ントの増加や事業者間のローミングサービスなどで屋外でも簡単にネットに接続でき
るモバイル環境が整いつつある。携帯電話や携帯情報端末(PDA)、ノートパソコン
などの機器では省電力化やバッテリー性能改善が進んで、より駆動時間が長くなって
いるが、一方で高機能化などで消費電力も増えている。肝心な時に電池切れという経
験を持つ読者も多いはず。そんな中で今年2月、JR名古屋駅構内でノートパソコンを
無断でコンセントにつないだ男性が窃盗容疑で警察の事情聴取を受ける騒ぎも起き
た。ユビキタス時代の到来が近いと言われるが、その足元と言える屋外での電源確保
はどうなっているのだろうか。【富田 洋一】

■■ファストフード店は原則禁止

 NTTドコモの「MZONE(エムゾーン)」、ソフトバンクBBの「ヤフーBBモバイル」、
NTTコミュニケーションズの「ホットスポット」などの公衆無線LANサービスでは、利
用地点をファストフードなどの飲食店チェーンに設ける場合が多い。ビジネスマンな
どが軽食を取りながらメールやニュースのチェックをすることを見込んだサービス
だ。これらのチェーン店には掃除機などのため客席にコンセントがある場合も多い
が、マクドナルドホールディングスやロッテリアなど多くのファーストフードチェー
ン店は原則的に使用禁止だ。
 その理由について、「電源コードが他の客の足を引っかける恐れがある」「店内の
各席にコンセントを設ける改修が必要になる」などをあげている。また、客の回転率
が低下することへの懸念があるようだ。さらに公衆無線LANサービスが集客に役立っ
ていないとの印象を持っているチェーン店もある。
 一方で、禁止しないファーストフードチェーン店もある。ケンタッキーフライドチ
キンは原則禁止だが「混雑時にほかのお客さまへの迷惑がかかることによる禁止は当
然だが、空いている時にはフランチャイズ店の経営者の判断にもよる」と柔軟な姿勢
を取る。モスバーガーのモスフードサービスは都内の直営の数店舗で客席にコンセン
トを設けている。しかし「直営店だから可能なサービスで、今後の展開は未定」と本
格的導入には慎重な姿勢だ。ファーストキッチンも一部店舗でコンセントが使える。

■■サービス差別化狙い積極的な店も

 逆に積極的に電源利用を認めるチェーン店もある。首都圏で展開する喫茶店チェー
ンの銀座ルノアールは、ヤフーBBモバイルのサービスを導入し、多くの店舗でコンセ
ントが利用でき、それをサービスの差別化にしたい考えだ。また都内のホテルの喫茶
店やレストランなどでは客の要望に応じて、コンセントに近い席に案内してくれた
り、電源コードを貸してくれる場合もある。漫画喫茶やネットカフェなどでは店に
よって対応が異なるが、有線LANやコンセントが使える店がある。
 こうした店舗側に対して、NTTコミュニケーションズは「ファストフード店などで
コンセントが使えれば公衆無線LAN利用者へのサービス向上になるが、こちらから積
極的にはたらきかける立場にない」と話す。一方、周辺機器メーカーのバッファロー
が主幹事を務めるフリースポット協議会は、約2000カ所の公衆無線LANサービス利用
地点をホームページで紹介し、電源利用の可否も情報提供している。同社は「コンセ
ントが利用できると集客にプラスになると飲食店などにアドバイスしている。固定客
をつかんだコーヒーショップもあり、飲料中心の店なら滞在時間も約30分以内にとど
まり回転が悪くなることもない」と話す。
 また、NTTドコモの直営販売店「ドコモショップ」では携帯電話の充電ができる
が、MZONEが利用できるドコモショップではパソコンなどでコンセントを使うことも
できる。同社は「ドコモショップは利用者との貴重な窓口。遠慮なくコンセントを
使ってほしい」と話す。

■■JRでは電源が使える車両も

 公共交通機関や駅などではコンセントは使えるのだろうか。JR各社は駅構内のコン
セントの無断利用を禁止しているが、JR東海は新幹線品川駅(東京都港区)構内に、
無料で使えるコンセントがある「モバイルコーナー」を設けている。またJR東海の新
幹線や、JR九州の博多〜長崎間を運行する特急「かもめ」などには、コンセントが使
える座席がある。
 東京地下鉄(東京メトロ)は、今夏には独自の光ケーブル網を利用してMZONEを導
入する予定だが、駅構内のコンセント利用は「緊急時以外は原則的にお断りしてい
る」というが、携帯電話については、ターミナル駅にあるDPE店に各機種用のアダプ
ターを置き、有料の充電サービスに取り組む予定という。
 成田国際空港では公衆無線LANサービス開始に合わせて第1、第2ターミナルなどに
コンセント付きの「パソコンデスク」約50台を設けている。 JALやANAはボーイング
社の機内インターネット接続サービスを年内に導入する予定でサービス利用者は機内
の電源が使える。

■■太陽電池は容量に課題、燃料電池の実用化に期待

 モバイル利用者に向け、コイン投入式などで電力を小口売りする「充電スタンド」
があれば便利だが「電気料金の徴収先が特定できないと難しい。設備投資や保守など
の手間に見合うかという疑問もある」(東京電力)などで、実現の可能性は低そう
だ。 コンセントに頼らない方法はないのだろうか。携帯電話には乾電池などを使っ
た緊急充電用の機器が豊富だが、PDAやパソコンはそうもいかない。予備バッテリー
の持ち歩きが最も簡単だが重量増加はモバイル利用者の身軽さを奪うことになる。太
陽電池は発電効率や耐久性が年々上がっており、無料で電気を得られる利点がある
が、屋外での使用が前提で電力容量が小さい。現時点では携帯やPDA、デジタルカメ
ラの充電ができる程度で、パソコンに必要な電力を得るには足りないようだ。
 期待できるのが水素と酸素の化学反応で電気を起こす燃料電池だ。 NECや東芝、日
立製作所などはノートパソコンやPDAなどに装着する試作品を開発しており、今後は
コストダウンが課題だ。しかしメタノール燃料を使うため取り扱いに注意が必要で、
列車や航空機の中などでは使用が制限される可能性がある。
 屋外での電源確保は、技術の進歩などで時間はかかるが解決に向かっているよう
だ。法的には電気は「無形物」だが「財物」の扱いになり、名古屋のケースも実際に
「盗電」した電力は1円程度だったが、10年以下の懲役刑が科せられる窃盗罪容疑で
取り調べられたわけだ。バッテリー残量がわずかだとモバイル利用者はつらいが、了
解を得てコンセントを借りるなど、マナーを守りトラブルを避けることが賢明だろ
う。

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